スマートフォンと連動して使うレンズ型Wi-Fiデジカメ「ソニーQX10」レビュー

レンズだけのような外観のデジタルカメラとして話題になったソニーのDSC-QX10/100。日本では10月25日に発売されましたが、アメリカでは日本よりも1ヵ月早く発売されました。さっそくアメリカでQX10を購入して試してみました。

DSC-QX10の外観。左はサイズの参考のために置いたGalaxy SIII Progre。厚みは33.3mmとかなりコンパクト
DSC-QX10の外観。左はサイズの参考のために置いたGalaxy SIII Progre。厚みは33.3mmとかなりコンパクト

購入するにあたり、最初に迷ったのがQX10にするべきかQX100にするかということ。QX10のほうが光学10倍ズーム、QX100は光学3.6倍ズームながら1.0インチ型のセンサを持つ高画質仕様となっています。

アメリカでのレビューがQX10よりもQX100が中心で、情報が少ないQX10をこの手で試してみたかったこと、外形の厚みがQX100が55.5mmに対してQX10が33.3mmとよりコンパクトなQX10を手にとってみたかったこと、さらに実売価格が25000円ほど安いQX10のほうが気軽に購入することができたことから、QX10を選択してみました。

開封の儀で改めて感じたユニークさ

出張先のボストンのホテルで宅配されたQX10を受け取り、真っ先に驚かされたのがそのパッケージ。本体の外形にあわせた円筒形でまるで高級チョコレートが入っているような包装です。米国で発売されているものにも、パッケージには日本語での記載が入っていました。

まるでお菓子が入っているような外観のパッケージ
まるでお菓子が入っているような外観のパッケージ
パッケージの中央に収納されているカメラ
パッケージの中央に収納されているカメラ
パッケージには日本語の記載も入っている
パッケージには日本語の記載も入っている

付属品として付いているのが付属バッテリ、スマホに取り付けるためのアタッチメントと充電やデータ通信に使うためのUSBケーブル。USB用のACアダプタは付属しないので充電にはパソコンのUSBポートに接続したり、別途ACアダプタを用意して充電する必要があります。

バッテリの容量は630mAhで取り外しが出来るようになっているため予備のバッテリを持ち歩くこともできます。 バッテリ充電用の端子がAndroidのスマホで広く使われているUSB Micro-B端子というのも嬉しいところ。旅行先などでは持ち歩くケーブルが少なくてすみます。

実際に使ってみたバッテリの持ちですが、一日を通してバッテリが切れてしまうことは稀でした。Wi-Fiのためにバッテリを使うものの、従来のデジカメのように液晶の表示のための電力が不要なため、こまめにオンオフしていれば半日から一日はバッテリが持ちそうです。気をつけなくてはいけないのはバッテリの残量表示がなく、バッテリの持ちがいいため、ついつい充電をしておくのを忘れてしまうことです。

実際に使ってみると筐体のコンパクトさをさらに実感

冒頭でもQX10とQX100の違いについて簡単に触れてみましたが、改めて両モデルの違いをまとめてみたいと思います。QX10のほうがコンパクトで高倍率ズーム、QX100はカールツァイスレンズの高画質モデルとなっています。

QX100のセンサが1.0型に対して、QX10はコンパクトカメラで多く使われている1/2.3型。QX100のレンズはカールツァイスレンズで光学ズームはQX10の10倍に対して、3.6倍にとどまりますが、QX100のレンズのF値はF1.8-4.9と明るく、QX10のF値はF3.3-5.9となっています。ただワイド端時の焦点距離が35mm換算値静止画4:3時でQX100が30mmに対してQX10が25mmとなっており、QX10のほうがより広角での撮影が楽しめます。(QX100は静止画3:2時は焦点距離28mmとなります)

QX10でワイド端時とテレ端時で同じ地点から撮影をしてみました。

QX10で焦点距離25mm(35mm換算値)で撮影
QX10で焦点距離25mm(35mm換算値)で撮影
QX10で焦点距離250mm(35mm換算値)で撮影
QX10で焦点距離250mm(35mm換算値)で撮影

スマートフォンを使ってこれだけの高倍率ズームが楽しめるというのはやはりちょっとした感激です。

スマートフォンとの接続は専用アプリとWi-FiまたはNFCでの接続となります。ソニーがAPIを公開しているため、今後QX10/100に対応したアプリが第三者からも登場してきそうなのが楽しみなところ。気になる接続に必要となる時間ですが、Wi-Fiの場合でレンズ本体の電源を入れた状態からアプリを起動してから20数秒といったところ。

iPad mini Wi-Fiモデルで接続する場合は、通信用に接続しているWi-Fiから、QX10へとWi-Fiの接続を設定から変更する必要があります。Wi-Fiでインターネットに接続しながらQX10に接続することはできないので、この点が不便だと感じる人は注意が必要です。

スマートフォンへは付属のアタッチメントを使って取り付けることができます。アタッチメントの厚みが1センチほどありますが、レンズ型カメラ本体についている3mm程の出っ張りをアタッチメントのくぼみにはめ込む形で使用するため、アタッチメント装着時の厚みは本体の厚み3.3センチ+1センチではなく、約4センチ程になります。QX100の厚みは55.5mmですので、その場合は6センチ程ということになりますね。

