「中の人」が語るETロボコンの魅力─何が面白いのか,何に役立つのか

第5回 10年後のエースが生まれるETロボコン─参加者から見た教育と交流のロボコン現場

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開発部門・技術交流

ETロボコンとは? にありますように,若手がフィーチャされていますが,企業参加チームの実態としては中堅,ベテランの参加も多くなっています。

表1 2010年参加チームアンケートより:チームメンバー・プロフィール

新人22%
2~3年目28%
4~5年目15%
6~10年目18%
10年以上17%

チーム参加であることから,ベテランはメンター,マネージャとしての参加するケースも多いようです。若手,中堅でチーム開発実践し,毎年メンバーを入れ替えて参加する企業チームも多く見られます。また一方で,3年程度はETロボコンで鍛えるといったケースもあるようです。

交流や全参加チームのモデル配布等,ETロボコン参加活動で得られるものは,特に学生,若手技術者のレベルアップに大きな効果をもたらしているように見えます。同じチームの1年後のモデル図内容,制御レベルの向上度合いには目を見張るものがあります。

毎年の参加者アンケートによると,ETロボコンで得られる教育効果として,モデリング技術,実装技術の他に,開発マネジンメントと交流の2点のポイントが高い傾向があります。実際の開発現場では差分開発やメンテナンスも多い中,ETロボコンでは分析設計から実装テストまで全行程を実践できます。チーム開発となりますからマネジメントは重要で,これがなかなか困難さもあり実習効果として体感できるのではないでしょうか。

また交流があげられているのは特徴的で,ETロボコンがコミュニティとして切磋琢磨できる環境にあるものだろうと思います。社内,学内だけでは体験しづらいことが学習活動として実践できる,これがETロボコン参加者がメリットと感じるところなのでしょう。

2011 北海道地区大会 モデル・ワークショップ

2011 北海道地区大会 モデル・ワークショップ

2011 北海道地区大会 モデル・ワークショップ

人事・教育部門,学生交流

企業チームの中には,新人研修での取り組みとして参加されるケースも多くあります。中には社内ロボコンにて選抜参加したり,ETロボコンに向けたモデリング・プログラミング教育を推進している企業もあると伺っています。学生チームは研究課題,実習課題としての取り組みも多いようです。

ETロボコンはオープン参加であることが特徴で,いろいろな場面で企業と学生さんが交流し,ふれ合う機会があります。学生さんからすると企業,エンジニアを知るチャンスで,企業からしても学生さんに自社やエンジニア業界を知ってもらうメリットがあります。

各地区では企業チームと学生チームが協力して合同勉強会や合同試走会を実施しているケースも見られ,地域における産学連携での人材育成取り組みとなっています。学生時代にETロボコンに参加し,企業に就職してから再度参加するといったケースも増えてきました。ETロボコンが交流の場として活用される好例でしょう。また,スポンサーの中にはリクルート広報活動として取り組まれている企業もあるようです。ETロボコンが学生さん向けにソフトウェア・エンジニアという職業の登竜門のひとつとなっているのかもしれません。

2011 東海地区大会 競技会:緊張のスタート

2011 東海地区大会 競技会:緊張のスタート

若手人材育成

ETロボコン実行委員の中にはかつて参加者であったメンバーが多くいます。たとえば,中堅技術者の方が自社の若手を集めチャレンジして自社のレベルアップをはかり,区切りをつけて後輩にまかせ,ご自身は運営側にまわって今度は地区そして全国の技術者レベルアップに協力いただいているようなケースです。今後もこうした実行委員会への参画が増えることを期待しています。

また一方では若手の台頭もあります。たとえば本部審査員の幸加木さん(⁠⁠株)リコー⁠⁠,性能審査団の佐藤さん(⁠⁠株)デンソー)は,ともに2002年第1回UMLロボコンの学生チーム参加者でした(試走会でうまくいかなくて頭を抱えていた姿を思い出します⁠⁠。卒業後メーカに入って技術研鑽を積み,10年たった今では自社にとどまらず各方面でも活躍されています。ETロボコン・コミュニティが若手の成長に少しでもよい影響があったとすれば嬉しいことです。


10回目を迎えたETロボコン,今年参加している学生や若手エンジニアから将来のエースもでることでしょう。若者が10年後,20年後にもチャレンジ魂を発揮して,業界,世界で活躍しているであろうことを大いに期待しています。

著者プロフィール

小林靖英(こばやしやすひで)

株式会社アフレル

ETロボコン実行委員会・本部運営委員長

第1回から企画運営担当です,始めた頃は30代でした。エンジニアは新しいものをつくることが好きですから,ETロボコンも毎年少しずつ新しいことをやっているのが続けるコツかもしれません。実行委員の想定を上回るアッと驚くようなチャレンジが出てくるのを楽しみにしています。