少し前の話になりますが、2013年2月にスペインのバルセロナで開催された、Mobile World Congress(MWC)で、iOSとAndroid OSに続く、第三のモバイルOSとして、フィンランドのJolla(ヨラ)が「Sailfish OS」を発表しました。
発表時は、本当に現実のものになるのかと疑問の目で見ていましたが、Sailfish OSを搭載したスマートフォンが、フィンランド国内に限り、VAT込みで?399(おおよそ5万2,000円)で予約販売が行われ、冬までには現実のものになろうとしています。すでに、予約分は完売しており、順調な滑り出しだったようです。
このSailfish OSは、Androidアプリが動作するとされているので、どのようなスマートフォンなのかを見て行きます。
Jollaスマートフォンのスペック
まずは、Jollaスマートフォンのスペックから見て行きます。
表 Jollaスマートフォンのスペック
CPU | Snapdragon 400 1.4GHzデュアルコア |
本体サイズ | 重さ:131 x 68 x 9.9mm、141g |
ディスプレイ | 4.5インチ960×540ピクセル(qHD) |
メモリ | 1GB |
ストレージ | 16GB |
カメラ | AF、LEDフラッシュ付き背面カメラ 800万画素、前面カメラ 200万画素 |
通信機能 | Wi-Fi b/g/n、Bluetooth v4.0(EDR/HS)、AGPS/GLONASS、GSM/WCDMA/LTE |
外部ポート | Micro USB 2.0、micro SDカード、3.5mmオーディオジャック |
センサ | 加速度、ジャイロ、ライト、近接、デジタルコンパス |
バッテリ | 2,100mAhバッテリ |
その他 | デュアルマイク、スピーカ、LED通知ランプ |
特筆するようなスペックを持つ端末ではありませんが、Android端末と似たスペックだと気付くはずです。Jollaスマートフォンは、ハードウェアレベルでAndroid端末と互換性があるとされており、Android端末を流用して、Sailfish OSを搭載した端末を開発できるとされているためです。
Sailfish OSのバックグラウンド
このOSを開発するJollaは、ノキアが開発していたLinuxベースのモバイルOS「MeeGo」搭載のノキアの端末「N9」の開発に関わっていたメンバーで構成されています。ノキアは、N9をリリースしたあと、マイクロソフトと提携して、Windows Phone 7をスマートフォンOSとして採用すると決めました。この決定を受けて、N9の開発に関わる主力メンバーが、MeeGoの資産を活かす許可をノキアより受けて、Jollaが立ち上げられました。
気になるAndroidアプリの動作ですが、粗っぽく言えば、Androidアプリの場合、基板層のOSとアプリの間で動作しているDalvik仮想マシンが先の環境で動作すれば、Android端末でなくても、別のハードウェアで動作すると言えます。Sailfish OS以外では、BlackBerryがBlackBerry 10で同様の試みを行いました。
Sailfish OSには、Myriadが開発するAlien Dalvikが採用されています。
開発元は、APK形式のAndroidアプリであれば、多くがそのまま動作するとしています。また、JollaもAndroidアプリは、改変不要で動作するとしているので、既存のアプリとは、高い互換性を保っているものと思われます。
アプリの入手は「さまざまなアプリストアを通じて入手できる」としているので、GoogleのPlayストアは、搭載されないものと思われ、入手方法が制限されてしまいます。アプリが動くものの、入手できないというジレンマに苦しむことになるかもしれません。
Sailfinsh OSの行く先は不明か?
当面は、Android アプリがSailfish OSの助けになるはずですが、先行するiOSやAndroid OSと方を並べる存在になるまでは、相当な時間がかかるはずです。ただ、何が起こるかわからないのが携帯電話の市場で、5年後には、メジャープレーヤになっている可能性も十分考えられます。たとえば、BlackBerryの没落する姿を、5年前は、誰も想像しなかったはずですから。
Jollaは、端末発売までこぎ着けたので、今後は、エコシステムの構築にも注力していくはずです。Sailfish OSのエコシステムに関しては、不透明な部分を多く残していましたが、今後は、先の展開が明確になるはずです。
ガジェットファンとしては、市場がAndroidとiOSだけになるのは、つまらないので、Jollaには奮闘して独自のポジションを見つけ出してほしいものです。Jollaは、立派なバックグラウンドを持つので、今後の展開が楽しみなメーカです。