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2021年6月第2週 HUAWEIの暗器「HarmonyOS 2」がいよいよ姿を見せる

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HUAWEIの暗器「HarmonyOS 2」がいよいよ姿を見せる

6月2日の20時,HUAWEIはオンラインで発表会を開催して,独自OSの「HarmonyOS 2」と搭載する新製品の「HUAWEI P50」「HUAWEI WATCH 3」を発表しました。

注目はHarmonyOS 2です。

これは,今後発売の端末だけでなく既存端末も搭載の対象となっており,中国本土ではおよそ100端末にHarmonyOS 2が配信されます。

米国がトランプ政権下で,安全保証を理由に規制を受けたことがことの発端でした。

これをきっかけに,HUAWEIが独自OSを開発している話が持ち上がりました。2019年8月には,正式発表されて「HarmonyOS」であることが判明します。

このときは,IoT向けのOSとしていました。米国の規制がさらに厳しくなり,AndroidやGoogleのアプリが使えなくなったことでスマートフォン向けの開発が進められます。2020年12月には,HarmonyOS 2のベータバージョンが公開され,今回の発表でいよいよ端末に搭載されることになりました。

どの端末にもHarmonyOS 2を!

ベータ版が評価されたときは,AOSP(Android Open Source Project)版を派生して開発されたものではないかと報じられました。今回は,こうした話を抜きにしてHarmonyOSの特徴を見ていきます。

HarmonyOS 2の特徴の1つに,スマートフォンだけではなく,スマートウォッチやワイヤレスイヤホンなどのウェアラブルデバイスから,タブレットやスマートテレビまでスペックや形状が異なる端末で共通コンポーネントを使い,シームレスに使える共通プラットフォームとして動作します。

この例として,スマートフォンで会話しながらクルマに乗り込むと,車載インフォテインメントシステムに切り替わり,これで通話が続けられるというものです。似たことは,動画や音楽でも考えられます。出歩いていたときに楽しんでいた動画や音楽を車載インフォテインメントシステムが引き継いで,車内に搭載するディスプレイやスピーカで楽しめるという使い方も考えられそうです。

端末間でシームレスに連携できる体験は,映像や音声を同期する技術として,すべての端末で同じ基準で同期する技術や干渉やラグ,パケットロスを抑える技術の導入で実現しているとHUAWEIは説明しています。また,複数の端末をひとつの端末のように機能させるために,分散型のアプリケーションフレームワークとアトミックサービスも組み合わされます。

これと似た体験ができるのは,AppleのBluetoothイヤホンです。

これは,iCloudアカウントが紐付けられた端末でペアリングすると,iCloud経由で端末間に共有されて,この間であればシームレスに使えます。ただ,これは音楽を聴くハードウェアに限った話なので,HUAWEIの取り組みのほうがより広範囲で高度なもので野心的です。

単一OSで複数の端末をカバーする考えは,Androidが登場してまもないころにも唱えていました。

しかし,現状はウェアラブルはスマートウォッチのみ,これも先日の発表で実質はTizenとなりました。タブレットはAndroidでカバーしていますが,スマートフォン向けの余力で対応しているような状況です。他,一部のテレビやクルマでAndroidが使われていますが,スマートフォン以外は苦戦しています。

HarmonyOSは,同じ歴史を繰り返そうとしているように見えますが,技術的には工夫がされています。たとえば,ターゲットハードウェアに応じて,複数のカーネルが使えるオプションを持ちます。カーネルの違いは抽象化層で吸収して,アプリケーションには影響がない仕組みです。

複数のカーネルは,Linuxカーネル,HarmonyOSマイクロカーネル,HUAWEI LiteOSです。Linuxカーネルは,4.19がベースになります。HarmonyOSマイクロカーネルは現時点では不明です。LiteOSは,ARMプロセッサだけでなく,RISC-Vにも対応するようなので,これを搭載した端末が登場する可能性はあります。

ソフトウェア層を複雑にすると,動作するハードウェアをリッチなものにする必要があり,動作する端末が限られてくるので,どのような環境でHarmonyOS動かすことを想定して開発するのか今後の展開には注目です。

まずは,スマートウォッチから

HarmonyOSがあらゆる端末で使えることを自ら示すため,HUAWEIの新型スマートウォッチ「HUAWEI WATCH 3シリーズ」にHarmonyOS 2の搭載がアナウンスされました。なめらかな曲線のケースデザインや健康管理機能の他に,eSIMでの単独通信機能など,これまでのHUAWEI WATCHと同等の機能が提供されます。発売は6月末です。

スマートウォッチはこれまで,スマートフォンのカメラシャッターだったり通話用マイクの役割などの機能を持っているので,いま以上の何ができるようになるのか想像できませんが,HarmonyOSを使いOSレベルで連携を実現することで,いま以上にスムーズな連携が体験できるのかもしれません。ただ,これを享受するためには,相手側もHarmonyOSの必要があるので,まだまだ先の話になりそうです。

HarmonyOSがいよいよ動き出しました。HUAWEIは,技術力があるメーカなので今後の動きには注目です。

今週は,このあたりで,また来週。

著者プロフィール

傍島康雄(そばじまやすお)

5月30日生まれ。

モバイルデバイスが大好物。それで動くアプリの開発に喜びを感じている。スマートフォン前夜のWindows Mobile,PalmOSのアプリに情熱を傾けていたが,最近は停滞気味でコードを書くよりも文章を書く機会が多くなっており,文章を書くのも,プログラミングと同じくらい奥深い作業だと感じている。

ブログ:http://yasuos.com/blog/