OSSデータベース取り取り時報

第81回 MySQL 8.0.29リリース,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム成果報告会がまもなく

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この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

[MySQL]2022年4月の主な出来事

2022年4月のMySQLの製品リリースは,MySQLサーバー8.0.29,5.7.38の各マイナーバージョンをはじめ,MySQL NDB Clusterや各種Connector, MySQL Shell, MySQL Workbenchなどのクライアントプログラムの商用版およびコミュニティ版のほぼ全ての製品のマイナーバージョンアップが行われました。MySQLのマネージドサービスMySQL Database Serviceのイメージも8.0.29にアップデートされています。

なお商用版で利用可能な監視ツールMySQL Enterprise MonitorはApache Log4j 2の脆弱性対応のために2021年12月に8.0.28, 8.0.29が相次いでリリースされたため,4月のリリースではバージョン番号が8.0.30となっています。Apache Log4J 2の脆弱性(CVE-2021-45105)に対応したバージョンになっていますので,MySQL Enterprise Monitorをご利用中のお客様はお早めにバージョンをご検討ください。

MySQL HeatWaveの機械学習機能 HeatWave ML

第80回で概略をご紹介したHeatWave MLについて,3月29日に行われたOracle Liveでの発表内容を日本語で解説するウェビナーが4月14日に開催されました。ウェビナーの模様は動画で確認できます。

「データベースの中で動く機械学習」HeatWave ML

「データベースの中で動く機械学習」HeatWave ML

MySQL HeatWaveはMySQLサーバーをベースとしたクラウド・データベースで,MySQLサーバーの開発チームがDevOpsを担当している唯一のサービスです。コミュニティ版のMySQL, 商用版のMySQL, さらにクラウド版であるMySQL HeatWaveを同じチームが開発しているため,それぞれの製品間の互換性が確実に保たれ,セキュリティパッチについても迅速かつ同時に提供されます。MySQLベースの他のクラウド・データベースでは互換性が担保されていないケースや,オリジナルのMySQLサーバーと比較してマイナーバージョンが数世代遅れていてセキュリティ上の懸念となるケースが見受けられますが,MySQLサーバーの開発チームが担当するMySQL HeatWaveではそのような課題はありません。

HeatWave MLは「データベースの中で動く機械学習」のため,データベース内のデータをアプリケーションや機械学習用のプラットフォームにデータを移動する必要がありません。そのため機械学習アプリケーション開発は圧倒的にシンプルになり,さらにデータに対するアクセス管理はデータベースそのものでのアクセス管理になるためセキュアな環境を維持できます。

機械学習の機能はオラクルのAutoMLを採用しており,トレーニングで重要となるアルゴリズム選択や特徴選択など多くの部分が自動化されています。

オラクルのAutoMLのパイプラインMySQL HeatWaveユーザーガイドより)

オラクルのAutoMLのパイプライン(MySQL HeatWaveユーザーガイドより)

さらにモデル非依存の説明可能性を全てのモデルに対して提供しているため,HeatWave MLによる判断がどのようなデータの特徴によるものかの解釈を支援できます。機械学習による予測の信頼性の向上だけではなく,日本でも総務省のAIネットワーク社会推進会議などでAIの説明可能性について議論されているように,説明可能性が法律や規則などで求められていくことにもHeatWave MLは対応可能です。

[PostgreSQL]2022年4月の主な出来事

4月はPostgreSQL本体のリリースはありませんでしたので,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアムが予定している成果報告会の事前情報と,代表的な管理ツールであるpgAdmin 4の情報をお伝えします。

5月20日にPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム成果報告会開催

国内の有力企業が集まって共同でPostgreSQLの普及・啓蒙活動や技術検証活動を行っているPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)は,年度ごとに活動成果をまとめて発表をしています。前期2021年度の活動成果の成果報告会が5月20日(金)の午後にオンラインにて開催の予定になっています。この成果報告会は各部会・ワーキンググループが勢揃いし,次の様な盛りだくさんになるはずです(執筆時点での予定に基づいていますので変更になる場合があります⁠⁠。

PostgreSQLのバージョン間の性能比較(定点観測)
毎年恒例の定点観測として,マルチコアCPUにおける性能検証を行っています。バージョン13から14への性能変化の有無や傾向について報告される予定です。
拡張機能の開発について
PostgreSQLの拡張機能開発の手順や,検証で行った開発経緯の紹介が予定されています。拡張機能の開発に挑戦していただくきっかけになるでしょう。
shared_buffersの適正値
shared_buffersを変化させた時の処理性能への影響を検証して,shared_buffersの設定方針について報告される予定です。
PostgreSQLへのデータベース移行手引き
これまでもPostgreSQLへのデータベース移行について調査・検証を進めて来ました。PostgreSQL 14のリリースを迎え,これまでの活動内容の紹介と,以前のPostgreSQLのバージョンと比較した移行のポイントや注意点について紹介される予定です。

