組込み教育委員会

5-3 OMG認定 組込み技術者資格試験(OCRES) 第5回

QoS(サービス品質)~その1

今回は「QoS」について解説します。QoSはQuality of Serviceの略で、一般的には「サービス品質」と訳されています。

“モノ造りに携わる設計者にとって最も重要な基本概念は何か?⁠という質問に対し、第一に品質の概念を揚げることに異議を挟む方は、ほとんどいないでしょう。実際、モノが期待したように動くかという問題(こういったものを「機能要件」と呼びます)を除く、すべての非機能要件は、品質の問題として捉えられます。

それでは逆に、⁠品質とは何か?⁠という質問に対し、⁠機能」という概念を使わずに定義することは可能でしょうか? 実際問題として、意味のある定義はできないでしょう。

根本的に、非機能要件は、機能要件なしに定義することは困難で、両者は表裏一体の関係を形成します。もちろん、品質の概念なしに機能要件、つまり対象システムがどのように振る舞うかだけを語ることはできますが、それは品質の問題が存在しないのではなく、無視されているだけの状態を意味します。

OCRESの体系の根本をなす「一般リソースモデリング」⁠GRM:General Resource Modeling)は、ハードウェアリソース、ソフトウェアリソースを問わず、すべてのリソースの原型となるひな形、メタモデルを提供しますが、このフレームワークの中心が、実はQoSとなっています。言い換えると、⁠一般リソースモデリング」に従ってリソースモデリングを行った場合、常にQoSの概念が暗黙的にコア部分に存在することになります。

したがって、モデリングを語るうえで、QoSの概念は密接不可分なものであり、各モデリング手法を議論する前に、このQoSの概念を押さえて置く必要があります。

読者の中には、TQC(Total Quality Control)やTQM(Total Quality Management⁠⁠、あるいはシックスシグマなどの活動の中で、品質の基本概念を熟知されている方も多いと思いますが、復習もかねて、ここで簡単に品質用語の概説をし、それをメタモデルでは、どう表現されるかを見ていきましょう。また、こういう見方をしていくうちに、メタモデルの作り方も徐々に身につけることができると思います。

QoSカテゴリ(QoS Category)

一口に品質、あるいはQoSといっても、さまざまな種類のものが存在します。たとえば、安全性(Safety)や信頼性(Reliability⁠⁠、あるいはスループットや性能という分類もできます。QoSカテゴリは、こういったQoSの大分類を指し、あらかじめ11個のカテゴリが定義されています。先に挙げた例以外に、セキュリティや使用可能性(Availability)なども含まれます。

QoS特性(QoS Characteristics)

「QoSカテゴリ」「QoS特性」の最も顕著な違いは、前者は直接測定できないのに対し、QoS特性は測定が可能である点です。

例を挙げてみましょう。ある機器はQoSカテゴリの1つである「信頼性」に対し、具体的にQoS特性として、次のような数値を定義するとします。

修理時間3時間以内 など
平均故障間隔120年以上 など
顧客に対する影響サービス中断、反応時間の遅延、誤動作 など

これらは個別に測定できます。また、場合によっては、QoS特性は、複数の特性の組み合わせではじめて意味を持つ場合があり(たとえば、サイズ特性(縦、横、長さ、重量)など⁠⁠、こういったものを「QoS次元」⁠QoS Dimension)と呼びます。

QoS制約(QoS Constraints)とQoSレベル(QoS Levels)

通常、品質はQoS特性になんらかの制約をつけることで決定されます。たとえば、ギア(歯車)のサイズ(直径)が、最小4.5メートル、最大4.50001メートルというように、一定の範囲内であることが要求されるケースがあります。こういったQoS特性に課せられた制約のことを「QoS制約」と呼びます。

また、QoS制約は、用途によって求められる許容範囲が異なることがあります。たとえば、非常に長期に渡って正確に回り続けることが要求されるギア(歯車)がある一方で、正確さは重要ではないけども、短い時間だけ巨大な圧力がかかるギア(たとえば、第一弾ロケットの燃料ポンプ用ギア、最初の1分間だけ圧力と熱に耐えてくれれば、あとは壊れてもかまわないといった機器)も存在します。こういった制約条件の異なるQoS区分のことを「QoSレベル」と呼びます。別の例を挙げると、あるシステムの応答時間が、負荷の低い状態では2秒以内、高負荷時には5秒以内というように、同じもの(システム)に対し、複数のQoSレベル(低負荷時用と高負荷時用)を指定するケースもあります。

図1 QoSサブメタモデル
図1 QoSサブメタモデル

図1は、QoS特性、QoS制約、QoSレベルの関係を示したメタモデルです。この図の意味するところは、特定のQoSレベルに対し、特定のQoS制約が対応し、おのおののQoS制約に対し、QoS特性が関連するということを、非常にシンプルに示しています。

また、図2はQoSカテゴリ、QoS特性、QoS次元の関係を示すメタモデル図です。

図2 QoS特性図
図2 QoS特性図

問題1

Q:QoSについて正しい記述を2つ選べ

  • [A]一般リソースモデリングの根幹を成す
  • [B]QoSカテゴリは直接測定可能
  • [C]QoS特性は直接測定可能
  • [D]QoSレベルは、直接測定可能

答えは[A][C]です。直接測定できる対象はQoS特性だけです(逆に、測定可能なものをQoS特性と定義したという見方もできます⁠⁠。

問題2

Q:QoSカテゴリに含まれないものはどれか?1つ選べ

  • [A]使用可能性
  • [B]性能
  • [C]セキュリティ
  • [D]高品質

答えは[D]です。先に解説したように、[A⁠⁠、[B⁠⁠、⁠C]はQoSカテゴリに含まれます。Dのような概念はQoSカテゴリではなく(QoSカテゴリは、品質が高いとか低いという分類ではなく、目的や用途による分け方⁠⁠、むしろQoSレベルに属する区分です。

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