2022年,AWSを図解で学ぼう~最短1日で基礎が身に付く(図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 連動企画)

第3回 EC2に触れる1日~AWSがわかれば,Linuxは勉強しなくていいの……? EC2を学ぼう

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AWSの概要については,掴めてきたでしょうか。

3回目となる今回からは,もう少し踏み込んで,個々のサービスの話をしていきます。もちろん最初に取り上げるサービスは,AWSの代表格と言っても良いAmazon EC2なのですが,最近では,その使い方にも変化が出てきています。EC2の概要を説明しながら,⁠AWSを使うには,何を学ぶべきか」もお話します。

Amazon EC2とは

Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)は,コンピューティングキャパシティを提供するサービスです。簡単に言えば,サーバに必要なもの一式をクラウドで借りられるということです。

この程度の説明では,シンプルなレンタルサーバと同じようなものだと感じるかもしれませんが,AWSの場合は,サーバ機能以外にもいろいろ借りられますし,ネットワークの設計なども自分で行えます。借りた道具を使って自分でサーバを作るようなイメージだというとわかりやすいでしょうか。

ただし,その作業自体は,簡単です。第1回でも軽くご紹介しましたが,Linuxのコマンドをひたすら入力する必要はなく,AMIと呼ばれる仮想イメージ(OSやソフトの組み合わせ)インスタンスタイプ(サーバースペック)などを,ポチポチとマウスで選択すれば,即時に作成されます。操作は,マネジメントコンソールと呼ばれるグラフィカルな画面で行います。

そのため,インストールの待ち時間というものは発生しません。また,リモートで操作できるので,わざわざデータセンターや顧客の社屋に出向いて,ブンブン煩いなかで作業をしなくても良いのです。

まずはマウスで選ぶだけ!

まずはマウスで選ぶだけ!

インスタンスとインスタンスの種類

EC2でサーバを立てる場合,⁠インスタンスを作る」と言います。厳密には,サーバ=インスタンスではないですが,おおよそ「マシンを作る」や,⁠サーバを立てる」と同義と思って良いでしょう。

インスタンスを作る場合,いくつかの設定項目があります。

 インスタンスの作成例

図 インスタンスの作成例( 図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 より引用)

自分の会社で,サーバを立てる時にも,物理マシンのスペックやOS,インストールするソフトウェアなどを選ぶように,EC2でも選びます。

たとえば,「インスタンスタイプ」とは,マシンの用途です。CPU,メモリ,ストレージ,ネットワークキャパシティなど複数のスペックで用意されており,用途に応じて組み合わされています。そこから選ぶわけです。

選び方は,⁠値段が高いけれど処理が速い」⁠処理はそこそこだが,値段が安い」など,何に使うのかを考えて選ぶと良いでしょう。

インスタンスタイプを選んだら,「インスタンスサイズ」を選びます。こちらは,マシンの性能です。たとえば,⁠T2」というよく使われるインスタンスタイプがありますが,T2には,⁠nano」⁠micro」⁠large」など7種類のサイズが用意されており,スケールに合わせて選ぶことができます。

AMIはインスタンスを作るための金型のようなもの

Amazonマシンイメージ(AMI)とは,ソフトウェア構成を記録したテンプレートです。インスタンス(仮想サーバ)を作るための金型のようなもので,マーケットプレイス(AMIが配布されている場所)から,ダウンロードすることもできますし,自分で作ることもできます。

とくに,マーケットプレイスで,各種ソフトウェアの公式が配布しているものが,大変有用で,さまざまなディストリビューションのLinuxや,Windowsサーバ,WordPress,Movable Typeなどがあります。

 AMIはインスタンスを作るための金型のようなもの

図 AMIはインスタンスを作るための金型のようなもの( 図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書 より引用)

駆け出しエンジニアがAWSを学ぶのに,Linuxの知識は必須か?

最近,駆け出しエンジニアの方を中心に,Linuxやネットワークの学習をスキップして,AWSやDockerの学習から始めるケースがあるようです。これについて,侃々諤々の議論もあるようですが,私としては「用途によるかなあ……」という意見です。

ご紹介したようにEC2は,ボタンをポチポチするだけで,簡単にサーバが立てられます。社内のサーバ職人のような人にお伺いを立てなくても,プログラマが気軽に作れるわけです。なので,実験をしたり,ちょっとした用途には,大変良いでしょう。

しかし,顧客が絡んだら話は別です。自分が理解できていないものを顧客に納品すべきではありません。あなたが町の定食屋に入った時に,得体の知れない宇宙生物のお肉を出されても,困ってしまうでしょう。

食べることのリスクや,メリット,調理法がわかっているのならともかく,自分も,定食屋の人も,どちらもわからないようなものを,⁠今日のA定食です」と出されて,⁠ハイそうですか」と,食べるでしょうか。宇宙生物のお肉を食べて,何が起こるのかわからないのと同じように,サーバやネットワークを理解できていないなら,納品しないべきです。何が起こるかわかりません。

AWSの知識,Linuxの知識,用途によってしっかり学ぼう

AWSの知識,Linuxの知識,用途によってしっかり学ぼう

AWSは,大変簡単・便利なものではありますが,一方で,自由度も高く,自分で設計するものです。

私の書いた「図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書」でも,⁠実用的でない」と感想を持つ方がいらっしゃいますが,AWSを使用する上での必要な知識は,書いてあります。本書の内容で,⁠自分でインスタンスを立てられないな」と思ったのなら,それはAWSの知識不足ではなく,サーバやネットワークの経験・知識の不足です。

サーバは,自分のプロジェクトに合ったものを,自分で考えて立てるべきもので,誰かが「これがオススメです」というものを選ぶようなものではありません。似た例を参考にできたとしても,設計するのは自分自身です。

急がば回れという言葉もありますから,具体的なイメージがわかない場合は,サーバ構築の知識を増やして,もう一度挑戦すると良いでしょう。

文中の図は図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書より引用しております。おかげさまで発売後わずか2年ですが,10刷を迎える大ヒットとなりました。

この連載は,その10刷記念として企画されたものです。書籍のほうもよろしくお願いしますね!

著者プロフィール

小笠原種高(おがさわらしげたか)

愛称はニャゴロウ陛下。同人はモウフカブール。

パソコンで遊んでるように見えて仕事してると見せかける仕事。サーバとか,DBの本を書いていると言う噂と,毎日昼寝しているという噂があります。

著書:
『仕組みと使い方がわかる Docker&Kubernetesのきほんのきほん』(マイナビ出版)
『図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)

Twitter:@shigetaka256