前回、「新進気鋭のAndroid端末メーカたち」として、小米科技(Xiaomi)を取り上げました。この小米科技(Xiaomi)が開発しているAndroidベースのカスタムROM「MIUI」が全世界で、累計5,000万人ユーザーを突破したと発表がありました。小米科技(Xiaomi)は、これに合わせて、Xiaomi Mi3をプレゼントするキャンペーンを行っています。
MIUIは、他社製の端末でも動作します。手元のGoogle Nexus Sも動作対象機種に入っているので、今回は、多くの人達を虜にしている理由を検証してみます。
Android 4.2.2がベース
Nexus SにインストールしたMIUI 4.5.23は、Android 4.2.2がベースです。
MIUIは、AOSPで公開されているソースコードをベースに開発されたとされていますが、Settingsアプリの[About phone]で表示されるカーネルバージョンを見ると、「3.0.50-Cyanogenmod-gb97752e」との表記があります。広義では、AOSPで間違いないのかもしれませんが、MIUI 4.5.23は、CyanogenModのソースコードがベースになっているのかもしれません。
Nexus Sは、数世代前のハードウェアなので、動作速度に関しては正しく評価ができませんが、Nexus Sで動くMIUIは、操作してから少し間を置いて反応することが多くあります。Android 4.4であれば、必要なハードウエアリソースが少なくなっているので、いくぶんマシかもしれません。MIUIも、いずれは、Android 4.4がベースになるはずなので、その際に再評価してみます。
MIUIの使い勝手は?
MIUIの第一印象は「丁寧に作り込まれている」です。
たとえば、トグルスイッチは、オンにしているとスイッチの背景がオレンジ色になって、オンになっていることが、ひと目で確認できます。チェックボタンも同様で、チェックすると全体がオレンジ色になります。他にも画面の四隅の角が丸められているなど、造り手のコダワリを感じる部分もあります。いずれも、Androidを良く知るユーザーであれば、目新しいものではなく、他でもやり尽くされた手法だと思われるかもしれません。しかし、いくつかの選択肢をセンスよくまとめるのも、それなりの能力が必要なので、筆者は好感を持っています。
標準的なAndroidのホーム画面アプリは、ホーム画面にアプリのショートカットが置けて、ドロワーの中に実体があるという仕組みです。よく使うアプリをホーム画面に配置することで、使いやすいようにカスタマイズできますが、はじめて触る者にとっては分かりづらい仕組みです。MIUIのホーム画面アプリは、ドロワーがなく、ホーム画面にあるアプリが実体になっています。分かりやすく言えば、iOSと同じ仕組みです。見た目だけではなく、Androidの分かりづらい部分にも手を入れているところは評価できます。
このホーム画面は、着せ替えができます。数多くのテーマが公開されており、オンラインで入手できるので、当面飽きることはありません。また、ホーム画面の切り替えアニメーションも、8種類から選べるようになっています。ここまで来るとやり過ぎ感はありますが、楽しめる要素がいくつかあるのは悪くありません。
他、タスクスイッチも独自のモノが搭載されており、アプリの切り替えと終了だけではなく、メモリの使用状況も確認できます。また、メモリを解放するために、すべてのアプリを一度に終了する機能があるなど、こまかな所まで気配りされています。
Playストアと標準アプリは搭載されていない
良いところばかりをご紹介して来ましたが、残念な部分もあります。
一番残念なのは、Playストアアプリが搭載されていないことです。アプリの入手は、MIUI独自のMarketアプリを使います。ここでは、日本語入力アプリのSimejiやFacebookやTwitterなどが入手できます。また、標準的なAndroidに搭載されているGMailやカレンダーなども搭載されていません。
MIUIは常用できるか?
SettingsアプリのLanguageで「日本語」が選択できますが、MIUI自体は日本語リソースがないようで、完全に日本語化されません。とは言っても、日本語は表示できるので、先のSimejiと合わせて常用できないワケではありません。しかし、Playストアや標準アプリが使えないなど、いざ使おうとすると色々と障害は出てきます。
このあたりは、小米科技(Xiaomi)が日本向けに展開し始めれば変わるかもしれませんが、期待薄なので当面はこの状態のはずです。しかし、中国のAndroidベンダーは、勢いがあり、力も付けているので、「まだまだ」と言っている間に、足元をすくわれてしまうかもしれません。
今週は、このあたりで。また、来週。