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2016年11月第3週Android向けVRプラットフォーム「Daydream」開始を発表

11月10日、GoogleはVRプラットフォーム「Daydream」の開始を発表しました。

Google純正ヘッドセットの「DayDream View」は、米国、カナダ、英国、ドイツ、オーストラリアでの販売が開始されています。Daydream Viewは、水中眼鏡のような格好をしているゴーグルで、水中眼鏡で言うと前面のレンズ部分と本体の間にスマホを格納してコンテンツを楽しみます。

Daydream Viewにはヘッドセット以外に、Bluetooth接続の専用リモコンが付属していて、これを手に持って操作します。これには9軸のセンサとタッチパッド、ボタンが搭載されています。センサは、ジェスチャー操作を実現するために利用できます。

Daydream Viewが使えるスマホは、いまのところGoogle Pixelシリーズに限られますが、ZTEの「Axon 7」も年内を目処に、Daydreamへの対応を予定しています。Pixelシリーズの国内販売はアナウンスされていないので、Axon 7が最も早くDaydreamが体験できる端末になるかもしれません。

続々とDaydream対応アプリが登場

Daydreamの開始とともに、いくつかの対応アプリが公開されています。

Google純正アプリでは、その名も「Daydream」というホーム画面をVRモードで表示きるアプリが公開されました。これ以外に、Google Photos、Google Play Movies、Googleストリートビュー、YouTube、Google Arts & CultureがVRに対応しています。

Googleストリートビューは、インドのタージ・マハルのような有名な景勝地150ヵ所がDaydream Viewを楽しめます。YouTubeは、Cardbordに対応したコンテンツがいくつかありましたが、YouTube VRをリリースして仮想大画面を楽しめるようになりました。また、Google Arts & CultureもVRに対応し、仮想空間で芸術作品をじっくりと鑑賞できます。

Google以外では、HuluがVR対応番組を発表しています。

初めてのVR対応番組は「Virtually Mike and Nora」で、コメディ番組で5つのエピソードが配信されることになっています。また、YouTubeに投稿された動画には、Daydreamに対応したアプリのUIが見られて(0:09秒あたりからです⁠⁠、VRに対応したHuluがどういった使い勝手になるか確認できます。

Daydreamの技術トピック

Daydreamのキーワードは「低遅延」の実現です。

どの部分の遅延を軽減しているかと言えば、ユーザの目と耳から入る情報と頭部が動いた時の差です。この差が大きくなると、実際の動きと画や音が一致せずにユーザは違和感を感じます。 たとえば、これまでのCardboardであれば、この差が80ミリ秒から90ミリ秒でした。しかし、Daydreamでは、これを20ミリ秒以下までに縮めています。20ミリ秒を下回ると、違和感がなくなると言われています。

この20ミリ秒を実現すべく、OSおよびハードウェアの両面から見直しが入り、総力をあげて低遅延を実現しています。

OSでは、Android 7.0から導入されたグラフィックAPI「Vulkan」です。

Vulkanは、GPUに近い低レベルのAPI群で、ドライバのオーバーヘッドを削減しています。うまくチューニングすれば、ジャイロやモーションセンサの結果をCPUが処理して、すぐさま描画ができ、これまでよりも高いフレームレートを実現できます。Vulkanはゲームだけではなく、VRのようにセンサから得た情報を処理して、すぐさま描画につなげるアプリでは有効です。

ハードウェアでは、Google Pixelに搭載されているSnapdragon 820のグラフィックコアです。これには、優先度の高い処理が発生すると実行していた処理を中断して、優先度の高い処理を実行する仕組みがあります。

たとえば、VRではユーザの頭の動きに合わせて、すぐさま描画する必要があります。こうした場合に、先に仕組みが有効で割り込み処理が入ってから描画までの時間を短縮します。他に、センサのサンプリング速度も高速化し、これから得た情報を専用のDSPで処理して低遅延を実現します。

これらの技術で、Daydreamは違和感なくVRに没頭できる環境を実現しています。

今週は、このあたりで、また来週。

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