がんばれ情シス!―激動の時代をリードするために―

第1回今、情シスに求められること

ご無沙汰しております

本誌にはおよそ2年ぶりの執筆となります。スターロジックの羽生と申します。創刊号から6年間連続で毎号記事を執筆してきたのですが、さすがにネタも尽きたこともあり執筆を遠慮させていただいておりました。

その間、スターロジックというソフト会社の経営を通じてさまざまな会社さまとのお付き合いをする中で、特に昨今強く感じるものが諸々生じてきました。それをお伝えすることで、企業や社会におけるITというものについて皆さんと一緒に考える契機としたい..そのような趣旨から、また書かせていただくことになりました。

未曾有の経済危機と言われますが…

さて、もはや定番という感じもしますが、現在は「100年に1度の経済危機」なのだそうです。思えば創刊号で執筆した記事では「失われた10年と言われてすでに数年経ちます」ということを書きました。日本の場合は60年ほど前には戦後の大混乱もあったわけで、冷静に考えるとむしろ景気の良い状況のほうが実は少ないのではないかというふうに感じています。

実際、今回の経済危機以前から、国内において問題は山積している状態でした。たとえば自動車の販売台数減少と若者の自動車離れは過去数年にわたって顕著でしたし、少子高齢化に伴う労働人口の減少と国内市場の縮小は10年ほど前からすでに警鐘が鳴らされ続けていました。今は働き先が見当たらないという問題がクローズアップされていますが、働ける人の絶対数が減っていくのですから、景気がどうであろうとも各企業において人手不足になるのは必然とも言えます。

このような状況で、各企業において課題はあれこれとありますが、共通のテーマの一つとして、労働生産性の向上、つまり1人当たりの効率向上が不可欠です。乱暴に言うと今までの半分の時間で倍の価値を生み出せるくらいのことを実現しないといけない、つまり単純な人海戦術に頼らない成長戦略を描くことが求められているのです。

今、ITにできること

労働生産性の向上という目標に対して、本誌の読者も関わっているであろうITは一体どのように寄与することができるのか。もちろん消費を刺激するようなサービスを提供していくのも一つの方向です。ですがより広範な効果を考えると、各企業が取り扱っている商品・サービスの価値を高めるための支援をすることが、今という時代においては非常に重要なのではないかと考えます。

たとえば社内の情報流通ということを鑑かんがみても、組織間の縦割りのせいで情報伝達の断絶などが会社全体のスループットを阻害していることがあります。これを解決することで、より早くお客様への対応ができ、そのような改善の積み重ねは、最終的にキャッシュフローの高速化にもつながります。

単に新しいプログラミングの技術を誇示することがITではありません。さまざまな技術の活用を通じて会社のあり方に良い影響を強く発揮することこそが、ITの要諦であると言えます。

そしてそんな状況において重要な立場になるのが、実は情報システム部門であろうと強く感じています。

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がんばれ情シス!

ところが今、情報システム部門が置かれている状況は決して芳しいとは言えないと感じます。ベテランの退職・若い人材の不足・プロジェクト経験の不足・人数不足によって現状業務を回すのに手一杯で新しい取り組みに手を回せない、などなど、外部の業者としてのお付き合いの中で、いろいろな困りごとをお聞きしています。これらを経営サイドの問題であると断じて、改善を待つというのも1つの方法ではありますが、外部の私どもも含めて現場レベルで行動できることも多々あるのではないかと思うのです。

そこで本連載では実際の現場での体験を元に、問題意識を皆さんと共有して解決の糸口を模索していきたいと考えています。特に情報システム部門の皆さんからのご意見やご要望などもお待ちしております。皆さんと一緒に、より良い仕事を実現する取っ掛かりを見いだせれば幸いです。

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