販売から分析まで、多彩な機能を備えるMyCommerce
ソフトウェアをグローバルに販売したいと考えたとき、強力な助っ人となるのがデジタルリバーの「MyCommerce 」です。本連載でこれまで紹介してきたとおり、MyCommerceにはeコマースサイトを構築するためのサービスであり、グローバルで展開する上で便利な仕組みを数多く備えています。また収益をデジタルリバーとソフトウェアベンダーで分配するレベニューシェア型のため、初期負担を抑えてeコマースを始められるのも大きなポイントでしょう。
単にコスト負担を抑えられるだけでなく、すぐにeコマースサイトを立ち上げられることも大きなメリットです。そもそもMyCommerceはSaaS型で提供されているため、ハードウェアやソフトウェアを調達したり、それらのセットアップを行ったりする手間はありません。思い立ったとき、すぐに使い始められることもMyCommerceの特長となっています。
アカウントの作成は簡単で、MyCommerceのWebサイト にアクセスし、「 SIGN UP」をクリックするとユーザー登録画面が現れます。ここで基本的な設定を行ってアカウントを作成すると、MyCommerceの管理画面になります。ここで売上状況やオーダー数などを確認できますが、さらに細かい情報は画面上部の「Reporting」メニュー内の各コマンドで参照することが可能です。たとえば「Reports」コマンドでは、プロダクトや国ごとの売上状況を調べられるほか、訪問したユーザーのアクティビティを調べるための仕組みも用意されています。またExcel形式で結果を出力できるため、データをダウンロードした上でExcelを使って分析するといったことが可能です。
MyCommerceのレポーティング画面。表示項目のカスタマイズやExcel形式でのダウンロードが可能なほか、よく使うレポートをお気に入りとして登録できる
「Products」メニューでは、プロダクトの登録や管理のための項目が並びます。たとえば「Add Product」を選択し、登録するプロダクトの種類を選ぶと、プロダクトの名称やバージョン、プロダクトに関する説明、カテゴリ、値段、トライアルバージョンのダウンロード先などを登録するページに切り替わります。ここで販売するソフトウェアの情報を入力するという形です。なおサブスクリプションモデルでの販売にも対応しており、「 Subscription Conditions」欄でサブスクリプション期間の設定や利用料金の登録が可能です。
プロダクトの登録画面。通常のダウンロード販売に加え、サブスクリプション形式での課金にも対応する。なおサブスクリプション期間は複数の選択肢から選べる
ボリュームディスカウントの設定やリセラーの登録も可能
登録したプロダクトの管理を行うのが「Manage Products」で、プロダクトの一覧が参照できるほか、いずれかのプロダクトを選択して「Edit」ボタンを押せば、登録した内容を修正することができます。なおこのページにある「Marketing」という領域では、ボリュームディスカウントの設定が可能であり、10ライセンスの場合はいくらなどといった形で料金設定を行えます。このように、自社の戦略に合わせてきめ細かく設定できることも嬉しいポイントでしょう。
ボリュームディスカウントを設定しているところ。特に企業での一括導入も視野に入れたアプリケーションでは、こうした設定が行えるのは大きい
「Manage Partners」で行えるのは、アフィリエイトやリセラーの登録や管理です。たとえば一般の人たちにブログやSNSで自社の製品を紹介してもらいたいと考えたとき、アフィリエイトプログラムは有効な手段となるでしょう。またビジネス形態によっては、リセラー経由での販売となるかもしれません。これらを管理するのがこのページであり、プロモーションや販売戦略に応じてきめ細かな設定が可能になっています。
リセラー向けのディスカウントリストの設定。すでに海外に販売代理店があるような場合でも、MyCommerceであれば既存の枠組みを生かせる
さらに販売ページのデザインをカスタマイズできる「Design and Layout」があり、自社のイメージに合わせて調整することが可能です。こちらもそのほかの機能と同様に豊富なオプションが用意されているため、自社のWebサイトとデザインを揃えて統一感を出すといったことを容易に実現することができます。また国ごとにカスタマイズできるのも、グローバルに対応したeコマースサービスである、MyCommerceならではの特長でしょう。
Style Editorを利用すれば、ページの外観を細かくカスタマイズすることができる。また国ごとに外観を変えるといったことも可能だ
ここまでMyCommerceの管理画面を紹介してきましたが、分かりやすくシンプルにまとめられている一方、オプションが豊富に用意されているので、自社の戦略や販売モデルに応じて柔軟に設定することができます。また、トライアルバージョンのURLの登録やサブスクリプションモデルの設定など、ソフトウェア販売に特化したMyCommerceならではの項目もあり、機能不足を感じることはほとんどないでしょう。
国・地域によって異なるPRのベストプラクティス
このMyCommerceを利用すれば、手軽にeコマースサイトを構築することができますが、一方で考えなければならないのは自社製品のプロモーションです。当然ですが顧客に自社製品が知られていなければ、いくら魅力的な製品であってもなかなか利益にはつながりません。
グローバルでのプロモーションの検討においては、それぞれの国・地域の事情を勘案することも求められます。たとえば現在主流となっている検索連動型広告(PPC広告)ではGoogle AdWordsが圧倒的なシェアを誇っていますが、場合によっては特定の国・地域に根ざしたローカルなアドネットワークのPPC広告を活用した方が大きな効果が期待できる場合もあります。
アフィリエイトやディスプレイ広告、SEO、あるいはリターゲティング広告やEメールマーケティングなど、さまざまな手段を組み合わせて効果的にプロモーション活動を進めることも意識すべきでしょう。具体的には、リターゲティング広告を活用し、プロダクトをカートに入れるところまでは進んだが、その後何らかの理由でWebページを閉じてしまったユーザーに対し、送料を無料にしたり、あるいはディスカウントを提示したりすることで改めて購買意欲を高めるといった施策が考えられます。
グローバルでのプロモーションを支援するデジタルマーケティングサービス
ただ、このようなプロモーション活動をグローバル全体で効率的に進めるのは決して容易ではないでしょう。そこで活用したいのがデジタルリバーの「デジタルマーケティングサービス」です。サイト訪問者の獲得、コンバージョン、そして顧客の保持の3つのステップのそれぞれでPR戦略を検討、グローバル全体で最適なプロモーションを実施できるサービスであり、負担を抑えて自社の製品をアピールすることが可能です。
デジタルマーケティングサービスの概要。サイト訪問者の獲得からコンバージョンの拡大、そして顧客の保持まで、一貫してサポートする仕組みを整えている
なおデジタルリバーでは、マーケティング専門チームをアメリカやイギリス、ドイツ、中国、台湾、東京の各地に配置しており、世界各国の事情に配慮しながらマーケティング施策を展開できる形を整えていることも魅力です。これにより20言語以上、100カ国以上でプログラムをマネジメントすることが可能であり、安心してグローバル全体のプロモーションを任せられる存在となっています。
具体的な事例としては、グローバルPCメーカーにおけるコマースプラットフォームのマーケティングの実施、グローバル大手の周辺機器メーカーにおけるペイドサーチ広告を活用したトラフィックの拡大、アメリカの大手靴メーカーでのEメールマーケティングを活用した売上向上などがあり、数多くの成果を生み出しています。
もちろん、このデジタルマーケティングサービスはMyCommerceと組み合わせることが可能であり、これにより適切にROIをコントロールしながら世界各地で自社製品の認知度を高めつつ、効率的に自社ソフトウェアを販売することが可能です。このようにプロモーションまでカバーできることも、MyCommerceを提供するデジタルリバーの魅力になっています。