LinuxCon Japan 2014 Preview

[コラム]Guy Martin氏によるオープンソースとコミュニティについての講演

今年のLinuxCon Japanでは昨今オープンソースの世界での活躍が著しいサムスン社のGuy Martin氏による、オープンソースのビジネス活用に関する特別トレーニングが開催されます。このセッションはもちろんLinuxCon/CloudOpen Japanに参加される方であればどなたでも参加可能です。

Guy Martin氏
Guy Martin氏

今回はLinuxCon Japan 2014 Previewの「コラム」としてこの特別トレーニングセッションをGuy Martin氏ご本人の執筆によりご紹介したいと思います。

オープンソースの持てる力(Power)をお話しましょう

オープンソースは自由に使えるだけでなく、それ以上の大きな力があります。多くの企業が今日、社内のITシステムでオープンソースを活用しています。また、製品の中にも使用しています。しかしそれでも、その多くの企業は、オープンソースを支えているそのコミュニティに直接に関わることをしていないので、オープンソースの持てる力の50%以下しか、まだ活用できていないと言えるでしょう。次の図は、オープンソース活用や関係することができる領域を大きく分けて示しています。

活用(Consume⁠⁠、協調(Collaborate⁠⁠、創造(Create⁠⁠、戦略とガバナンス(Strategy&Governance)
活用(Consume)、協調(Collaborate)、創造(Create)、戦略とガバナンス(Strategy&Governance)
  • 活用(Consume)
  • 協調(Collaborate)
  • 創造(Create)
  • 戦略とガバナンス(Strategy&Governance)

その組織内でオープンソース採用を成功させるうえで、核心、キーとなるのは戦略とガバナンスのモデルです。それは、3つの領域すべてにおいて、企業の進むべき方向を示していきます。オープンソースの活用(Consume)は上記の図の3つの領域で最もわかりやすいものでしょう。だからと言って、簡単に成功できるとは言えません。しかし、その成功を達成させるために良く定義され、繰り返し利用可能なプロセス、ツールは存在しています。

コミュニティは、⁠人⁠⁠、⁠人間」に依存しています。即ち、コミュニティに関係する人達がオープンソースプロジェクトを前に進めるために協調するからです。したがって、オープンソースコミュニティと協調していくことやあなた自身でコミュニティを構築することはとても大変なことなのです。

けれども、オープンソースエコシステムのこれらの領域は企業が新たなマーケットを創造(Create)するうえで、非常に重要なものとなるでしょう。また、企業が活用、支持しているオープンソースのソースコード開発に企業が貢献、協調(Collaboration)することによって、成功しているオープンソースコミュニティの革新的な力を活用することもできるでしょう。

更に、コード開発や、他の面(バグ報告、ドキュメント作成など)で効果の高い貢献をすれば、企業が活用、支持しているコミュニティでリーダーシップを取ることもできるようになります。このコミュニティでのリーダーシップはオープンソースプロジェクトの上に、イノベーション、革新的な技術を構築するためには非常に重要なものです。

Guy Martin氏はサムスン社のシニアオープンソースストラテジスト(Samsung’s Senior Open Source Strategist)で、社内で、⁠企業の視点からどのようにオープンソースコミュニティに参加、寄与すれば成功するか⁠⁠、について基本的な社内トレーニングコースを開発し、社内を教育してきました。もちろん、良質なコードはオープンソースプロジェクトにとって重要ですが、専門意識、プロフェショナルリズムやコミュニケーション能力の増進、発展を通した、より効果的な協調(Collaboration)が成功のためキーであると言った考え方をベースにトレーニングコースはできています。このトレーニングコースを改定したものを使用しでLinuxCon Japanのワークショップで、紹介する予定です(開催日程は今後決定されます⁠⁠。

とくに、このセッションでは以下の情報、戦略をカバーする予定です。

  • オープンソース開発モデルを理解すること、プロプライエタリ、クローズソフトの開発とどのような点が異なるのか
  • アップストリームコミュニティと共に働くことの価値
  • 共に働くべき、正しいオープンソースコミュニティをどのように見つけるか
  • それらのコミュニティとの効果的なコミュニケーションと協調
  • あなたの貢献、コントリビューションやパッチをアップストリームに受け入れてもらう方法
  • コミュニティの基本エチケット
  • ニーズ、期待に対すると企業とコミュニティとギャップに対するバランスの取り方

このトレーニングは、対話形式で行います。したがって、お話している間も、紹介している例、ケーススタディに対する質問は歓迎します。このセッションに参加されると、オープンソース開発、コミュニティ、コミュニケーションの考え方の基本について確固たる理解を得ることができます。また、企業の中で、それをどのように活かすかのヒントを得ることができるでしょう。

Guy Martin氏の経歴

Guy Martin氏はサムスン社のシニアオープンソースストラテジスト(Samsung’s Senior Open Source Strategist)で、サムスン社の代表として、幅広いオープンソースコミュニティと働き、サムスン社内のチームがオープンソースの活用と、オープンソースへの貢献を加速させる手助けをしています。

彼は、20年以上のソフトウェア技術者、テクニカルマーケティング、コミュニティマネージメントの経験があります。この間、米国国防省(US Department of Defense⁠⁠、モトローラ社(Motorola⁠⁠、サンマイクロシステム社(Sun Microsystems)などの企業で、協調的、オープンなソースコミュニティの構築をサポートしてきました。2010年にはUS Department of Defense Forge.mil collaborationプロジェクトでの成果により、Federal Computer Week誌のFederal 100 awardに選ばれました。

また、彼はLinuxCon, OSCON, Red Hat Summit, and SCALE(Southern CA Linux Expo)などの会議で定期的にいろいろなレベルの参加者にオープンソースとコミュニティについて講演しています。

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