創刊号巻頭座談会「エンジニアのマインドとは」~ボーナストラック

#4 座談会「エンジニアのマインドとは」

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[画像]ひがひが:Seasar2の1つに,コミュニケーションの1つとしてはてなのダイアリーをすごい利用しているんですよ。それはみんなに言っていて,はてなのキーワードはみんな利用しているんですよ。みんな見るっていう習慣を植え付けているんですよ。そういうところはおもしろいなあと思うんですよ。

吉岡弘隆氏

吉岡弘隆氏

[画像]吉岡吉岡:それはね,まさにインターネットの力なんですよ。

[画像]ひがひが:やっぱり不特定多数の人の意見を吸い上げる仕組みをちゃんと提供した企業のしくみに乗っかっているんですね。それがすごいなあというのが俺の考えです。

[画像]吉岡吉岡:あえてまとめれば,それがはてなやmixiといった,Web 2.0の力なんですよ。

[画像]ひがひが:mixiについては,あんまりそうは思っていない。

[画像]吉岡吉岡:とはいうもののね,コミッティを立ち上げたとするじゃない。ぜんぜん知らない人ががんがんコミッティに入ってくる。カーネルにすごい興味がある人が,会ったことも見たこともない人が入ってくるわけですよ。読書会をするというと,自分は一生会うようなことがなかった人とメディアのおかげで会うことができる。インターネットっていうのはとおりすがりだったり,おもしろいぞっていう人もいて,これはすごいことですよ。10年前は私は間違いなく孤独だった。日本でソフトウェアを作りたかったが,泣く泣く出稼ぎでシリコンバレーに行っているという感じだった。もちろん行きたくていっているんだけど。だけど日本にデータベースを語れるコミュニティがあって,カーネルについて朝から晩まで夜通し語れるコミュニティがあって,尊敬する20歳くらい上のおやじがいたとしたら,間違いなく東京にいましたよ。10年前はそういうコミュニティがなく,あったとしてもアクセスできなかった。だけど,今日の東京でそれを発見しようと思えば発見できるんです。発見しようと思わない人はずっと昼寝してていい。でもプログラムが好きだからしたいと思っていて,この人生ってどうかなと疑問に思ったときに,インターネットで探せば,ひょっとしたら伊藤直也さんの日記にたどりつくかもしれないし,ひがさんや私の日記にたどりつくかもしれない。その日記がいつ書かれた日記かっていうと10年前に書かれたものかもしれない。ちゃんとインターネットに残っていればね。その人に伝わらないといけない。私のメッセージを聞きたいと思っている人が世界に1人いれば。いまそういうテクノロジがあるわけだから。

濱野賢一朗氏

濱野賢一朗氏

[画像]濱野濱野:メッセージ性っていう。

[画像]吉岡吉岡:そうそうそう。猛烈ですよ。それは。だからインターネットに関して金儲けの手段ていうのももちろんあるが,人を救う,癒すメディアでもある一方で,中傷されるとかもあるけど,それ以上に人を励ますとか癒すとか,君のことを聞いている人が世界中で1人はいるよっていうメッセージだと思う。自分の人生で見てみると,私もインターネットやネットワークでずっと住んできて嫌なこともいっぱいあるが,インターネットにギブしてテイクしたものでいうと,テイクしたもののほうがぜんぜん大きい気がする。それが私の実感。良い悪いではなく,私はそう思いますよ。

[画像]ひがひが:俺は別にどっちでもいいんですよ。つねにギブしなくちゃいけないとかテイクは良くないとかはなく,業界そのものが意見の交換でよくて,ギブ&テイクを考えても難しいんじゃないかというのが。

[画像]吉岡吉岡:だからね,伊藤さんの作っているメディアっていうのはすごいんですよ。それによって社会的な影響っていうのはすごいあると思いますよ。本当の意味でのハッカー,自分の意思をプログラムというコードにして社会を変えちゃうってところでいうとハッカーですよね。

[画像]ひがひが:俺の考えはちょっと違っていて,はてなの技術力っていうのは気にしてなくて,すぐ提供できるサービスっていうのを考えていて,それがおもしろくて,というか人にちゃんと納得できる形で認められているから今のはてながあると思っているんですけどね。

[画像]吉岡吉岡:今までのソフトウェア産業は,売れる売れないというのがあったじゃないですか。でもWebの世界ではサービスを提供した瞬間に価値がそのままダイレクトにきまる。そこでのやりとりは本当にいままでのパッケージ型よりも速いですよね。影響力もあるし。良い影響もあるが悪い影響もたぶんありますが。そこはすごいものを作っているなっていうのはある。

ひがやすを氏

ひがやすを氏

[画像]ひがひが:サービス企業っていうのは,気合だと思うけど,Web 2.0系の企業っていうのは,技術力どうのこうのよりも,サービスや価値で判断されるっていうか,すごく良い価値を与えていれば,技術は関係なしに世間的に評価される,そういうものと思うんですよ。

[画像]吉岡吉岡:そのとおりなんだけど,価値を提供するためにはベースとしたテクノロジがあるじゃないですか。それがどんどん上がってきているわけですよ。1人に対してWebのサービスをするのと,10人,100人,100万人にやるのとではぜんぜん違うんですよ。同じ企業でも。そこのスケーラビリティが間違いなくギアチェンジがあるから。

[画像]ひがひが:人数で変わる?

[画像]伊藤伊藤:ぜんぜん違いますよ。たとえば,データベースを考えると,MySQLの InnoDBテーブルでは誰か1 人が読み書き込みをしているときにそのテーブル全体がロックされる。人が増えればそれだけロックの頻度が増えるし,データの量も増えてボトルネックがあちこちに移動する。

コンピュータは直接的なところはわかりやすく見えるけど,見えにくいところは全然わからないから。ある程度増えるととたんに難しくなりますよね。それは表に見えにくい難しさですね。サーバを増やせばいいとか言われるんですが,それができなくてみんな苦労してるんだよ,みたいな。

[画像]ひがひが:そんな単純なことを言う人がいるんだ。

[画像]伊藤伊藤:いますよ。経験がない人ほどそう言がちだと思う。リソースが足りないというのをマシンが足りないと考えていて,お金をかけてサーバを買えば対応できると思っている。

[画像]吉岡吉岡:結局,そのリアルな問題を,東京の現場で日々解決しているわけですよ。その問題をみんなで解こうよっていうのが私の提案なんですよ。それが小さい企業たちのコラボレーションとして,シリコンバレーじゃなくて東京でやろうということになるとおもしろいかなあと。たとえば,Googleはそういう人材を入れ替えして,全部集めて社内でやっているんです。

―続く。