QualcoomのSoCがハイエンドにスマホから敬遠されている
QualcoomのSnapdragon 865が、Googleの次期Pixelに搭載されない可能性があるとの話がでているので、今回はこの話題を取り上げていきます。
Snapdragon 865がハイエンドスマホで不採用になる?
国内キャリアで、第5世代移動通信システム「5G」が開始されて注目が集まっています。
たとえば、NTTドコモが発表した5G対応スマホは、Samsung Galaxy S20シリーズやSONY Xperia 1 IIなど、すべての端末で5G通信対応のSnapdragon 865(SD865)が搭載されています。
5Gのスタートに合わせて登場した第一弾の端末で、当初は新技術好きのアーリーアダプターがいの一番にサービスを使うとすれば、5G対応端末のSoC(System on a chip)にハイエンドのSoCを搭載するのは当然ですし、Qualcommによれば、Snapdragon 855(SD855)比で、CPUは25%、GPUは20%高速化されているので、性能的にも申し分はありません。
この後に続く5G対応のスマートフォンでは異変が起きているようで、SD865の採用を見送るメーカが出てきているとars Technicaが報じています。
AOSPのリポジトリには、「Bramble」「Redfin」「Sunfish」のコードネームが付けられた開発プロジェクトが存在しています。arc Technicaでは、これらのコードネームは、以下のスマートフォンに相当すると推測しています。
- Bramble : Pixel 5
- Redfin : Pixel 5 XL
- Sunfish : Pixel 3aの後継モデル
arc Technicaによれば、リポジトリには、Googleの次期スマートフォンにはSD865を搭載する情報がないとも報じています。次期PixelとなるPixel 5とPixel 5 XLは、Google Pixelシリーズのフラッグシップモデルです。これまでのPixelには、その世代で入手できるハイエンドのSoCが使われてきました。たとえば、現世代のPixel 4シリーズにはSD855が搭載されているので、Pixel 5シリーズにSD865が搭載されないとすれば異例です。
フラッグシップモデルに、SD865を搭載しない流れは他でも起きており、LGが発表予定のハイエンドスマホ「LG G9 ThinQ」には搭載されてないことが分かっています。LGは、2画面スマホの「LG V60 ThinQ 5G」にSD865を搭載しているので、住み分けをしている可能性もあります。
Sunfishは、Pixel 3aの後継モデルとされていますが、近々Pixel 4aとして登場するモデルで、これは5G通信対応の端末ではない可能性はあります。
Snapdragon 865が使われない理由
SD865が採用されない理由は以下の3点と言われています。
- チップ自体が高価
- 5G通信モデムがSoCに統合されていない
- 必ず5Gをサポートする必要がある
チップ価格は、Roboniqeの記事によればSD855が53ドル前後としています。
Android Authorityの記事では、アナリストのMing-Chi Kuo氏がSD865と外付けの5G通信モデム「Snapdragon X55(SDX55)」のOEM価格が120ドルから130ドルであるとしています。また、SD855のOEM価格が70ドルまでだったとも書かれているので、Roboniqeと記事とおおよそ一致しています。
仮に、SD855を60ドルだとすれば、SD865+SDX55の価格は120ドルからなので、2倍の価格設定です。スマホの需用が一巡して、どのメーカもコストパフォーマンス重視の端末を競って投入している中で、何か後ろ盾でもない限り、世の流れに反する高額化には乗れないということかもしれません。
Googleの次期スマートフォンは、この流れをうまく摑んだ端末とも言えるかもしれません。これをどういった謳い文句で、Googleが売り込んでくるのか気になるところです。
今週は、このあたりで、また来週。