Android Wear搭載の高級腕時計が増える
Apple Watchに先んじて市場へ投入されたAndroid Wearは、高級ブランドから続々と搭載端末が発売されています。
たとえば、スイスの高級時計のTAG HeuerもAndroid Wearを搭載したスマートウォッチ「TAG Heuer Connected」を発売しており、2017年の新作として「TAG Heuer Connected Modular 45」を今年の3月に発表しています。
最近、ルイ・ヴィトンからもAndroid Wear 2.0を搭載した「タンブール ホライゾン」が発表されています。「グラフィット」「ブラック」「モノグラム」の3モデルの展開で、価格は、グラフィットとモノグラムが29万9160円から、ブラックが36万3,960円からです。
調査会社のStrategy Analyticsが公表した、2017年Q1のスマートウォッチの出荷台数は620万台です。前年同期比で48%増になっており、ゆっくりと市民権を得ていることを裏付けています。これをOS別に見ると、watch OSが57%、Tizen OSが19%、Android Wearが18%となっておりwatch OSを搭載するApple Watchのひとり勝ちです。
Tizen OSを搭載するのは、Samsung Gear Sシリーズのみなので、シェア2位の健闘は意外な結果ですが、シェアだけで見ればAndroid Wearは3位で、高級ブランドからの端末登場を喜んでいるのが虚しくなるほどです。
Intelがウェアラブルデバイス部門を廃止
Apple WatchはApple製のS2 CPUが、SamsungのGear S3は、Samsung製のExynos 7270を搭載しており、いずれもメーカが開発するCPUを搭載しています。Intelは、こうした状況を見て入り混む余地はないと判断したのか、ウェアラブルデバイス部門を廃止したとCNBCが伝えています。
2016年11月の時点で、スマートウォッチ部門の人員を80%削減しており、ウェアラブル関連部門は完全に閉鎖したとされています。Intelプロセッサが搭載されているスマートウォッチと言えば、TAG Heuer ConnectedやNew Balance RUNiQが代表製品ですが、これにはAtom Z34XXが使われています。
Atomプロセッサは、2016年4月に開発終了がアナウンスされています。これを使うスマートウォッチ向けプロセッサも技術的な変化が今後起こることはなく、要求を満たせると考えて継続した研究・開発は必要ないと判断したのかもしれません。となれば、スマートウォッチ部門の人員削減やウェアラブルデバイス部門を廃止は当然です。
停滞ムードで、安くないと売れない
カジュアルな腕時計を販売しているFossilは、スマートウォッチの販売に苦戦しています。同社の決算報告では、売れるには売れたが価格を下げたらの条件付きと報告されました。
カジュアルなスマートウォッチは、安ければ売れるということをFossilが自身で証明をしたことになりましたが、希望は持っておりラインナップを再構築して低価格商品にターゲットを絞る戦略を取るとしています。TAG Heuerやルイ・ヴィトンが、高級スマートウォッチの市場を開拓する一方で、真逆の戦略で市場開拓の動きを取るメーカもあり、基幹となるAndroid Wearの戦略にもなんらかの影響を及ぼす可能性は考えられます。
スマートウォッチの未来をつくるのは老舗か
現在のスマートウォッチは、技術的にどれも横並びで停滞ムードです。技術面からは活性化させるような要因を見いだせていません。しかし、150年間も時計をつくり、売り続けているTAG Houerは、変わらないものへの付加価値のつけ方や維持方法を心得ているように見えます。
たとえば、TAG Heuer Connected Modular 45は、外装が交換可能なパーツで構成されており、ストラップはもちろん、ケースもサテンやポリッシュ仕上げされたチタンやセラミックなどから選択できます。また、ムーブメントを購入すること機械式時計に変更できます。
スマートウォッチのような付加価値を付けた既存製品は、シリコンバレーのアイデアではなく、老舗メーカが持つノウハウが未来をつくりだすのかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。