ほかのIaaSのようにデータ転送量の突発的な増大によって膨大な金額を請求されてしまうという心配がありません。さらに初期費用は無料という点も魅力です。
このEX-CLOUDには、用途に応じて選べる複数のラインナップが用意されています。もっとも高性能なプランである「EX-SCALE」 、「 EX-SCALE」と組み合わせて利用できるデータベース専用サーバの「EX-DB」 、ソーシャルアプリ専用の「GREEクラウド powered by EX-CLOUD」 、そして「EX-LITE(エクスライト) 」です。
EX-CLOUDの4つのプラン。用途に応じて選択することができる
今回注目したのはEX-CLOUDの中でもっとも低価格なVPSとして提供されている「EX-LITE」です。上位プラン譲りの多機能なVPSでありながら、月額利用料は1050円と気軽に使い始められるサービスになっています。
このEX-LITEが具体的にどういったサービスなのか、細かく見ていきましょう。
サーバ無停止でのスケールアップを実現
VPSやIaaSを利用する際、もっとも気になるのはハードウェアスペックでしょう。EX-LITEのスペックを見ていくと、まずサーバとして使われているのは信頼性の高いメーカー製サーバであり、CPUはXeon QuadCoreを共有する形となっています。メモリとストレージは、1ユニットあたり1GB/30GBが割り当てられています。
HDDの接続インターフェイスとしては、信頼性が高く性能面でもアドバンテージがあるSAS(Serial Attached SCSI)を採用しています。低価格VPSサービスでは、安価なHDDが使えるSATA(Serial Advanced Technology Attachement)インターフェイスであることが少なくありません。こうした点から、EX-CLOUDにおけるハードウェアへのこだわりが垣間見えます。
ストレージがRAID5構成となっている点もポイントでしょう。サーバを運用する上で、HDDの故障によるデータ消失はもっとも避けたい事態の1つですが、RAID5構成のEX-LITEであれば安心してデータを預けられます。
これらのハードウェアスペックは、ユニットを追加することによって強化することが可能です。ユニットの追加は最大5ユニットまで可能であり、1ユニットごとに1GBのメモリと30GBのストレージ領域が追加されます。5ユニットを利用すれば5GBのメモリと150GBのストレージ領域が使えるため、メモリ消費量が大きいWebアプリケーションを利用したい、あるいは大きなデータを保存したいといった用途にも対応できるでしょう。
サーバを停止したり再起動したりすることなく、無停止でユニットを追加してスケールアップできることもEX-LITEの大きな特徴です。たとえばWebサーバを運用している際、急激にトラフィックが増加してレスポンスが悪化するといった事態も考えられるでしょう。EX-LITEであれば、サーバを止めることなくスケールアップを行うことにより、レスポンスの低下を最小限に留められるというわけです。
EX-LITEの料金プランのハードウェアスペック。最大5ユニットまでスペックを強化可能
オプションによりLAN環境も利用可能
続けてネットワーク環境をチェックしていきましょう。インターネット接続の回線は100Mbpsをほかのユーザと共有する形で、前述したとおりデータ転送量による課金はありません。データのアップロードやダウンロード量を気にすることなく利用できるのは大きなメリットでしょう。
ネットワーク面において、もう1つの特徴として挙げられるのが、複数のサーバをLANで接続するためのオプションが提供されているという点です。提供するサービスの規模が大きくなると、WebサーバとWebアプリケーションサーバ、そしてデータベースサーバと、役割ごとに個別にサーバを割り当てたいところでしょう。EX-LITEであれば、このLANオプションを利用することによってサーバ間をLANで接続することが可能になり、役割ごとにサーバを分けて運用できるようになるというわけです。
もちろん独自ドメインによる運用にも対応しており、「 com」「 net」「 org」「 info」ドメインであれば、新規登録料/更新料金ともに945円と低価格で取得できます。またDNSゾーンが10ゾーン利用可能なため、余裕を持って複数ドメインで運用できることも嬉しいところでしょう。
続けてソフトウェア環境を見ていきましょう。前述したとおり、EX-CLOUDシリーズは通常のIaaSとは異なり、あらかじめOSがインストールされた状態で提供されます。そのOSとしてEX-LITEにおいて採用されているのは「CentOS 5.8(64bit) 」で、ユーザが変更することはできません。普段使い慣れた(CentOS以外の)OSで運用したいというユーザにとっては制約条件となりますが、一般的なLAMP環境での運用であれば特に不都合はないでしょう。
そのほかEX-LITEでは、Webサーバとして「Apache」 、プログラミング言語に「PHP」や「Perl」「 Ruby」「 Python」 、データベースサーバには「MySQL」「 PostgreSQL」をあらかじめインストールしています。多くのVPSサービスと同様、ユーザにはroot権限が提供されているため、Yumを使ってこれ以外のソフトウェアをインストールしたり、インストール済みのソフトウェアをアップデートしたりすることも自由に行えます。
レンタルサーバの次のステップとしてオススメ
サーバ管理のための機能としては、Webブラウザで利用できるコントロールパネルが用意されているほか、リソース監視ツールである「Munin2」を無料で提供しています。またオプションにより多機能なコントロールパネルであるParallelsの「PLESK」を利用することも可能です。EX-LITEはSSH接続によるサーバ操作が基本となっていますが、PLESKを利用すればWebブラウザを使ってサーバの各種操作を行えるので、コマンドラインの操作に不安があるユーザでも安心でしょう。
EX-LITEで提供されるコントロールパネル。豊富な機能を利用できる
サポートが充実している点も見逃せません。VPSサービスやIaaSでは、問い合わせできる回数に制限があったり、あるいはそもそも有料であったりすることが珍しくありませんが、EX-LITEでは平日10時から18時まで無料で電話サポートを受けることができます。
OSがインストール済みで契約してすぐに使い始められる点や多機能なコントロールパネルであるPLESKを利用可能であること、さらに無料の電話サポートが利用できることなど、レンタルサーバでは物足りないが本格的なIaaSは使いこなせるか不安といったユーザにとっては、EX-LITEは最適なサービスと言えるでしょう。サーバ運用経験のあるユーザにとっても、柔軟性の高さやコストメリットの大きさを考えると、魅力的なサービスであるのは間違いありません。なおEX-LITEは2週間無料で試すことができるので、気になるのであればぜひ実際に利用してみましょう。
次回は、実際にEX-LITEを利用して細かな使い勝手をチェックしていきます。