リクルートライフスタイルの技術力を追え!

第1回 [インフラ編]柔軟性とスピードの両立を目指してクラウド活用を決断

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リクルートライフスタイルが求めるエンジニア像

――そのように判断することになった背景には,どのような理由があったのでしょうか。

写真1 山崎賢氏

写真1 山崎賢氏

山崎氏:リクルートライフスタイルとして,スピード感を持ってビジネスを展開していくことが根幹にありました。そのとき,自分たち自身で管理できるインフラを手に入れないと,サービスをスピーディに展開できません。パブリッククラウドを活用してスピードを担保しつつ,さらに個々のエンジニアがコントロールできる範囲を広げていく。それにより柔軟性のあるサービス展開や運用を実現していこう,ということです。

――そのように考えたとき,リクルートライフスタイルのエンジニアにはどのようなスキルが求められるのでしょうか。

山崎氏:そもそもAWSの利用はそれほど難しいと考えていません。簡単に使えることがパブリッククラウドサービスの利点だと考えているので,AWSを使うこと自体のスキルはあとから習得してもらえばいいかなというレベルです。それよりも求めたいのは,エンジニアとして線を引かないことです。ここから上はアプリケーション,ここから下はインフラ,などと,これまではいろいろな線引きが発生していたと思うんです。ただ今後は,それをすべて包括し,サービスのためのエンジニアリングであるという意識を持てるかを重視しています。

小林氏:そうですね,ザ・インフラエンジニアといった人,あるいはアプリケーションだけを書くという人は,リクルートライフスタイル全体を見るとそれほど必要ではなくなりつつあります。それよりも,開発したサービスに対して高速にPDCAサイクルを回し,どんどん改善できる,あるいは継続的デリバリーができる,そういったエンジニアが求められていると感じています。

インフラまで1人で対応することのメリット

――パブリッククラウドサービスを活用していくことを伝えたとき,社内のエンジニアの皆さんの反応はいかがでしたか。

山崎氏:エンジニアからはあまり反論はなかったですね。むしろ,その方向に向かうべきという意見が多数でした。

小林氏:そうですね。ほとんどのエンジニアが,パブリッククラウドを活用すべきだと思い始めています。そう考えていない人もいますが,やはり少ないですね。

――エンジニアであればインフラまで含めて対応できるべきという意識が,エンジニアの皆さんにあったということでしょうか。

写真2 小林智則氏

写真2 小林智則氏

小林氏:インフラまで対応したいというよりも,自分が関わっているサービスにおいて,Webサーバのチューニングぐらいでいちいち誰かに頼むのではなく,自分で修正したいといった意識がすごく強くなっているのかなと感じています。

山崎氏:たとえばアプリケーションとインフラといった形で分業制になると,部門間の調整が発生し,どうしてもリードタイムが生まれてしまいます。するとスケジュール上のバッファを摘むことになり,結果として開発スケジュールは延びてしまいます。それなら自分たちで対応したほうが速いですし,要求を理解している人が直接対応するほうが安全で正確でしょう。そういった意識はありますね。

オンプレミスからパブリッククラウド移行における課題

――これまで運用してきて,AWSに満足している部分,また逆に課題を感じている部分としては,どういったことが挙げられますか。

山崎氏:従来のオンプレミスのインフラは最大のピークに合わせてサーバリソースを用意するため,平時は10%程度しか使われていないといったことが少なくありません。これに対してAWSにはオートスケーリングなどのしくみがあり,リソースを最適化できます。これは大きなメリットです。

一方,今後解決する必要があると感じている課題は,ストレージのパフォーマンスです。リクルートライフスタイルでは,クラスタ構成を実現するためのしくみであるOracle Real Application Clustersでオラクルデータベースを利用しているほか,大量のメモリを搭載したストレージサーバに表領域を置くなど,パフォーマンスを重視した環境になっています。AWSのS3やRDSではこのパフォーマンスを再現できず,大きな性能劣化が生じてしまいます。マイグレーションにおいては,この問題を解消する必要があります。

小林氏:システムをAWSに合わせれば規模に関わらずサービスを展開できますが,たとえばオンプレミスで頑張ってチューニングしたシステムをそのままAWSに移行しても想定したように動かないし,それだけ巨大なインスタンスも提供されていません。現在はこうした課題を1つずつ潰していくフェーズですね。

合言葉は「許可を求めるな,謝罪せよ」

――リクルートライフスタイルでは今後も活発にサービスを展開するためにエンジニアを積極的に募集しているとのことですが,どういった人が求められているのでしょうか。

山崎氏:エンジニアは技術的好奇心が強い人が多く,ビジネス的な価値などとは遠いところにいる人が少なくありません。でも,僕はそれでいいと思っています。技術がどれだけの金銭的価値を生み出すのかといった話をするつもりはまったくなく,できればエンジニアとして技術の本質を理解し,良いものを生み出していける人と一緒に働けるとうれしいですね。

実はリクルートライフスタイルには,⁠許可を求めるな,謝罪せよ」というキーワードがあります。それぞれの担当者が当事者意識を持ち,わざわざ許可を求めなくても新しいことに積極的にチャレンジすべきだという意味です。仮にそれで失敗しても謝罪すれば良い。会社として大きな成功を目指していく中では,個々人が挑戦しなければなりません。そういった部分に共感できる人であれば,リクルートライフスタイルで活躍できるのではないでしょうか。

小林氏:挑戦ができる人,そしてきちんとユーザに向き合える人ですね。提供したサービスを継続的に改善していくことを考えたとき,エンジニアとして新しいものを作りたいという興味と,ユーザからのフィードバックの双方がガソリンになると思うんです。リクルートライフスタイルのエンジニアには,そのバランスも求められていると感じています。

――本日はありがとうございました。