ドコモ地図ナビ、キャリアフリー化
12月12日に、これまでドコモのAndroidケータイやタブレットでしか使うことができなかった、「ドコモ地図ナビ」と「ご当地ガイド」を、12月16日からキャリアフリー化すると発表しました。
原稿執筆時点(12/14)では、アプリがPlayストアに公開されていないので、キャリアフリー化したアプリを試すことができていません。動作対象となるのは、Android 2.3から4.3を搭載した端末となっているので、幅広い端末で「ドコモ地図ナビ」と「ご当地ガイド」が使えることになります。
戦略転換で大きなチャンスを得た?
今回、キャリアフリー化されたアプリは、自社回線を持たないユーザでも、キャンペーンとして2014年5月までは無料で使えるとしています。このあとは、どういった扱いになるかは、アナウンスされていません。もしかすると、これを皮切りに、ドコモが持っているコンテンツをキャリアフリー化して開放していくのかもしれません。
キャリアと言えば、料金体系しかり、囲い込みが当然の文化でした。
ドコモに限れば、自前コンテンツを独自に流通できないiPhoneを拒んできた経緯もあります。これまで、囲い込みすることを前提で事業を進めて、これが儲けの種となっていたワケなので、当然とも言えます。しかし、iPhone導入をキッカケにして、戦略転換を行おうとしているのかもしれません。これも推測でしかありませんが、中にはキャリアフリー化したい連中がおり、iPhone導入を口実にして、ようやくこのような動きができるようになったと、喜んでいる者もいるかもしれません。
今回のキャリアフリー化は、ドコモが土管屋にならないための戦略と見ることもできますが、保有しているコンテンツやサービスを自社以外のユーザにもアプローチできるようになったワケなので、大きなチャンス得たとも考えられます。
タイミングは適切なのか?
自社回線を持つユーザ専用としていたサービスやコンテンツを他社回線を持つユーザにも開放することで、大きなチャンスを得たようにも見えますが。実際のところはどうでしょうか?
たとえば、筆者は、知らない土地に行って目的地を探す場合、Googleマップを立ち上げて現在位置を調べ、目的地へ向かうことが習慣となっています。長年これを使っており、この使い勝手に慣れているので、たとえ、ドコモ地図ナビが無料化されたとしても、それを使うのだろうか?と想像すると考え込んでしまいます。
キャリアが同じサービスを提供していても、必ず使うのではなく、別のサービスを使っているユーザも多いはずです。今回は、無料化された「ドコモ地図ナビ」と「ご当地ガイド」は、代替サービスが多くあるだけに、筆者と同様に感じる方は多いはずです。
唯一の牙城は、個人との結びつきが強いメール機能ですが、これも未来永劫、メールでコミュニケーションをとり続けるというワケでもないはずです。すでに、LINEやFacebookなど、別の方法よるコミュケーション手段が台頭しています。
ドコモはOTTとして、存在感を発揮できるのか?
ドコモが持つコンテンツやサービスは、GoogleやAmazon、LINEなどが提供するコンテンツやサービスとかぶるものが多くあります。
GoogleやAmazon、LINEは、回線に依存しないサービスをすでに展開しているので、キャリアフリー化を進めると、それらと真正面から勝負することになるのは間違いありません。となれば、ドコモが先行するサービスプロバイダーとどこまで戦えるのかが見所にはなります。ガチンコ勝負をするためと、スピード感に溢れ小回りの効く運営をするために、別会社を立てるといったことも検討しているかもしれません。
消耗戦になる場面もあるとは思いますが、筆者は、こうした動きを取るのであれば、勝算があるサービスやコンテンツがあるのではないかと考えています。
たとえば、動画配信サービスであれば、先行してキャリアフリーのサービスを展開するhuluは、海外製コンテンツは、字幕がほとんどで、吹き替えコンテンツがほとんどありません。字幕でも構わない人もいますが、吹き替えでないと楽しめない方もいるはずです。huluは、こうした人達にアプローチできていません。このように、先行するサービスでも、スキがなく全方位網で運営していない部分があるので、チャンスがないワケではありません。また、ドコモは日本の会社ですから、足元の市場をよく理解しているはずです。
キャリアフリー化は、はじまったばかりなので、この先がどうなるのか分かりませんが、ドコモが日本のメジャーOTTとして、 iモード全盛だった頃のような存在感を取り戻すのか、今後の動きに注目して期待したいところです。