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2020年1月第3週Googleのデフォルト検索エンジンリスト公開で「Don't be evil」頭をよぎる

CES 2020で、おもしろそうなガジェットがたくさん登場しましたが、GoogleがEUでデフォルト検索エンジンのリストを公開したニュースは、今後、議論の種となりそうなので触れておきます。

Google、EUでのデフォルト検索エンジンリストを公開

欧州委員会は、2018年7月にGoogleがAndroidに関する独占禁止法に違反したとして、43億ユーロ(約5,235億円)の制裁金の支払いを命じています(2017年には、約24億ユーロの制裁金の支払いを命じられています⁠⁠。これを受けてGoogleは、EU圏内ではデフォルト検索エンジンをGoogle以外から選択可能にするとThe Vergeが報じています。

デフォルトの検索エンジン選択画面は、端末の初回起動時に表示されます。

3月1日から実施されて定期的に変更されることになっています。今回は、2020年3月1日から2020年6月30日までの期間が対象です。また、国に応じてユーザが選択できる検索エンジンのリストも公開されました。

ことのはじまり

話は2017年から始まっており、欧州委員会は「Googleが自社の優位性を利用し、自社の検索エンジンの優位性を強め、競合企業は技術革新の機会を失うだけでなく、健全な競争によって得られるはずの消費者利益も失われた」また「Androidは、オープンソースで開発されているにも関わらず、多くの端末はGoogle製のアプリとサービスをインストールしている状況で、これが独占禁止法に違反している」との理由付けをしています。

欧州委員会の調査は2010年から行われており「Googleの検索結果ページに表示するショッピング比較サービスで、自社を優遇して競合する他社の表示ランクを下げている」が具体例として示されています。

Googleは、これに対して「EUの決定は、Androidを支援するビジネスモデルを否定するもの」そして、⁠我々は多くの選択を提供している」と主張して、上訴する予定としていました。

斜め上の回答をしたGoogle

違反に対する回答方法はGoogleに任せられており、この答えとしてデフォルト検索エンジンをユーザが選択できる方法が提示されました。

先の検索エンジンリストを見るとわかりますが、リストにある31ヵ国中でイギリスを除けば「DuckDuck Go」が選択候補に入っています。この選択肢の表示は、非公式でオークションにかけられ、上位3件の応札者が検索エンジンの選択肢としてリストに表示されるので権利化されています。

DuckDuck Goも応札をして、選択肢に表示される権利を得ていることになり、Googleを含めた上位応札者の合計4件がランダムで表示されます。

このオークションは、2019年8月にGoogleが発表しており、TechCrunchがこれを報じています。

欧州委員会は、GoogleがEUでビジネスをすることを否定しているわけではありません。検索エンジンの選択画面にリストアップする権利を売っても問題はありませんが、筆者と同じように、予想外の回答を持ってきたと感じる方は多いのではないでしょうか。

これで、Googleにとっては厄介ごとがビジネスとなりました。

別の見方をすれば、検索プロバイダを選択する画面の開発コストや検索プロバイダに公平に機会を与える運用コストが発生しているので、これを回収するモデルを実施するのは当然と考えることもできます。

Don't be evil

DuckDuck Goは、お金を支払って選択肢の中に入る決定をしましたが、この方法に対しては反対しています。デフォルトの選択肢に自社の検索エンジンがリストアップされて、ユーザに知ってもらう機会になることは確かだとする一方で、有料制となればこれがGoogleに取って利益になると考えているとのコメントを表明しています。

もう1つ、ドイツ ベルリンに本社をおき、広告収入の80%以上の利益を植林・森林再生する非営利団体に寄付している「Ecosia」は、Googleが行ったオークション自体をボイコットしています。同社CEOのChristian Kroll氏は、BBCの取材に対して「今回のオークションは、欧州委員会の規則の精神に反している」とコメントしています。

多くの検索エンジンプロバイダが、致し方なく付き合っているという印象も受けるので、今回の動きも騒動の種となるかもしれません。Googleのモットーである「Don't be evil(邪悪になるな)」が問われることになりそうです。

今週は、このあたりで、また来週。

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