組込みソフトウェア技術者の登竜門、クラス2試験とは?
(社)組込みシステム技術協会(JASA)はトロン協会、T-Engineフォーラムと共同で組込み技術者試験制度(ETEC:Embedded Technology Engineer Certification。イーテックと呼びます)を2006年6月に創設しました。そして同年11月にJASA組込みソフトウェア技術者試験クラス2は開始されました。現在の受験者プロファイルは主に企業で働く人が中心で開発経験5年までの人が64%を超え、10年までが80%です(2007年3月末現在)。
これまで組込みソフトウェア技術者向けの試験がなかったので、企業での反応は非常によく、社内昇格制度にも活用され始めています。
概要
試験はクラス2試験(エントリレベル)とクラス1試験(ミドルレベル)から成り、ETSSのソフトウェアエンジニアに必要な技術・知識を確認するための試験です。クラス1試験は後日、リリースの予定です。組込みソフトウェア技術者試験は合否ではなく、スコア(点数)方式を採用し、学習の到達度判定、技術者評価に広く活用できます。
出題範囲は技術者として“最低限”持っていてほしい知識
クラス2試験の出題範囲は組込み業界の大手メーカー、組込みソリューション会社が組込みソフトウェア人材モデルとしてスキル項目を策定しました。組込みスキル標準(ETSS)にも第1階層と第2階層で合わせています(表1~3)。
表1 技術要素
第1階層 | 第2階層 | 第3階層 | スキル項目 |
プラットフォーム | プロセッサ | プロセッサコア | MPU、バス、レジスタセット、RISC、CISC、DSP、GPU、MMU、省電力制御、パイプライン、スーパスカラなど |
プロセッサ周辺 | 割り込み、タイマ/カウンタ、DMA、WDT、キャッシュなど |
メモリ | ROM、RAM、Flashメモリ、メモリインタリーブ、デュアルポートメモリなど |
基本ソフトウェア | ブート | ROM化、ブートローディング、スタートアップルーチンなど |
カーネル | タスク、共有ルーチン、システムコールサービス、同期、排他制御、デッドロックなど |
支援機能 | デバッグ機能 | ICE、JTAG、ソフトデバッガ、オシロスコープ、ロジアナ、ログ収集/解析など |
表2 開発技術
第1階層 | 第2階層 | 第3階層 | スキル項目 |
ソフトウェア詳細設計 | ソフトウェアの詳細設計 | 設計手法 | 分割、モジュール化、隠蔽化、フローチャート、タイミングチャート、UML、状態遷移図、設計ツールなど |
信頼性設計、実時間設計 | QoS、誤り検出など |
ソフトウェアの詳細設計レビュー | レビュー | レビュー手法など |
ソフトウェアコード作成とテスト | プログラムの作成とプログラムテスト項目の抽出 | プログラミング | C言語に関すること、コーディング規約、MISRA-C、プログラミング技術、チューニング技術、クロス開発、オブジェクトモジュール、静的解析ツール、カバレッジ、同値分割など |
コードレユーとプログラムテスト項目のデザインレビュー | レビュー | レビュー手法など |
プログラムテストの実施 | プログラムテスト | カバレッジ、同値分割、ホワイトボックステスト、ドライバ、スタブ、自動化テスト、テストツールなど |
ソフトウェア結合 | ソフトウェア結合テスト仕様の設計と実施 | ― | テスト環境設計/構築、テストツールの選定、直交表、カバレッジ、自動化テストなど |
表3 管理技術
第1階層 | 第2階層 | 第3階層 | スキル項目 |
プロジェクトマネジメント | 品質マネジメント | 計測 | 品質特性、ソフトウェアメトリクスなど |
開発プロセスマネジメント | 構成管理・変更管理 | 目的 | 構成管理の目的など |
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