Ware OSは、音声アシスタントとフィットネスに集中
Googleがスマートウォッチ向けOS「Ware OS」のアップデートを発表しました。Wear OSに名称変更されてから、はじめての大型アップデートです。
今回のアップデートは新しい機能の追加ではなく、スマートウォッチの使い方にフォーカスを当てた内容になっており、Google FitとGoogleアシスタントにアクセスしやすくなるように、ウォッチフェイスが表示されている時の使い勝手が見直されています。
今回のアップデートは、新たな考え方への布石か
具体的には、ウォッチフェイスを表示している状態で、左へスワイプするとGoogle Fit、右にスワイプするとGoogleアシスタントが表示されます。この操作は、ウォッチフェイスの変更に割り当てられていましたが長押しに変更されました。
Wear OSは、タッチパネルを使って操作するUIを採用しています。しかし、操作面が小さいタッチ操作では、いずれは行き詰まるとGoogleは考えているのかもしれません。Googleアシスタントにフォーカスしたのは、将来のWear OSがスマートディスプレイのように音声操作がメインになり、ディスプレイが補助的に使われるUIに変化する布石にも見えます。
音声操作がメインになれば操作面が小さい問題が解決でき、命令を組み合わせることで複雑な操作をすることも可能です。また、音声で命令すれば、操作時間も短くなるので、操作中は腕を持ち上げていると疲れる問題も解決できて良いことづくしです。
ひところは、音声で操作することに抵抗を感じる人もいましたが、スマホやスマートスピーカに搭載された音声アシスタントの普及で、抵抗を感じることも少なくなりました。いまとなっては、腕時計に対して話しかけると言っても驚く人はいません。
もう1つのGoogle Fitへのフォーカスは、通知の受信とフィットネスがスマートウォッチの用途の2本柱であることを理解したうえでの現実的な回答です。新しいWear OSがフィットネスデバイスになることを前提としていたのか、先日、Google Fitが大幅なアップデートを行いました。
これまでGoogleのプロダクトは、バラバラに動いており横の連携が希有なように見えましたが、Wear OSとGoogle Fitは、タイミングをうまく合わしてアップデートが行われており、互いで魅力を高め合っています。
アップデートの先に何が見える?
アップデートは9月から順次配信される予定で、Wear OS 2.0を搭載するほとんどの端末が対象になっています。対象外の端末は以下です。
- LG G Watch
- Samsung Gear Live
- Moto 360 (2014)
- Sony Smartwatch 3
- Asus ZenWatch (v1)
Wear OSは、2014年にAndroid Wear 1.0が公開されてから小改良が続けられて、2016年5月のGoogle I/Oでは、大幅にアップデートされたAndroid Wear 2.0が発表されました。しかし、開発の遅れにより翌年の2017年3月にローンチされます。この後、2018年3月にAndroid WearからWear OSへと名称変更されて現在に至ります。Wear OSは、Androidと比較すれば、ゆっくりとした進化ですが、久しぶりの大型アップデートとなるので、今年はWear OSにとって実り多き秋と言えそうです。
さて、気になるのは、この考え方をさらに進めたWear OSが登場するかです。
将来は、今回行われるアップデートの評価にも左右されるとは思いますが、音声操作をメインにしてディスプレイを補助として使うのは、スマートウォッチに新たな方向性を示す可能性があります。
スマホと比べるとスマートウォッチは、ディスプレイに表示される情報量が限られるので使い方に制約がありました。すべて解決できるとは言えませんが、情報を読み上げるアプローチも考えられます。これも腕時計のスピーカーから音声を再生するのではなくて、スマートウォッチと連係するイヤフォンを装着していれば、音声で読み上げるような使い方をすれば現実的になるはずです。
今回のアップデートをUIの変更と見ることもできますが、新たな可能性を含んだアップデートとして見ることもできます。うまく行けば、来年の秋頃には新たな考えを持ったスマートウォッチが登場しているかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。