がんばれ情シス!―激動の時代をリードするために―

最終回 経営参謀としての情シスへ

今回で最終回です

早いもので、本連載も1年が経ちました。今回は最終回ということで、前回の話を引き継ぐ形で情シスが経営に貢献できることを考えてみたいと思います。

社内プロセスとは一連の仕事の流れであると前回お話ししました。では、そもそもなぜ社内プロセス、すなわち仕事の流れというものが存在するのでしょうか。それは企業の目的を達成するためです。では企業の目的とは何か。お客様に価値を提供してその対価を得て利益を創出することです。つまり、社内プロセスは社内に閉じたものではなく、その端は外部に接することになります。

お客様という外部接点

たとえば販売というプロセスがあります。これは企業の中で完結するものではありません。お客様からの注文がプロセスの始まりであり、プロセスの終端はお客様に商品やサービスをお届けすることになります。

では、お客様はなぜ自社の商品やサービスを購入してくれるのでしょうか。逆に言うと、購入していただくために何をしているのでしょうか。これがいわゆるセールスやマーケティングということになります。

マーケティングには、自社のこと・商品やサービスのことを知ってもらうという活動が必要です。いわゆるプロモーションプロセスということになります。販売後のアフターケアも必要です。アフターサービスプロセスと呼ばれるものが該当します。

このように見ていくと、実は企業の活動というのは非常に多くの部分で顧客接点というのが発生します。そしてそれぞれに対応する仕事の流れ、すなわちプロセスが存在します。社内プロセスを考えるというのは社内のことだけを見ればよいわけではなく、むしろ社外に対してどのように接するのかとを考えることになるのです。

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外部とのやりとりとお金のこと

お客様以外にも外部接点はさまざまに存在します。商品を仕入れるには仕入先とのやりとりが生じます。つまり仕入(購買)プロセスは仕入先という外部接点が存在します。光熱費などの支払いは当然それぞれに支払先が存在します。ですから経理部門などの各プロセスはそれらの支払先という外部接点が存在します。

そしてこれらのやりとりはお金が常につきまといます。材料や商品を仕入れたら、当然その対価を支払うことになります。これは自社が仕入先にとっての顧客になっているということでもあります。ということは、外部接点とのやりとりとは、お金のやりとりということになります。

お金をやりとりするのはとても重要なことです。ですからこれを記録する必要があります。いわゆる簿記です。経理部門のプロセスは最終的にお金のやりとりを何らかの勘定科目に割り当てるところで終わります。つまりプロセスの終端が外部ではなく社内の帳簿となるわけです。この記録をもとに財務諸表(決算書)が作成され、その財表をもとに会社としてのお金のやり繰りを考えて実行していく、つまりフィナンシャルのプロセスが組み立てられていきます。

情シスは会社のあり方に突っ込んでいける

企業は目的達成の効率を向上するために分業化を推進します。しかしその結果、部門の断絶が発生しコミュニケーション不全を起こして仕事の流れを阻害するという事態を引き起こしています。その結果目的達成がおぼつかないのですから皮肉としか言いようがありません。

情シスは部門横断的にこの矛盾を解決するための部門であると言えます。つまり単にITに詳しいというのではなく、ITをいかに企業の目的達成に活用するかを考えるのが役割だということです。それは言わば「経営参謀」と呼ぶに値する仕事です。

日常的な現場の仕事を支え、社内コミュニケーションの推進エンジンとなり、経営参謀としてプロセスのあり方を考える。そんな情シスになっていってほしいと願いつつ、本連載を終了させていただきます。1年間ありがとうございました。ではまた。

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