Android Weekly Topics

2014年7月第2週Android TVについて

いつも使っている端末のOSが新しくなるので「Android L」に目が行きがちですが、⁠Android TV」はソニーとシャープが対応製品をリリースすることになっており、こちらも注目のプラットホームです。

さまざまなメディアを扱い、複雑になりつつあるテレビの使い勝手を向上させる手段として、パナソニックは「Firefox OS⁠⁠、LGは「webOS⁠⁠、ソニーとシャープは「Android TV」を使って、テレビを再定義するための取り組みを行っています。

今回は、このAndroid TVが、どういったものなのか迫ってみます。

リビングに初挑戦したGoogle TVとは?

Android TVに触れるまえに、この前身となったGoogle TVを触れておきます。

これは、2世代目のApple TVが発表された1年後の2010年10月に、インテル、ソニー、ロジクールと共同展開する形で世に登場しました。ソニーとロジクールが製品を販売しており、セットトップボックスとテレビ一体型の2種類の形体がありました。これには、Apple TVが搭載したような10フィートUIが搭載されて、ウェブが閲覧でき、Androidアプリが動作するというものでした。

Android TVが、あらためて登場したことからも分かりますが、散々たる結果に終わっています。たとえば、普及のカギを握るコンテンツの拡充は、コンテンツホルダーがGoogle TVに対して積極的ではなく、締め出しをするサービスがあったなど、ハードウェアは揃ったもののコンテンツプレイヤーとしては、片手落ちの状況が続きました。また、ロジクールは、営業損失を計上したことを理由に、2011年11月にGoogle TV端末の生産を打ち切っています。一方のソニーも製品を投入する地域を限定するなど、Google TVには期待をしていなかった可能性があります。

失敗と言っても過言ではない、Google TV。これは、ソニーのSTB
失敗と言っても過言ではない、Google TV。これは、ソニーのSTB

2011年11月には、Android Marketにアクセス可能になり、テレビ放送やYouTube等のコンテンツが検索可能になるアップデートが実施されましたが、これも虚しく終わり、商業的には「失敗」と言っても異論はない結果となりました。

リビングに再挑戦するAndroid TVとは?

Android TVは、Google TVのコンセプトから、大変革があるワケではありません。あったとすれば、Androidを取り巻く周辺状況です。

まず、当時との違いは、Androidで、動画や写真を観たり、ゲームを楽しむことが、当たり前のことになりました。また、テレビにコンテンツを映し出す「Chromecast」も登場して、テレビとスマホの組合せで楽しむ状況ができ上がりました。

Android TVには、こうした状況が反映されています。

Android TVは、Chromecastで出来ることは、すべてできるとしています。また、Android TVは、ゲームプラットホームとしての側面も持っています。

Google I/Oで配布された開発機「ADT-1」には、Bluetooth接続のゲームコントローラーが付属しており、今後、リリースされるテレビやセットトップボックスにも、こうしたコントローラーが付属する可能性があります。

たとえば、外出中にスマホでゲームをして、自宅に戻ったら大画面と専用コントローラーで、続きがプレイできるようになる可能性も考えられます。ゲームデータは、クラウド上に保存することで、どのデバイスを使って遊んでいるかを意識することなく使えるはずです。

Android TVで動作するアプリは、一般的なスマートフォンやタブレットのアプリと互換性があり、簡単な修正作業でTVにも対応可能になります。同じアプリが動作すると言っても、画面サイズの違いなどが気になりますが、Android TVのベースはAndroid Lになると予想され、これで採用されるMaterial Designに従えば、ある程度は吸収できるはずです。また、ADT-1を操作するアプリとして、Playストアにリモコンアプリが公開されています。Android TVであれば、リモコンのような物であれば、アプリで難なく対応できる柔軟性は、これまでのテレビとは違うところです。

ひとつ気になる点があるのは、テレビは、受け身でコンテンツを楽しめるデバイスである点です。これはテレビの美点でもあります。これまで触れた特徴は、ユーザーが積極的に使わなければ、機能しないものばかりです。このままでは、リビングのメジャープレイヤーになれない可能性があります。Android TVは、テレビのように、受け身でコンテンツを楽しめる状況をどれだけ作れるかが、成功のカギとなるかもしれません。また、高機能になるとGMailやSNSの更新通知もテレビで受け取るという話になるかもしれません。間違いではないと思いますが、スマホが行き渡っている状況では、それは不要なはずです。

今週は、このあたりで、また、来週。

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