少し前の話ですが、2017年1月9日でiPhoneが10周年を向かえました。Androidは、T-Mobile G1が発売されたのが2008年9月23日なので、2018年に10周年を向かえます。
モバイル業界はMWC 2017まで小休止といった様相なので、今回はAndroidを中心しにしてモバイルOSの10年をふり返ってみます。
10年前と言えば
10年前と言えば、モバイル用OSとしてWindows CEやPalmOSがありました。このころは、スマートフォンという言葉はなく携帯端末は「PDA」と呼ばれていました。これの末期には、電話機能を搭載したPalm TreoやW-ZERO3が登場しており、スマホの原型となっています。
これらと入れ替わる形でAndroidやiOSが登場して、今やモバイルOSの二大巨頭となります。それまでのOSとの違いは、静電式のタッチパネルを使ってタッチ操作をわかりやすく見せたところです。iOSは、UIの基本設計が10年間揺るがない素性の良さも上げられます。
この10年で応用範囲も広げています。
携帯電話向けを軸にして、最初はタブレット向けに拡張されて、その後はテレビ向けの「Android TV」、ウェアラブル端末向けの「Android Wear」、クルマ向けの「Android Auto」、そして、IoT機器向けの「Android Things」と生活のあらゆるところで使われようになりました。
チャレンジしたOSたち
AndroidとiOSの牙城を崩そうとチャレンジしたモバイルOSもありました。
たとえば、Firefox OSはAndroidと共通ハードと基盤OSを使っていましたが、2016年の9月で開発を終了しました。また、CNETが2月2日に伝えたニュースでは、開発やサポートを行っていたチームを解体して50人を解雇する予定と伝えています。
日本では、2014年にauからFirefox OS搭載端末「Fx0」が販売されたり、2016年4月にパナソニックの4Kテレビ、ビエラDX950、ビエラDX850、ビエラDX770に搭載されて発売されましたが、これらに未来はありません。
他、Androidから派生したカスタムROM「CyanogenMod」は、2016年末にCyanogen Inc.の後ろ盾を失い慌ただしく幕を下ろしています。
どちらもAndroidとiOSが持つシェアを少しでも切り崩せれば、ビジネスになると考えてのチャレンジですが、強固なエコシステムが築かれている状況は切り崩せませんでした。
モバイルは停滞市場か?
モバイルは、AndroidとiOSの独占状態がしばらく続き、チャレンジングではないと考えたのか、中国Xiaomiのグローバル担当副社長であるヒューゴ・バーラ氏がFacebookに移籍して、Oculus VRを含むVR/ARの責任者に就いています。
ザッカーバーグ氏は、バーラ氏のことを「ARとVRが次世代の主要なコンピュータプラットフォームになる信念を共有している人物」と自身のFacebookで評価しています。
このように、モバイルの2巨頭の牙城切り崩しに使われていた資金や人的リソースが、これから期待できる分野(VR/ARや音声アシスタント、人工知能など)に向き始めています。
ここまでの10年は、モバイルが話題の中心でソフトウェア開発者もモバイルを優先的に考えて開発したり物事を考えて来ました。多くの人達が使っているので、新技術を実装するプラットホームとして数年単位では活用されるはずです。
しかし、VR/ARや音声アシスタント、人工知能は急ピッチで応用研究が行われています。たとえば、スマートスピーカと言ったように、新たなジャンルや使い方を提案するコンシューマ向けプロダクトが登場しています。まだ、先のことと考えずに、2018年前半は、こうした技術トレンドを追ってみるのも良いかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。