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第3回「The Secrets of Consulting」Gerald M. Weinberg:翻訳エッセイ編(3)―お金についての質問

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翻訳エッセイ編―お金についての質問

2006年4月13日 木曜日
原文:Money Questions 1.
Q:コンサルティングについての本を2冊出したあと、最も多く聞かれたことは何か?

A:1つの質問というよりは、あるテーマに関してよく質問をされた。お金とコンサルティング契約についての質問だ。⁠コンサルタントの秘密』の中で、いくら請求するかを決める方法については書いたが、その他のごちゃごちゃとした問題、お金の徴収や価格交渉をどう進めるかといった話はしなかった。だから、これから少しそういったごちゃごちゃした質問に答えるための「追加の章」を書くことにしよう。

Q:見込み客に料金を下げるように求められた。相手はほかのコンサルタントは私より30%低い値段で雇えると言っている。どうすべきだろうか?

A:けっして自分をコモディティ化してはならない。私はこの教訓を早い時期に祖母のエセルから学んだ。雑貨屋を営んでいた彼女は、⁠コモディティになってはいけないよ」といつも言っていた。⁠みんな同じ雑貨を買えるし、スーパーでならもっと安い値段で買える。だから違ったものを提供しなくちゃいけない」

エセルは近所のほかの店と差別化するために、店でいろいろなことをやっていた。客に対してとても丁寧だった。客一人一人の名前を覚えていた。そして一人一人に個人的な関心を寄せていた。エセルは客から特別な注文を受けるのを喜んでいた。そして彼らの求めるものを手に入れるためなら惜しまず手間をかけた。肉や腐りやすいものについては、スーパーよりも品質の良いものを提供していた。

彼女はたくさんの「特別」サービスをやっていたが、その中のいくつかは、今日ではスーパーマーケットにも取り入れられている。彼女はツケで売っていたが、それは当時の雑貨屋としては珍しいことで、スーパーマーケットではそれこそタブーだった。小切手を現金化し、電話してきた顧客のために品物を取っておき、配達サービスもやっていた(実際それをやっていたのは多くの場合私だった。私がまだその町にいたころの話だが⁠⁠。

一般に彼女は顧客の要求を理解していて、彼らの個々の好みに合った品をそろえることでそれに応えていた。だから、あなたも何か特別なものを提供するようにして、自分の値段を下げたりはしないことだ。

Q:自分の値段を上げるために、実際よりも高い能力がある振りをすべきか?

A:仕事を得るだけのために、自分でない何かの振りをしてはいけない。もしそれをやるなら、仕事が本当の自分に合っていないとすぐ不平を言うようになるだろう。

Q:自分のクライアントはどうしても譲歩しようとしない。値段を下げても問題がない状況というのはないのか?

A:彼らが何か特別なものを提供してくれるなら、それに応じて値段を下げてもかまわない。たとえば、払い戻し不可のコンサルティング料を前金で支払うという場合には、ディスカウントを提示してもよい。あるいは自分のほうで払うつもりでいた何らかの出費を、相手のほうで持ってくれる場合もある。長く続けていると、クライアントが追加の報酬として車やコンピュータを使わせてくれることもあった。その車やコンピュータは使われずにいたものなので、彼らにはコストにならなかったのだ。

たぶん私が一番大きな割引をするのは、コンサルティングや指導のためにクライアントのオフィスに赴かなくともよい場合だ。若いコンサルタントであれば、私が昔そうだったように、旅行できること自体が一種の報酬だと感じられるかもしれない。旅行しなければならないのは今ではマイナスになるので、そうすることを求めないクライアントには報いるようにしている。

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