Surface Duoが発売
8月12日、Microsoftは、かねてから発売を予告していた2画面のAndroid端末「Surface Duo」を9月10日から米国で発売すると発表しました。
Microsoftは、このSurface DuoでWindows 10 Mobile搭載の「Microsoft Lumiaシリーズ」以来のモバイル事業に復帰です。また、コロナ禍の中、多くの製品が発売スケジュールを後ろ倒しにする中で、2019年10月の発表会で言及した、2020年のホリデーシーズン発売予定よりも前倒しの発売となりました。
同じ2020年ホリデーシーズンに発売を予定していた、Windows 10X搭載の「Surface Neo」は、2021年以降の発売に延期されています。理由は、Windows 10Xの2画面対応の開発優先順位を下げたためです。
飛び道具を使っての復帰
Microsoftは、Windows CEから始まり、Windows 10 MobileまでモバイルOSを開発しています。また、Nokiaの携帯電話事業をベースに、Windows 10 Mobileを搭載する自社端末「Lumia」シリーズも発売していました。しかし、ライバルのiPhoneやAndroidに対して打つ手のすべてがうまくいかず、モバイル分野に関しては支配的な立場を築けていないのが現状です。これに対して、ビル・ゲイツ氏がイベントで、自身の仕事をふり返ったときに「Androidの市場が取れなかったことが最大の過ち」と発言するほどです。
そのMicrosoftがモバイルに復帰するので、当然期待をします。
復帰第1弾の端末として高性能をウリにせず、2in1スタイルのSurfaceを持ってPCのハードウェア事業に参入したときのように、2画面を活用する新たな使い方の提案を持って参入するのは、賢明な戦略で今後の展開にも期待が持てます。
2in1に続く新たなジャンルを定着させるか
Surface Duoに搭載されている画面は、Samsung Galaxy Foldのように1画面ではなく、物理的な2つの画面を向かい合わせにして折りたたみます。
Galaxy Foldは筆者も愛用しており、これは画面を広げると7.3インチでタブレット並の画面サイズになります。これだけ見て、タブレットのように使えると考えるのは早計で、画面が大きなスマホとして使うだけで、タブレットのようには使えません(Androidはスマホとタブレットの線引きが曖昧なので微妙なところですが……)。
Surface Duoの2つの画面は、協調して動作します。
片側の画面は5.6インチのAMOLED(1,800×1,350、4:3)で、端末を広げると8.1インチの画面サイズ(2,700×1,800、3:2)となります。これは、タブレット並どころかPCの画面サイズをも超えるほどの解像度です。しかし、物理的に分かれているので、スマホ版のマルチモニタと捉えるのが正しいかもしれません。
PCをマルチモニタで使うと生産性が向上するのと同じ理屈で、スマホにもマルチモニタを持ち込むことで、これまで以上に生産性向上のツールとしてス活用できると考えいるのかもしれません。また、スマホの場合は、画面が増えると表示エリアだけではなく操作エリアも増えるので、うまくすればPC以上の効果が期待できるかもしれません。
Galaxy Foldを使ってわかったように、画面サイズ拡大だけでは、新たな変化をもたらすことはできませんが、2画面であれば、それぞれの画面に別々のアプリが起動できる機能、アプリを全画面で使うときに右左の画面で表示する情報を変える機能、L字に折りたたんで上にアプリで下にキーボードを表示する機能など、ソフトウェアの造り込み度合いが使い勝手を左右し、これが成功の鍵となりそうです。
今、買うべきなのか
Surface Duoに、プリインストールされたアプリは、2画面を想定した造り込みがされているはずですが、サードベンダーのアプリの対応状況や仕上がり度合いが確認できるまで、もう少し様子を見ても良いかもしれません。
Surface Duoは、ガジェット好きにとって目新しい端末で食指が動きますが、いますぐに必要な理由がなければ、本来の発売時期だったホリデーシーズンまで待って、このタイミングで買う・買わないの評価をしても良さそうです。
今週は、このあたりで、また来週。