Android 11のプライバシー保護強化は大歓迎
7月8日にAndroid 11のBeta 2がリリースされました。このあと、8月にBeta 3がリリースされて、最終版が第3四半期にリリースされる予定です。今回リリースされたBeta 2以降は大きな変更が行われないので、アプリの動作確認などに利用できます。
Android 10で行われたセキュリティの強化は、Android 11でも変わらず、さらにプライバシーが保護が重要視されてきめ細やかなセキュリティ設定が行えます。
iOS 14もプライバシー保護に力を入れており、今後、比較されることもあるかもしれませんが、どちらも成熟したOSなので機能比較して優劣を付けるのではなく、生活にどういった影響をもたらすのか等の目線が必要になりそうです。
それでは、主要な3機能を順に見ていきます。
ワンタイムパーミッションの追加
マイクやカメラ、位置情報などへアクセスするアプリを開くと、パーミッション設定に「常に許可」「許可しない」に加えて「1回だけ許可」の選択肢が加わります。これを選択すると、アプリを起動している最中だけ、マイクやカメラ、位置情報にアクセスできます。
たとえば、QRコードの読み取りアプリであれば、これまでは初回の起動時にカメラへのアクセスを許可していました。これが1回だけ許可を選ぶと、アプリを使うときだけカメラへのアクセスを許可します。これはアプリのアクティビティが生きている間有効で、アクティビティが消滅すると無効になります。再びアプリを開くとユーザにパーミッション設定を求めます。
この機能は、ユーザが意図を理解して使わなければうまく機能しません。OSに実装された機能なので、アプリを改修する必要はありませんが、アプリ側でもパーミッションの求め方を「常時」か「1回だけ」のどちらかをデフォルトに設定できれば、ユーザの負担が減りより使いやすくなりそうです。
バッグラウンド位置情報の扱いの変化
バックグラウンドで位置情報にアクセスするアプリには、Android 10のように簡単にパーミッションを与えられず手順がより厳格化しました。
バックグラウンドで位置情報へアクセスするアプリを起動すると、まずは、フォアグラウンドでの位置情報の利用の許可を求めます。これが、許可されるとアプリがバックグラウンドでの位置情報の利用を必要としたときに、アプリ個別にパーミッションを求めて、設定を行うダイアログが表示します。ここで許可されると、バックグラウンドでの位置情報にアクセスできます。
Android 10では、バックグラウンドで位置情報にアクセスしていたアプリは、定期的にユーザに対して利用許可のリマインドを行っていました。この意図は、アプリがバックグラウンドで位置情報にアクセスしていることを、ユーザに認知させて許可させることが目的でした。
この方法は、75%のユーザがリマインドされた時点で、アクセスを拒否する設定が行っていることが調査によってわかったために手順が改められました。
使っていないアプリのパーミッションを自動リセット
インストールしたものの長期間使っていないアプリは、ユーザが許可したパーミッションが自動的にリセットされる機能が実装されます。
パーミッションがリセットされる期間は、60から90日の間で調整が行われており、リセットされるとユーザに通知されます。リセット後は、次にアプリが起動されたときにパーミッションの設定をユーザに求めます。
Googleの調べでは、定期的に使われているアプリは全体の3分の1程度で、多くのアプリが数回使っただけでアンインストールされず放置されています。こうしたアプリがユーザの知らないところで、端末やユーザ情報を収集しているとは言いませんが、ユーザが許可したパーミッションが自動リセットされれば、ユーザデータが保護されて健全な状態が保たれます。
すべてのアプリに対してパーミッションの自動リセットが適用されれば、より安心してAndroidを使えますが、作りの古いアプリでは機能が損なわれる可能性があるので、当面、この機能はAndroid 11をターゲットにしたアプリが対象です。
プライバシー保護重視は大歓迎
Android 11で導入されるセキュリティポリシーは、より厳格化されてより高度なものになります。ご紹介した仕組みがユーザの利便性を損なわず、プライバシーが保護されるのであれば、Androidは安心して使えるモバイルOSということになります。
ただ、いまのセキュリティは少なからずユーザに不便を強いているのと、高度化すると目的が不明瞭になるので、ユーザにわかりやすく状態を示して理解してもらい、この前提で運用してもらえるようになるのが今後の課題になりそうです。
今週は、このあたりで、また来週。