この成果発表会の開催案内と参加申込方法は,ゴールデンウィーク明けにPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアムのWebサイトに掲載される予定です。なお,本連載の次号では,この成果報告会の様子をお伝えしつつ,公開された新しい検証成果についても紹介しようと思います。

pgAdmin 4の最近の情報

pgAdmin 4はPostgreSQLの管理ツールで,コマンドラインではなくGUIで操作することができるものです。代表的な管理ツールですので,ご存知の方が多いだろうと思います。少々ややこしいのがバージョン番号でしょうか。pgAdmin 4 の「4」はバージョン番号ではありません。現在の最新バージョンは4月にリリースされた6.8です。 pgAdmin 4は,マイナーバージョンでも新機能が追加されています。ただ,比較的短い間隔でこまめにリリースされているので,この連載で個別のリリース情報をお伝えすることはしてきませんでした。今回は,最近3ヶ月ほどのリリースの状況をまとめておきます。

最新バージョン6.8 (4月7日リリース)
6.8では次の3つの新機能が追加されました
  • サーバーアクティビティセッションビューにトランザクション開始時刻を追加
  • ER図での一意キーのサポートが追加
  • 代替UIDを使用したOpenShiftでのコンテナの実行をサポート
2月~3月のリリース
6.7(3月14日)はセキュリティ面の脆弱性(CVE-2022-0959)とその他のバグ修正をする内容でした。6.6(3月10日)では,AmazonRDSにPostgreSQLサーバーをデプロイする機能が追加されています。また,6.5(2月11日)では,外部WebブラウザでSQLヘルプや,ダイアログヘルプ,オンラインヘルプを開くことができる様になりました。

2022年5月以降開催予定のセミナーやイベント,ユーザ会の活動

データベース比較セミナー ~ データベースの選定ポイント

日程 2022年5月19日(木)14:00~15:00
場所 オンライン開催
内容 Cassandraを中心として超大規模データ処理基盤の構築・運用・サポートを得意とする株式会社INTHEFORESTのセミナーです。このセミナーは,
  • どのようなデータベースがあるのか
  • データベースごとの特徴やメリット,デメリット
  • オンプレとクラウドのメリット,デメリット
が説明されます。
主催 株式会社INTHEFOREST(インザフォレスト)

PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム成果報告会

日程 2022年5月20日(金)13:30~17:00
場所 オンライン開催
内容 本文でも紹介しましたが,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)の2021年度の活動成果の成果報告会です。各部会・ワーキンググループが勢揃いして成果をまとめて報告します。参加募集は連休明けから開始される予定です。PGEConsのWebサイトで発表されてconnpassで事前エントリを受け付けます。
主催 PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)

オープンCOBOLソリューション部会セミナー ~ DXと基幹系システムへのオープンソース適用

日程 22022年5月20日(金)14:00~15:40 ⁠13:30より受付開始)
場所 オンライン開催(Zoomウェビナーを予定)
内容 OSSコンソーシアムでは,基幹系システムへのOSS適用とその鍵となるCOBOLコンパイラopensource COBOL,PostgresSQL向けの埋め込み型SQLプリコンパイラOCESQLを公開しています。本セミナーでは,IPAのDXご担当者の講演とユーザ企業の担当者による本音で語る座談会を通じて,多くのCOBOL資産を抱える基幹システムの今後を考えます。
主催 OSSコンソーシアム オープンCOBOLソリューション部会

オープンソースカンファレンス 2022 Online Nagoya/Hokkaido/Kyoto

日程 〔Online Nagoya〕2022年5月28日(土⁠⁠ 10:00~18:00
〔Online Hokkaido〕2022年6月25日(土⁠⁠ 10:00~18:00
〔Online Kyoto〕2022年7月29日(金⁠⁠,30日(土)10:00~18:00
場所 オンライン開催(ZoomおよびYouTube Live)
内容 オープンソースカンファレンスは,オープンソースの「今」を伝える総合イベントとして,東京だけでなく,北は北海道,南は沖縄まで全国各地で開催しています。2020年の春以降はオンラインでの開催となっています。今後の開催予定は, 5月のOnline/Nagoya(名古屋)6月のOnline/Hokkaido(北海道)7月のOnline/Kyoto(京都)です。Hokkaidoは5月16日まで出展者(セミナー発表)を募集中,Kyotoは5月上旬から募集開始予定です。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会

第33回 PostgreSQLアンカンファレンス@オンライン

日程 2022年5月31日(火)20:30~23:00
場所 オンライン開催
内容
  • 初心者による「使ってみた/動かしてみた」
  • 中級者による「こういうノウハウ使ってる」
  • 上級者(?)による「こういう拡張してみた」
その他,PostgreSQLに関連する話題であれば何でもOK! アンカンファレンス形式なので、何が出るかは当日参加してのお楽しみ。
主催 PostgreSQLアンカンファレンス

著者プロフィール

梶山隆輔(かじやまりゅうすけ)

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。


溝口則行(みぞぐちのりゆき)

TIS株式会社

OSSコンソーシアム副会長兼データベース部会リーダ。他に,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons),日本OSS推進フォーラム(JOPF)にも参画。また,OSS推進活動の他に,日本のIT業界がDX(デジタルトランスフォーメーション)の波の藻屑とならないように,DX推進と変革に微力ながら勤しむ。