QX10をスマートフォンに装着した状態
QX10をスマートフォンに装着した状態

ズームをテレ端いっぱいに設定した場合の本体全長は、6.8センチ程、ワイド端時で5センチほどとなります。

QX10をテレ端いっぱいにズームした状態
QX10をテレ端いっぱいにズームした状態

QX100の厚み55.5mmというのは、上の写真で2つめのレンズ鏡胴の境目ぐらいまでということになります。かなり存在感や使い勝手が変わってきそうです。この本体のサイズの違いもQX10とQX100の両方モデルで迷う大きな要素となりそう。重量もQX100の約179gに対して、QX10が約105gとなります。この重さの違いはスマートフォンに装着した場合にも響いてくるので撮影の軽快さにも大きく影響を与えると思います。

スマホに接続せず、ノーファインダー撮影で楽しむ

QX10を購入してみていろいろと写真を撮ってみたところ、スマホに装着せず構図を確認しないで撮影してもいろいろと楽しめることに気づかされます。隠し撮り・という訳ではありませんが、周りの人の注意を引かず、自分でも思いがけなかったアングルで撮れるのが面白いところ。撮影後にPlayMemories Mobileアプリを立ち上げて、⁠設定>カメラからコピー」を選択することで、スマートフォンと接続せずに撮影した写真もスマホにコピーして確認することができるので、後で時間があるときにまとめてどんな写真が撮れたか楽しむことができます。

町中でスマートフォンに接続せずカメラ本体のみで撮影
町中でスマートフォンに接続せずカメラ本体のみで撮影
ボストン市内のフードトラック。ハイアングルでもレンズカメラ本体を片手に掲げて簡単に撮影ができる
ボストン市内のフードトラック。ハイアングルでもレンズカメラ本体を片手に掲げて簡単に撮影ができる
手持ちで撮影。普段スマートフォンで撮影するよりも、低位置からの撮影のため通常の目線で撮影したときよりもダイナミックな画像に
手持ちで撮影。普段スマートフォンで撮影するよりも、低位置からの撮影のため通常の目線で撮影したときよりもダイナミックな画像に

このカメラの特徴でもあるのですが、スマートフォンに装着せず様々なアングルや位置から撮影ができるので、スマートフォンで構図を確認せずにとると、思いもよらない傾きやアングルからの撮影となって新しい撮影スタイルに気づかされたりします。

撮影位置が従来のデジカメと比べて自由度がとても高いので、こんな変わり種写真も撮影できます。

カメラのアングルが自由に選べるので、iPadの アプリにレンズを向ければ、こんな変わった写真も撮れてしまう
カメラのアングルが自由に選べるので、iPadの アプリにレンズを向ければ、こんな変わった写真も撮れてしまう

もちろん構図をバッチリ決めたいときは、アタッチメントを装着して撮影。こんな楽しみ方ができるのがこのカメラの醍醐味です。

ボストン美術館にて撮影
ボストン美術館にて撮影

使ってみて正直イマイチだと感じた所

iPad miniではそれほど問題にはならなかったのですが、Galaxy SIII Progreでは明るい太陽の下では画面が全く見えなくなってしまうので、QX10を使って屋外で撮影を行うには厳しいものがありました。屋外で使用するには、QX10でセットで使うスマホの画面が日光下でどれだけ使えるかの検証が不可欠となります。

このぐらいの曇り空でもスマートフォンの機種によっては画面が視認できず屋外では撮影が厳しいと感じる場合も
このぐらいの曇り空でもスマートフォンの機種によっては画面が視認できず屋外では撮影が厳しいと感じる場合も

スマホへのWi-Fi接続に多少時間がかかるのも難点といえば、難点ですが、QX10本体だけでもシャッターを切ることもできますし、スマホ本体で撮影することもできますので、こうした製品だと割り切って使えるのであれば問題ないと思います。いざという時にズームができるカメラをコンパクトに持ち歩きたいというニーズには十分答えてくれる製品です。

ただQX10本体のシャッターボタンとズームキーが本体左側に付けられているのが気になりました。上部にあると誤ってシャッターを切ってしまうことを考慮して側面につけられたのかもしれませんが、右手で親指を使って操作をするのには向いているものの、逆に左手で持って操作をするのはかなり難しく、手持ちで撮影をする場合にいろいろなアングルで撮影ができるという特色があるにも関わらずシャッター位置を考えて持ち方を工夫する必要がでてきます。操作ボタンは上部にあったほうが、自由度が高くて良かったように感じました。

こうした懸念点がいくつかあるものの、今までにはない使い方ができるとても楽しいカメラです。とくにQX10は厚みがなくコンパクトで軽量なため、毎日常備したくなる魅力がある製品に仕上がっています。

約25,000円という実売価格はコンパクトカメラとして考えるととくに安い価格ではありませんが、いろいろな楽しみ方ができる別売のレンズと考えると魅力的な価格。スマホ時代ならではのカメラの可能性を感じさせてくれる商品です。

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