はじめてのWebアプリケーション

第2部 第1回 Webサイト誕生以前

日本のインターネットユーザは今や8000万人を超えました。この記事をご覧になっているあなたもその一人です。そしてWebサイトの数は、このgihyo.jpを含め、数え切れないほど存在します。今やインターネットといえばWeb(とメール)のことと多くの人が思っているほどです。今回からは、Webアプリケーションが今の姿になるまでを紹介していきます。

あなたがこのWebサイトにアクセスしたとき、おそらく検索結果やRSSリーダーなどで表示されたリンクをクリックしたのではないでしょうか。現在は何気なく行っているこの動作も、いくつかの発明と国際的な決まりがあるからこそ可能になっているのです。

インターネット

まずはインターネットそのものです。インターネットは、複数のコンピュータ(サーバ)を連携させ、全体で1つのネットワークシステムを形成するしくみになっています。

もともとのネットワークシステムは、複数の端末が1つのコンピュータに接続する一点集中型でした。このタイプのシステムは、接続やメンテナンスは簡単な一方で、中心となるコンピュータに障害が発生してしまうと、すべてのシステムが停止してしまうことになります。

そこで、1つのコンピュータに障害が発生しても、全体にはダメージが及ばないシステムが考案されます。それが今日のインターネットに代表される、コンピュータを分散して配置するネットワークシステムです。このような経緯で開発されたインターネットですが、現在では地球の裏側のような非常に遠い距離を通信によりつなげるという役割のほうが、利用者には広く認知されているように思います。

こうしたインターネットの前身が最初に形になったのは、1969年のARPANET(アーパネット)です。ARPAとはアメリカ国防総省のことです。このときは4台のコンピュータが結ばれましが、当時はまだWebサイトや電子メールは存在しませんでした。ARPANETは1990年に終了しましたが、ARPANET誕生のときから数えると、インターネットが誕生してまもなく40年を迎えるということになります。

ドメイン名

次にドメイン名です。ドメイン名とは、"gihyo.jp"のようにインターネットのサーバにつける名前のことです。ネットワーク上に公開されるサーバにはIPアドレスという番号が必ずつけられます。コンピュータが識別するには数字のほうがわかりやすいのですが、人間が識別する場合には、これだとどうしてもわかりにくくなります。そこで設けられたのが、ドメイン名です。

ドメイン名とIPアドレスとを突き合わせ、サーバへのアクセスを助けるしくみをドメインネームシステム(DNS)といいますが、これがインターネットに導入されたのは1984年のことです。このときからまだ20年余りしか経っていませんが、全世界で4600万以上、日本だけでも93万以上のドメインが登録されています。

もともとのドメイン名は、.comなど7種類のgTLD(generic Top-Level Domain)と呼ばれるドメイン名のみが存在していました。しかしインターネットが世界中に広がりを見せると、とてもこれだけでは足らなくなります。そこで5年後の1989年にco.jpなどの国別のTLDが導入されます。

一方でgTLDも、2001年に.biz、.infoなど6種類が増えます。さらに2005年には携帯端末用の.mobiなど4種類も追加されますが、これらを用いたドメイン名はあまり見かけません。やはり最初にドメイン名として使われ始めたことや「どっと混む」の語呂合わせから、日本のWebサイトでも.comが多く用いられています。

これらのしくみがあって初めて、Webサイトを構築し、アクセスを受けることができるのです。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