この記事を読むのに必要な時間:およそ 1.5 分
ユニークな端末を開発するEssentialが閉鎖へ
Androidの父,アンディ・ルービン氏の立ち上げたEssential Productsが閉鎖になりました。発売が期待されていた新しいスマートフォン「Project GEM」はお蔵入りで,Essential Phoneが唯一の製品となっています。
Essentialが業務を終了
2月12日,Androidの父,アンディ・ルービン氏の立ち上げた「Essential Products」が業務停止とThe Vergeが報じています。
Essential Productsは,アンディ・ルービン氏への期待からか3億3000万ドル(約360億円)を調達していましたが,2015年11月の創業から5年も経たないうちに事業を停止することになりました。
Essential Phoneが唯一の製品
Essential Productsは,Essential Homeと名付けたスマートホーム関連製品を発表していましたが発売されていません。よって,スマートフォンの「Essential Phone(PH-1)」が唯一の製品となっています。
2017年8月に発売されたPH-1は,いくつかの問題があったのと699USドルと当時としては高価な価格設定だったため,売上げは低迷し会社を売却する噂話まで出たほどです。PH-1は,こまめなアップデートが行われてジワジワと評価を上げた端末でした。また,いまでは当たり前のディスプレイノッチを最初に採用した端末です。これが,2017年の端末なので業界のテンポの早さを感じます。他,端末が奮わなかったので話題になっていませんが,背面の拡張ポートに付ける360°カメラやMQA対応ヘッドホンアンプも展開していました。
日本で購入できるようになったのは,2018年9月で発売から1年以上経過していました。
IIJmioと楽天モバイルから,Android 9 Pieを搭載したSIMフリースマートフォンとして発売されており,一時期は,Android 9が使える唯一の端末だったこともあり,アプリ開発用として重宝されていたこともあります。
PH-1は,セキュリティアップデートもまめに対応しており,最新のAndroid 10にもいちはやく対応していました。
縦長いスマホ「Peoject GEM」も世に出ず
長らく新製品のないEssentialが2019年10月に,細長いリモコンのような見た目のスマートフォン「Project GEM」を披露しました。これまでのスマートフォンにはない形状で,形状に合わせてソフトウェアもカスタマイズされており,注目を集めた端末で発売が期待されていました。
Project GEMは,OSから細長いディスプレイに最適化されており,目からウロコまではないにしても,大型化するスマートフォンの中で,あるべき姿を示す端末となる可能性もあり期待されていましたが,会社が閉鎖となったために世に出る機会を失いました。
ホームページには,プロトタイプが動作する様子を収めた4本の動画が公開されています。
1つ目は,アプリを使う様子の動画です。GMailを使っているところで,斜めにキーが配置されたソフトキーボードが表示されて,文字入力をする様子が確認できます。どのアプリも無理なく動作しているように見えますが,唯一,Googleマップを使っている様子は,小窓から地図をのぞいているような感じで少々無理があるようにも見えます。
3つ目は,ボイスモードをデモする動画です。端末をボイスレコーダのように持って,背面カメラの下にあるくぼみを押して,音声コマンドを実行する様子が動画には収められています。音声コマンド実行のために,Googleアシスタントが使われているのかわかりませんが,Essential Homeで使われる予定だった音声アシスタントの技術が使われているのかもしれません。
発売の可能性がない製品の動画をホームページで公開しているので,関係者はよほど残念がっているのかもしれません。
ソースコード含む関連情報を公開
PH-1へのセキュリティパッチの提供は2月3日で終了していますが,しばらくの間は現役で使えます。メンテナンス停止に伴い,関連情報やファームウェア,カーネルソースなどがGitHubに公開されています。
こうした情報が公開されたことで,さらに使い続けられるワケではありませんが,これにより開発者がハッキングする機会を得たことになるので,流行らなかった拡張モジュール回りで何かおもしろい展開があるかもしれません。
しかし,ユニークな端末を開発するメーカがなくなるのは残念です。
今週は,このあたりで,また来週。