OSSデータベース取り取り時報

第82回 MySQL Operator for k8s GAリリース,PostgreSQL 15 β1登場とPGECons成果報告会

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この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

[MySQL]2022年5月の主な出来事

2022年5月のMySQLの製品リリースは,ありませんでした。4月末のMySQL 8.0.29のリリースに合わせて,これまでプレビュー版だったMySQL Operator for k8sがGAリリースとなりました。諸般の事情で製品発表が5月にずれ込んでしまいました。

MySQL Operator for k8sはオラクルのMySQL開発チームが開発するKubernetes用のオペレーターで,Kubernetesを利用中の環境でInnoDB Clusterを用いた高可用性構成を実現するものです。

日本MySQLユーザ会 MySQLリリースノートでわいわい言う勉強会 8.0.29

3ヵ月ごとのMySQLのマイナーバージョンアップにあわせて,日本MySQLユーザ会副代表の坂井さんが中心となって開催しているオンラインイベントが「MySQLリリースノートでわいわい言う勉強会」略してMyリノベです。5月23日に8.0.29のリリースにあわせた勉強会が開催されました。ALTER TABLEでの列の削除時にALGORITHM=INSTANTが利用可能となって高速に列の削除が可能になった点や,またutf8がutf8mb3へのエイリアスになっているおりutf8mb3に統一する方向ではあるものの統一が不十分である点などが取り上げられていました。

MySQL Operator for k8sのGAリリース

MySQL Operator for k8s は2018年にプロジェクトが始まり,一度休止を挟んで4月にGAリリースとなりました。MySQL Operator for k8sは主に以下の機能を持っています。

  • MySQLサーバーやMySQL Routerの自動デプロイや管理
  • 障害が発生したMySQLサーバーの復旧
  • バックアップ
  • ノード台数の拡張や縮小
  • ローリングアップグレード

MySQL Operator for k8s用いた構成例(Cloud Native Database Meetup #3の講演資料より)

MySQL Operator for k8s用いた構成例(Cloud Native Database Meetup #3の講演資料より)

MySQLサーバーの高可用性構成であるInnoDB Clusterを利用することで自動的なフェイルオーバーが行われます。またMySQL Operator for k8sのイメージを利用してMySQL Shellを含むコンテナを作成して,MySQLサーバーへの接続や管理にMySQL Shellを利用することが推奨されています。特定のポッドのトラブル対応などためにInnoDB ClusterのコンテナにもMySQL Shellが含まれているのでそちらを利用することも可能です。

MySQL Operator for k8sのアーキテクチャMySQL Operator for k8sリファレンスマニュアルより)

MySQL Operator for k8sのアーキテクチャ(MySQL Operator for k8sリファレンスマニュアルより)

MySQL Operator for k8sはUniversal Permissive License ⁠UPL), Version 1.0の元でオープンソースとして提供されるコミュニティ版と,サポートサービスを受けられる商用版が用意されています。商用版では今後MySQL Enterprise Editionのセキュリティ機能を利用可能となる予定となっています。コミュニティ版はGitHub上で公開されているのでぜひお試しください。リファレンスマニュアルもMySQL Operator for k8s専用の独立したものが公開されています。

なお現在のバージョンのMySQL Operator for k8sではInnoDB Clusterのシングルプライマリーモードのみに対応し,マルチプライマリーモードには対応していません。また他のレプリケーション方式もサポートされていません。

[PostgreSQL]2022年5月の主な出来事

5月はお知らせしたい情報が盛りだくさんです。そのため,次号以降に繰り越させてもらったものもありますがご容赦ください。

まずは,本家開発コミュニティから次期メジャーバージョン15の最初のベータ版が発表されました。また,現行バージョンのマイナーバージョンアップも出ています。国内からは,注目の拡張モジュールpg_ivmが登場。そして,今回のメインは5月20日に開催されたPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)の成果発表セミナーの報告です。

次期メジャーバージョン PostgreSQL 15のベータ版が登場

5月19日,PostgreSQL Global Development Groupは次のメジャーバージョンであるPostgreSQL 15の最初のベータリリースを発表しました。ただし,一部の機能や改善はベータ期間中に変更される可能性があります。このバージョン15で実現される新機能や改善点については,次回以降に順次取り上げたいと思います。リリースノート以外にも,PostgreSQLに注目している方たちの検証結果なども集まってくるでしょう。なお,正式リリースは2022年の秋〜冬の見込みです。

PostgreSQL 14.3などサポート中バージョンのアップデート

5月12日には,現在の最新バージョン14のアップデート版14.3と,その他のサポート中の全バージョンの最新版(13.7,12.11,11.16,10.21)がリリースされました。このリリースには,過去3ヵ月に報告された多数の修正点が含まれています。また,リリースされたすべてのバージョン系列に共通のセキュリティ修正も含まれていますので要注意です日本PostgreSQLユーザ会の情報⁠。この脆弱性(CVE-2022-1552)については,EDBのブログに詳しく解説されています

pg_ivm(マテリアライズドビューを高速に増分更新する拡張モジュール)

IVM(Incremental View Maintenance)とは,マテリアライズドビューをリアルタイムで高速に更新する機能です。このIVM機能を,PostgreSQLの拡張モジュールとして提供するpg_ivmが正式リリースとなりました。このpg_ivmの開発では,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアムが開発を支援しており,後述するPGECons成果報告会のCR(Community Relations)部会でも説明します。また,この連載でもときどき紹介させていただいている@nuko_yokohamaさんのブログでも早々にチャレンジされています