[The Interview]エンジニア向けQAサイト「teratail」とは

第1回編集長対談】Software Design池本が訊く!―エンジニア向けQ&Aサイト「teratail」作ったワケ

2014年7月、レバレジーズはエンジニア向けQ&Aサイトであるteratail図1を公開しました。サービスの企画全般に携わった藤本直也氏写真1⁠、そして開発を担当した本橋佑介氏写真2に、Software Design編集長の池本公平写真3がインタビュー。このサービスに込めた思いを聞き出しました。

モノ作りに関わるためにレバレジーズに入社

SD:では、まず1人ずつ自己紹介からやっていきましょう。まず私ですが、技術評論社に来てもう20年くらいが経っていて、現在はSoftware Designの編集長をしています。出版社に入社したのは、人は本で変わると思っているからです。本を読むことで視野が広くなって悩みがなくなったり、問題が解決したり、そういった価値を読者の方に提供できればと思いながら仕事をしています。それでは、本橋さん。

本橋氏:はい、私はそもそも学生時代にはエンジニアという職業に興味はなかったんです。理学部でずっと研究をしていたので、やっぱり何かゴールがあるモノをやりたいという気持ちがありました。それで就職する段階になって、モノを作る仕事はいいな、自分で考えたモノを作れるのは幸せだな、と考えたことがエンジニアになった最初のきっかけです。そこからIT系の会社をいくつか回りまして、最終的に決めたのがレバレジーズでした。

SD:レバレジーズに決めた理由は何かあったのですか。

本橋氏:代表と話をしたときに、新しいことでも古いことでも、とにかくすべてのモノを作っていこうという情熱のある話をしていただいたことでしょうか。それで、この会社でやっていこうと決めたんです。入社してすぐに北京へ行くことになったときは驚きましたが(笑⁠⁠。

SD:北京にも事務所があるんですね。

本橋氏:今ではなくなりましたが、当時のレバレジーズは北京に研修センターというものがありました。そこで講師の方に学びながら、同時に中国人の方とチームを組んでプロジェクトに入る経験をしたのです。日本と中国、またそれ以外の国との違いなどを意識できたので、良い経験だったと感じています。

藤本氏:僕は大学2年のときから4年生の頭まで塾のアルバイトをやっていて、そこでマネジメント的な立場でも仕事をしていました。その後レバレジーズでインターンを経験し、そのまま入社したという流れです。

SD:藤本さんは仕事しかしていないイメージがあるのですが(笑⁠⁠。

藤本氏:そんなことないですよ。自宅に戻ったら、必ず30分はギターを弾いていますし。それにレバレジーズのフットサル部にも所属しています。活動は月1回くらいですが、今は大会が近づいているので月2回くらい練習しています。

写真1 メディア・システム部 マーケティンググループ 藤本 直也氏
2014年入社、teratailのプロジェクトリーダー

写真1 メディア・システム部 マーケティンググループ 藤本 直也氏

お互いに悩みを解決し切磋琢磨しながら腕を磨ける場

SD:それで今回オープンしたteratailですが、そもそも作ったきっかけは何だったのでしょうか。

藤本氏:エンジニアどうしで質問できる場を作れば価値を提供できるのではないか、と考えたことが大きいですね。あそこに行けば質問ができて、自分が抱えている課題を解決できる。そういった場が全然ないなと思っていました。オフラインで勉強会をやって仲間を集めるのもいいですが、エンジニアだったら集まる必要はないんじゃないかと。オンラインで同じような人たちが集まって、そこでお互いに悩みを解決できる、あるいは切磋琢磨しながら腕を磨ける。そういった、エンジニアとしての成長の場を作ることに価値があるんじゃないかと考えました。

SD:本橋さんは、エンジニアとして藤本さんの話をどのように聞いていたのでしょうか。

本橋氏:共感できましたね。エンジニアって、ノマド的なところがあって、気分が集中できる場所を求めるじゃないですか。

SD:確かに(笑⁠⁠。

本橋氏:在宅で仕事をしたり、ノマド的に働いたり。何かわからないことがあれば、メールやチャットのようなクローズドなコミュニケーションツールで相談することが多かったわけですが、それを表に出していくことで社会に還元するという考え方があってもいいんじゃないかと思います。いろいろな方がおっしゃっていますが、やっぱり外に向けて発信することはものすごく大事なことです。発信する役割をQ&Aサイトが担い、それによってエンジニアの人たちが成長し、全体的な地位向上につながればすばらしいと思います。

写真2 メディア・システム部 システムグループ 本橋 佑介氏
2008年入社、teratailの開発リーダーとしてプロジェクト立ち上げに参画、好きな言語はJavaScript

写真2 メディア・システム部 システムグループ 本橋 佑介氏

ロングテイルの“テイル”がQ&Aサイトの本質

SD:お二人の役割分担はどのようになっているのですか。

藤本氏:私が企画を考え、本橋が実装するという立場になります。

SD:それで読者もすごく気になっていると思うのですが、teratailの名前の由来を教えてください。

藤本氏:最初はサービス名を公募し、社内や関係者の人々に考えてもらいました。それで600~700案ほど集まり、社長にこれはどうですかと聞いたり、SEO的なことも考えながら検討したりしました。ただ、なかなかこれという名前にたどり着かなかったんです。そういったことで2~3ヵ月悩んでいたとき、目の前を弊社のシステム部長である寺尾が目の前を横切ったんですね。それで「テラオ」でいいんじゃないかと(笑⁠⁠。ただ、それだとそのまま過ぎるので、じゃあ「尾」を英語にして「テラテイル」だという。

