Android Weekly Topics

2014年7月第1週Android一色だった今年のGoogle I/O

今年のGoogle I/Oは、Android L、Android TV、Android Autoが発表され、Android一色となりました。それでは、順に見ていきます。

次期Android OS「Android L」をプレビュー

まず、次期Android OSの『Android L』がプレビューされました。

名前に「L」と付き意味深ですが、これには、新しいUIのデザイン言語である「Material Design」が採用、Dalvikに替わる新しい仮想マシン「ART」の導入、グラフィックスを強化する「Android Extension Pack」の導入、消費電力を削減する「Project Volta⁠⁠。通知の強化。仕事用とプライベートのアプリとデータを分けることができる「Android for Work」など、盛りだくさんの内容となっています。

中でも注目は、見た目が大きく変わる「Material Design」です。

これのプレゼンを勤めたMatias Duarte氏は、いまは亡きPalm, Inc.で、webOSをデザインした人物です。webOSは、カードメタファーが使われたUIでしたが、Material Designも、これと似てカードメタファーを多用しています。また、アニメーションを随所に使い、操作に対するフィードバックをするところも似ています。

Android TVでリビングにリベンジ

次は、Android TVです。過去にGoogle TVがありましたが、これの巻き返しを計るものです。Google TVとの違いは、ゲームプラットホームでもあることです。操作は、リモコンやゲームパッドの他に、スマートフォンやAndroid Wearでも行えます。また、Google Cast APIにも対応しているので、Chromecastと同じように、タブレットやスマートフォンで見ているコンテンツをテレビに映し出すことができます。

Android TVは、テレビとして登場する以外に、セットトップボックスやゲーム機としても登場してくるものがあるようです。

CarPlayとガチンコ勝負のAndroid Auto

最後は、Android Autoです。

AUDIが2014のCESで、Androidを搭載した車載タブレット「Audi Smart Display」を公表しました。Android Autoは、これの延長上にあるものではなく、カーナビと言われて頭に思い浮かべる車載システムです。

Android Autoのコンセプトは、AppleのCarPlayと似ています。

スマートフォンと車載システムをUSBケーブルでリンクして、GoogleマップやGoogle Play Musicなど、スマートフォンのさまざまな機能を車載システムから利用できると言うワケです。たとえば、Googleマップは、スマートフォンと同じように使えるので、音声入力で目的地を検索して、その結果でナビゲーションをする使い方ができます。

スマートフォンのアプリを車内で使うには、Android Auto向けの対応が必要になります。専用SDKである「Android Auto SDK」が公開されることになっており、これを使うことで、車内で使えるアプリを開発できます。

開発したアプリは、Playストアで配布できるのか、それとも何か配布制限を受けるのか、受けるとすれば、どの程度になるのか、現時点で詳しいことは分かりません。しかし、これまでのカーナビは、不満があってもクローズドシステムなので、改善するアイデアを試すことができませんが、Android Autoで門戸が開かれることになります。かつては、携帯電話も同じような状況でしたが、いまやアプリを使うのは当たり前です。クルマも同じ当然の時代が来るはずです。

Android Autoが特徴的なのは、Open Automotive Allianceに、多くの国内メーカーが含まれていることです。

CarPlayは、細部までAppleがコントロールすることになるでしょうし、日本特有の事情に対応する可能性も低いと考えられます。Android Autoで、独自モジュールの追加が認められているのか分かりませんが、国内メーカーが多く名前を連ねている理由は、ここにあるのかもしれません。

日本独自の事情といえば、ETCやVICS、テレビなどが考えられます。

ETCは、車載システムと決済システムが一体になっており、入り込む余地は無さそうです。次はVICSです。これでは、渋滞情報が得られますが、Googleマップは既に渋滞情報を提供しています。精度の良さで言えば、VICSが優れており、これまでのカーナビと同じ価値を提供するという意味では、取り込む価値はありそうです。最後はテレビです。車内エンターテイメントとしてくくれば、テレビである必要はなく、スマートフォンにダウンロードしたムービーを車載システムのディスプレイを使って、再生するという使い方もあります。

これまでと同じ使い方ができるように、同等の機能が提供される可能性はありますが、ETC、VICS、テレビのいずれもスマートフォンとの接点が希有なので、あれば良い機能から、無くても困らない機能となっていくのかもしれません。

今週は、このあたりで、また、来週。

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