一般記事

働き方を変えたければ,新しい施策を乱発する前に,時代遅れの仕事や慣習をやめませんか?

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

「仕事ごっこ」「やりたくない仕事」ではない

  • 「⁠⁠仕事ごっこ』をなくすとは,やりたくない仕事をやめることでしょうか?」

そのように捉える方もいるのですが,それは誤解です。

よく槍玉に挙げられるのが会議ですが,会議が必ずしも悪いわけではありません。会議を重ねることで,正しく新しいアイデアが生まれるならば,やったほうがいいでしょう。

あるいは,修行のような事務手続きをなくして,そのぶん雑談を増やしていく。お互いを知ることで,信頼関係を築いていき,仕事をしやすくする。それはヘルシーなことだと思うんです。

  • 「自社がどこで価値を出すのか?」
  • 「どんな⁠らしさ⁠を評価していくのか?」

それを考え,話し合いながら,⁠その組織において)なにが「仕事ごっこ」で,なにが「仕事ごっこ」ではないのかを,主体的に判断していってほしいのです。

とはいえ,何を「仕事ごっこ」と疑えばいいのか,指針が必要ですよね。私は,⁠仕事ごっこ」を以下のように定義しています。

  • 生まれた当初は合理性があったものの,時代や環境や価値観の変化,および技術の進化にともない,生産性やモチベーションの足をひっぱる厄介者と化した仕事や慣習
  • コラボレーション,ひいてはその組織とそこで働く人の健全な成長を邪魔をする形骸化した仕事や慣習。あるいは,仕事のための仕事

ビジネスにおけるコミュニケーションやスピードの邪魔をするもの。ひとことで言うならば,⁠コラボレーションを邪魔するものをなくせ」です。

組織がアップデートされないと,従業員や取引先もアップデートされない

技術の進化に伴い,相対的にそれまでの仕事のやり方が陳腐化することはよくあります。たとえば,FAXは出たときは画期的でした。手書きしたものが一瞬で送れる手段はありませんでしたから。でも,今はどうでしょう。それにとって代わる電子メールがあります。そして,メールでさえ,今や

  • 「ビジネスチャットを使うほうがいいのでは?」
  • 「クラウドサービスを使うほうがいいのでは?」

などと,コラボレーションのスピードを阻害するものとして捉えられるケースも。

紙書類や事務手続きの嵐で疲弊する職場はまだ多いですが,最新技術で作業を代替することでスリム化できている自治体官公庁もあります。旧来の非効率なやり方を続ける企業は,新しいやり方を取り入れている他社に比べて,相対的に遅れをとることになります。結果として,コラボレーションできない残念な組織になってしまうのです。外を見る。技術に敏感になる。新しい知識を取り入れていく。そのような姿勢が求められます。

組織がアップデートされないと,その従業員やお取引先もアップデートされないことになります。大企業でも「45歳でリストラ」という話が話題になっていますが,特定の組織の⁠あたりまえ⁠にあわせて仕事をしていたら,ある日突然「あなたはいらないよ」と言われてしまう時代なのです。そんなときに,ほかの環境で仕事ができるかどうか。エンプロイアビリティ(雇われるに値する能力)があるか。ともすれば,組織と個人がなかよく共倒れになってしまう。だからこそ,⁠組織の発展」「個人のキャリア⁠⁠,双方の観点で「仕事ごっこ」をなくしてほしいのです。

「業務デザイン」の発想もあわせて,すべての人が本来価値にフルコミットできる社会へ

「仕事ごっこ」をなくすのとあわせて考えていただきたいのが,⁠業務をデザインする」という考え方です。

たとえば,問い合わせ対応。月末になると社員から経費の申請がくるが,ミスの差し戻しが多い。経理担当と社員,お互いの時間が奪われるけれど,仕方がないことだと割り切っている。社外の方から問い合わせやクレームがあれば,営業であっても,経理であっても,技術者であっても,⁠対応するのがあたりまえ」と考えて仕事をしている。そんな組織も少なくないのでは?

「問い合わせに対応するのがあたりまえ」の世界だと,毎回答えざるをえません。でも,

  • 「そもそも問い合わせを減らす,なくすにはどうすればいいのか?」

という発想もあります。実際に,

  • 「画面のデザインを直感的なものにしたら,操作のミスが減って,問い合わせが少なくなった」
  • 「社内報や会社のポスターで操作法を掲示したら,問い合わせが3割減った」

といった事例もあります。まさに「デザイン(設計⁠⁠」の観点です。私の著書の業務デザインの発想法でそういった観点を体系化してあります。

そもそもの問い合わせがなくなれば,その時間を利用者もスタッフも有意義に使えますし,ストレスもなくせます。余白の時間,自由な時間が増えることで,自分たちの本来価値を発揮するのことにより時間を使いやすくなります。

  • 「お互い,本来価値を出せていますか?」

そんな観点で,⁠仕事ごっこ」をなくし,業務をリ・デザインしていってほしいと思います。

すべての人が本来価値にフルコミットできる社会に向けて!

著者プロフィール

沢渡あまね(さわたりあまね)

1975年生まれ。あまねキャリア工房代表。株式会社なないろのはな取締役。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。
日産自動車,NTTデータ,大手製薬会社などを経て,2014年秋より現業(経験職種は情報システム,ネットワークソリューション事業部,広報など)。複数の企業で働き方改革,組織活性,インターナルコミュニケーション活性の企画運営支援・講演・執筆などを行う。NTTデータでは,ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。
著書に『職場の問題地図』『仕事の問題地図』『働き方の問題地図』『システムの問題地図』『マネージャーの問題地図』『職場の問題かるた』(技術評論社),『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社),『新人ガールITIL使って業務プロセス改善します!』『運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本』(C&R研究所)などがある。趣味はダムめぐり。

ホームページ:http://amane-career.com/
Twitter:@amane_sawatari
Facebook:https://www.facebook.com/amane.sawatari
メール:info@amane-career.com

バックナンバー

2019

  • 働き方を変えたければ,新しい施策を乱発する前に,時代遅れの仕事や慣習をやめませんか?