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AndroidをノートPCに変える周辺機器「Mirabook」
ハイエンドAndroidには,モニタに接続するとスマホをPCのように使えるモードを備えている端末があります。たとえば,Galaxy S8以降には,Windowsのように使える「DeX」が搭載されています。
DeXは,活用するには「DeX Pad」というドックを購入する必要があります。使うためには,これに加えて外部モニターとキーボード・マウスが必要です。
下準備に費用がかかるので,ここまでしてDeXを使おうとするのは,これまではパワーユーザくらいでした。しかし,新型コロナウィルスの影響で,テレワークが推奨されるようになり,自宅にPCを持たないユーザがスマホ中心の運用に限界を感じ,スマホをPCのように使える環境として注目する人が増えています。
こうしたユーザには,スマホと組み合わせてノートPCのように使えるデバイス「Mirabook」が最適です。もともとは,Indiegogoで出資を募っていたプロジェクトで,開発に3年の時間をかけて,ようやく「モノ」が登場してきました。
筆者は,国内で先行販売された端末を入手して,Galaxy Foldの組み合わせで使っているので,2回に分けて使い心地をご紹介します。
Mirabookとはなにか?
外見は,一般的なモバイルノートPCのようです。
しかし,搭載されているのはディスプレイとキーボード,タッチパッドだけで,CPUやメモリ,ストレージは非搭載でスマホのそれらが使われます。筆者が組み合わせて使っているGalaxy Foldは,Snapdragon 855,12Gバイトメモリ,512Gバイトストレージなので,スペックだけ見ればPCのようです。Mirabookとは,ケーブル接続でUSB-Cのインターフェースです。
ディスプレイサイズは13.3インチ,解像度はフルHDです。キーボードは英語配列で,ボタンがないタッチパッドを備えています。本体には,ステレオスピーカ,HDMI出力の他,USB 2.0×2,micro SDリーダが搭載されています。
バッテリで駆動するので,4,500mAhのバッテリを内蔵します。充電はUSB-Cです。駆動時間は最大で10時間で,バッテリは本体駆動用だけでなく,スマホの充電にも使えます。
本体サイズは,320×220×15mmで重さは1Kgです。
Mirabookは,どんなスマホでも接続できるわけではなく,デスクトップモードを備えているスマホだけです。たとえば,Samsung DeXやHuawei EMUIデスクトップが使えるスマホが対象です。また,USB-Cから映像出力できるスマホも接続できますが,この場合は画面のミラーリングになります。
The Mirabookイメージ
![The Mirabookイメージ The Mirabookイメージ]()
(公式サイトより)
DeXモードとは
SamsungのDeXも馴染みが薄いので,こちらも触れておきます。
これは,Samsung独自拡張で,Galaxy S8シリーズ以降のハイエンド端末に搭載されています。DeXでは,アプリを1つのウインドウで起動して,これを複数切り替えて使える,マルチウィンドウ・マルチタスクの環境です。操作は,キーボードとマウスで行い,画面にはマウスポインタが表示されます。
DeXが登場した当初は,対応アプリが少なく限られたアプリでしか恩恵が受けられず,不自由な環境という印象が強かったです。しかし,最近では多くのアプリが対応して,当初と比べれば不自由を感じることがなくなりました。
Mirabookを使うとなにが嬉しいか?
結論から書けば,2つが1つになることで手間が減るところです。
スマホとPCを使い分ける場合,それぞれで同じアプリが動作して,クラウド経由してデータ同期を取るのが使いこなしの必須条件です。わかりやすいところでいえば,Evernoteがこうした使い方です。MirabookはPCを使わないので,それぞれで同じアプリが使える必要はありません。また,環境が1つなので,クラウド経由してデータ同期をする必要もありません。
これだけでなく,OSやアプリのバージョンアップ,セキュリティパッチの適用など,少しずつ時間を削られる作業もスマホだけで済むので,本来やりたいことに時間を割けるのはメリットです。
通信環境にも同じことが言えます。PC用にモバイルルータを持ち歩いている方もいると思いますが,この必要はなくてスマホの通信環境が使えます。たとえば,今後,広がることが期待される5Gも,スマホが対応することでいち早く導入できます。LTE内蔵のノートPCと同じように,外出先でもネットへの接続状況を気にすることなく使えます。
今回は,概要紹介だけになりましたが,次回は使い勝手をご紹介します。
今週は,このあたりで,また来週。