SD:すごいところからの発想ですね(笑⁠⁠。

図1 エンジニア向けQ&Aサイト「teratail」
図1 エンジニア向けQ&Aサイト「teratail」

藤本氏:思いつきだけでなくて、実は裏の理由もあるんです。その寺尾は社内で、本当に困ってどうしようもなくなったときに聞くと、とりあえず問題を解決できるという存在で、このQ&Aサイトにぴったりだなと。それと「テイル」にもしっかり意味があって、ロングテイルという意味での尾の部分をできるだけ伸ばしていきたいという考えがあります。僕は、このテイルの部分がQ&Aサイトの本質じゃないかとすら思っているんです。

SD:それはどういうことでしょうか。

藤本氏:普通に検索エンジンで検索すると、近しい問題は見つかるかもしれませんが、自分が期待した質問とその回答をバシッと検索できることは少ないと思います。ただ、それでは問題はなかなか解決しません。一方、質問を投稿すれば回答が得られるQ&Aサイトでは、ピンポイントに問題を解決できるわけです。幅広い質問と回答が集積される、包容力のあるWebサイトにしていきたいという意識もあり、⁠テラテイル」という名前にしました。

SD:すごくいいネーミングじゃないですか。寺尾さんに会ってみたくなります。

藤本氏:発想は単なる名前だったんですけれど、そこから広がって意味が乗ってきたという感じです。

投稿された質問に多くのエンジニアが回答

SD:それで実際に7月16日にサービスを開始したわけですが、今のところの手応えはどうですか。

藤本氏:当初の見込みの3倍くらいの反応がありました。最初に想定していたのは、数百人、下手をすれば数十人じゃないかと思っていたのですが、ふたを開けてみると何千人という方々にユーザ登録していただいており、反響の大きさを実感しています。

SD:最初はずいぶん弱気だったわけですね。

藤本氏:不安だったのは、回答が投稿されるかどうかでした。実際、社内でこの企画を説明したときも、⁠回答ユーザのインセンティブは何か」という点をすごく突っ込まれました。でもサービスをスタートしたら、質問が投稿されると素早く回答が寄せられるんです。早いものでは本当に10分や15分。これはうれしい誤算でした。

写真3 池本 公平 本誌編集長
1995年入社、書籍編集部にてソフトウェア開発・ネットワーク技術関連の書籍を担当。2012年より第6代SoftwareDesign編集長に就任

写真3 池本 公平 本誌編集長

前例がなくても新しい技術を積極的に使いたい

SD:teratailの開発段階で、苦労したところ、あるいは工夫したところがあれば教えてください。

本橋氏:teratailはQ&Aサイトですが、貯まったナレッジから必要な情報を探し出すという行動から考えると、検索エンジンとしての側面もあります。そこで検索アルゴリズムをまず始めに設計し、それに基づいてデータベースやWebサイトの構造を考えたのですが、この部分には苦労しました。工夫したのはユーザへの通知です。Node.jsでSocket.IOを使って非同期で通知します。ただ現在はteratailに想定以上のアクセスがあり、ユーザ数が当初の数倍の人数になっているので、システム全体の再設計を進めている最中です。

SD:teratailのシステム開発を進めるうえで、とくに意識していることはありますか。

本橋氏:積極的に新しい技術を使っていくことです。社内での開発となると、どこの現場でもそうですが、前例がない、使ったことがないという理由で新しい技術を使わないことがとても多いじゃないですか。そうではなく、せっかくQ&Aサイトをやっているんだから外に聞いてしまおうと。それで実際に試して動かして、問題なさそうであれば導入する。そういった形で、新しいモノをどんどん採り入れたいと考えています。

SD:最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

藤本氏:まず、何か困ったことがあれば積極的にteratailを活用していただきたいですね。質問すれば答えが返ってくるという環境は整備されつつあるので、アクションを起こせば反応があるということを、ぜひ実感してほしいと思います。また、機能強化も積極的に図っています。現在、ほかのユーザをフォローする機能を提供していますが、実はまだまだ開発途中なんです。忙しいエンジニアの方だと、ほかのエンジニアとリアルでつながることはなかなか難しいと思いますが、こうした機能を使ってエンジニアどうしがコミュニケーションをとり、そのうえでお互いに課題を解決し合いながら開発を進められれば、効率的に作業を進められますよね。そういった交流を生み出すためにも、フォロー機能を拡充していきたいと考えているので、ぜひ期待してください。そして、このフォロー機能も含め、現状のteratailが完成されたものだとは考えていません。より便利なツールにするためにも、みなさんの声を聞かせていただけるとうれしいです。ぜひteratailのお問い合わせ機能などを使って我々に要望を伝えてください。

SD:まだまだ改善を続けていくということで、teratailがどのように成長していくのか、本当に楽しみです。今日はありがとうございました。

写真4 レバレジーズにて
写真4 レバレジーズにて
teratail(テラテイル)
http://teratail.com
取材協力/レバレジーズ株式会社
http://leverages.jp

おすすめ記事

記事・ニュース一覧