Google I/Oまとめ その2
先週に引き続き、今週もGoogle I/Oで発表された内容に触れていきます。
軽量版OS、Android Goが登場
Googleは、開発中のAndroid Oの軽量版として「Android Go」を発表しました。
Android Goは、新興国開拓向けのローエンド端末に搭載するOSとして位置づけられています。Androidの理念が「すべての人がインターネットに接続できる環境を提供する」なので出るべくして出てきたOSです。
しかし、ローエンドからミドルエンドまでをカバーものは「Android One」があります。
同じ頃に発表されたAndroid 4.4 KitKatでは、512MBのメモリでも動作するように最適化が行われました。しかし、Android 5 Lolipop、Android 6 Marshmallowとバージョンを重ねるごとにメモリ要件が上がり続けて、Y!mobileが取り扱っているAndroid One端末「507SH(Android 7.1)」は、2GBのメモリが搭載されるまでになっています。
また、新興国以外で、Googleがアップデートの面倒を見てくれる格安端末として売られるなど、現実はAndroid Oneの立ち上げ時の狙いとは異なるものになっていました。
OSだけではなくアプリも軽量化
Android Goは、こうした背景を受けて登場しました。これは、100ドル以下の端末に多い1GB以下のメモリ、512MBのメモリで快適に動作することを目標としています。
これまでのAndroid Oneと違うのはOSの動作だけではなく、アプリも十分ではない通信環境を考慮した造りをしているところです。たとえば、Chromeではデータ通信量を削減する仕組みがあったり、YouTubeクライアント「YouTube Go」では、Wi-Fi環境で動画がダウンロードできる機能を持っています。
FacebookやSkypeなどのサードベンダも、こうした軽量版アプリを開発する動きをしています。サードベンダーにとって、伸びしろが大きい新興国市場は魅力的なはずで、とくに広告を収入源としているようなサービスのクライアントアプリは、軽量版アプリがトレンドになる可能性があります。
Android Go搭載端末を製造するパートナーは公表されていません。
Android Oneのように端末仕様をGoogleが定めるのか、また、OSのアップデートは誰が行うかも明らかにされていません。技術情報も公開されていませんが、UIやカーネルは快適に動作するとしています。
Androidは、タブレット用にOSを造り分けしていないので、今回も造り分けをすることなく、チューニングレベルで対応するのかもしれません。たとえば、Android Go端末で、Playストアにアクセスしたときは、軽量アプリが優先してリストアップされるなどの配慮があるのかもしれません。
取り入る隙はなくなった
Android Oからは、メモリが1GB未満の端末にはAndroid Goが搭載されます。
今後はAndroid Goに相当する軽量版を提供するとしているので、ユーザは、Android Goが搭載されていることを意識しない造りになるのかもしれません。
先進国では、スマートフォンが当たり前の存在となり年々要求が高まっていますが、所有するところから始まる新興国市場があるのも事実です。こうした市場は、第3のOSと呼ばれる勢力が担うべきものでしたが、いずれもエコシステムを構築できていません。たとえば、Firefox OSは終了していますし、生き残っているSailfishOSは、ロシア専用のOSとも言える状況です。また、Windows 10 Mobileは、Microsoftのコミット度合いから見れば、先行きは明るいものではありません。
Google自らがローエンドもカバーすることになれば、第3のOSは、価格を武器にすることはできなくなりました。これらに市場はなく、可能性があると考えること自体が幻想と言えるかもしれませんが、これからは、Remix OS for Mobileの『Remix Singularity』のように、Androidの資産を活かしつつ、本家にない考えでチャレンジすることになるのかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。