2022年,AWSを図解で学ぼう~最短1日で基礎が身に付く(図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 連動企画)

第2回 AWSの疑問を考える1日~AWSって信用できるの?できないの?

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前回AWSの概要についてお話しました。そこで疑問を持った方もいらっしゃるはず。⁠AWSは信用できるのか,できないのか⁠⁠。

このごろは,クラウドでシステムやサービスを構築している例も多く,AWSやその他のクラウド(Google Cloud,Microsoft Azure)で障害が発生すると,人々の生活に大きな影響が出て,話題になります。人命に関わる騒ぎではないものの,不便を感じますし,何やら不安になりますね。

また,最近では減りましたが,⁠クラウド破産」がエンジニアの間で話題に上ったこともありますし,そもそも「セキュリティは大丈夫なの?」と思う向きもあるでしょう。

第2回の今回は,⁠AWSは便利そう。でも,なんかクラウドって不安なんだよなー」とモヤモヤしている疑問に答えます。

サーバが事故ると,大ニュース!

AWSに限らず,サーバに大規模な障害が起こると「あのゲームがアクセスできない!」⁠このサービスが使えない!」と大きな話題になります。そりゃそうです。15年前に比べ,スマートフォンが全国の全年齢層に広がった今,我々の生活は,常にインターネットにつながっています。そしてネット上の何らかのサービスを使っている時間も非常に長くなりましたね。

たとえば,それ以前は,電車の中でオフラインの携帯ゲームや書籍での読書をしていた人たちも,今はオンラインでスマホを触っていることがほとんどです。待ち合わせのときも,定食屋でちょっと生姜焼き定食を待っている間にも,少しでも退屈な時間があれば,我々はスマホをいじっています。

短い時間以外にも,WordやExcelのようなOfficeツールをオンラインで使ったり,ネットで調べられなければ,仕事にならないという方もいらっしゃるでしょう。コロナ禍になってからは,オンライン会議も増えました。

常にドップリとネットに浸かる生活を送る我々は,どれか1つのサービスが使えないだけでも,大変不自由に感じます。そうすると,できる限りサーバは落としたくないわけですが,AWSも時折騒ぎになっており,⁠クラウドって大丈夫なの?」となるのも無理はありません。

サーバが事故るといろいろな影響がでる

サーバが事故るといろいろな影響がでる

リージョンとアベイラビリティゾーン(AZ)

「AWS(クラウド)って大丈夫なの?落ちないの?」という疑問に対しては「構成による」が,正直な回答です。具体的には,「落ちないサーバなんてないから,お前が冗長性を取っているかどうかだ!!」というところです。

これだけでは,いくらなんでも乱暴なので,AWSの冗長性の仕組みについて解説しておきましょう。

AWSではサーバとデータセンタを世界中の26の地域(2022年1月現在)に置いています。この地理的分類を「リージョン」と言います。我々ユーザがサービスを受けるときは地域(リージョン)を指定します。もちろん,日本にもあります。東京リージョンと大阪リージョンです。

リージョンは,サービス提供の母体のことですが,簡単に言えばデータセンタの単位でもあります。そしてこのリージョンは,さらに複数のアベイラビリティゾーン(AZ)で構成されています。AZは,ザックリと建物と考えるとわかりやすいでしょう。AZは,それぞれ電力源やネットワークなども独立した存在で,数キロメートルは離れている設計です(ただし,100km以内に集まっている⁠⁠。

つまり,⁠東京リージョン」を選んだ場合,東京近辺にある複数のAZのどれかに自分のデータが置かれるというわけです。そして,このAZは複数選ぶことができます。そうです。冗長化です。

図 各リージョンに複数のアベイラビリティゾーンがある

図 各リージョンに複数のアベイラビリティゾーンがある( 図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 より引用)

AWSに障害が起こった場合,⁠○○リージョンのAZの1つに障害が発生」のような言い方をすることがほとんどです。これは,AZが物理的に独立しており,1つのAZの障害が他に影響しないことが多いからです。

逆を言えば,複数のAZに冗長化してあれば,1つのAZに障害が発生しても,大丈夫ということです。ですから,「お前が冗長性を取っているかどうかだ!!」なのです。

AZは,複数選ぶことができますが,義務ではないですし,顧客によっては「大丈夫!大丈夫!俺は運がいいから!」などと障害の起こりやすさを舐めているケースもあります。AZが複数で構成(マルチAZ)されているか,それとも1つだけ(シングルAZ)の冒険野郎なのか。AWSが安全かどうかは,将に設計次第なのです。

なお,東京全体に大規模な天災などがあれば,いくらAZが分かれていても,厳しいでしょう。ミッションクリティカルなサービスの場合は,リージョン(地域)を分けてしまうのが一般的です。

著者プロフィール

小笠原種高(おがさわらしげたか)

愛称はニャゴロウ陛下。同人はモウフカブール。

パソコンで遊んでるように見えて仕事してると見せかける仕事。サーバとか,DBの本を書いていると言う噂と,毎日昼寝しているという噂があります。

著書:
『仕組みと使い方がわかる Docker&Kubernetesのきほんのきほん』(マイナビ出版)
『図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)

Twitter:@shigetaka256