やりたいことがわからない学生時代
私が現在に至っている話を少し紹介したいと思います。
大学院時代の就職活動時期,私は自分のやりたいことがさっぱりわかりませんでした。そもそも世の中にどのような仕事があるのかほとんど知りませんでしたし,積極的に調べようともしていなかったので無理もありませんでした。自分は何がやりたいんだろう?とか,そもそも仕事って何だろう?と考えたりもしましたが,考えてもまったく答えが出てこないし,友人に相談してもあまり相手にされなかったことを覚えています。
今振り返ってみるとこの頃から仕事の位置づけや意義について,何となく気になり始めていたと思いますが,当時は考えてもわからないんだからとにかく社会に出てみようと,ある総合電機メーカに決めました。
ある程度仕事にやりがいを感じたが…
その会社には6年半いて,モバイル系事業部で携帯電話やその周辺機器の設計部に所属していました。当時はカメラ付き携帯電話が発売されるなど,電話としての機能だけでなくいろいろな革新が起き始めていて非常に忙しく,終電や休日出勤はあたり前,プロジェクトが佳境になると徹夜もありました。そんな中でも,自分が企画した機能が搭載されたり取引先との交渉がうまくいったりすると,仕事にやりがいを感じることもありましたが,将来的な目標などはまったくありませんし,それどころかこの仕事はこんなにも忙しいのかと感じることが多かったように思います。
集中して取り組む中でもアンテナを広げていた
このような状況にあったからなのか,他の同期や友人がどのような仕事をしていて,どう感じているのか,将来をどう考えているのかなどに興味を持ち,たまに飲みに行ったときにはよく根掘り葉掘り聞いていました。その人のやりたいことなどを聞くと,自分もなんとなくワクワクする感覚になるので,単純に楽しかったのだと思います。しかしこんな職業があるとは思えなかったし,それを仕事にしたいなどとは思ったこともありませんでした。
仕事とプライベートのバランスを意識
ただ,もう少し仕事の時間を減らしたいと感じていたし,自分の5年先,10年先を示してくれている先輩や上司を見たときにワクワクしないこともあり,転職しようと考えるようになっていました。
このときもまだやりたいことが明確ではなかったので,焦って転職先を探さず,いったん仕事を辞めてリセットすべく3ヵ月ほどのんびり過ごしながら棚卸ししようと考えました。まず,これから先ずっとエンジニアとして過ごしていく自分は想像できなかったので,恐らく違う仕事が向いているのだろうと感じていて,これまでの仕事でどの部分に楽しみを感じたのか考えてみました。
棚卸しをして成り行きに任せた
先に述べたように取引先との交渉や新機能の企画に楽しみを感じていていたし,仕事以外では周りの人たちの仕事や生活の考え方や価値観に触れることに楽しみを感じていることが理解できました。そして自分の考えだけで次の職業を探しても気づかない部分もあるだろうと感じ,「他人から見た自分に合いそうな仕事」も知りたいと思い,人材会社に登録もしていました。
そんな中,あるところから現在のパソナテックを紹介されたときに,自分がエンジニアとして働くのではなく,エンジニアを支援する仕事があることを知り,これは何やら楽しそうだ,という思いでキャリアアドバイザーという仕事を始めるようになったのです。
いま振り返ってみると…
このような経緯で現在に至っているのですが,この仕事に就くことになったきっかけとして,エンジニアとしての経験があった点も確かに大きいのですが,以下の点も見逃せません。
- いくつかの人材会社に登録をして情報を得る経路を作っていたこと
- 少し考え続けることから離れて成り行きというか流れに任せてみたこと
- メーカ時代によくやっていた「友人のやりたいことを聞く」というのが自分の中での楽しみであることを認識できたこと
こうした経験から,現在の仕事に『これだ!』とまでは感じませんでしたが,『それ,いいかも』と感じることができたと思っています。
すでにお気づきのように,私は決してキャリアアドバイザーを目標としてスキルアップしていたわけではありません。しかし今の仕事に非常にやりがいを感じていますし,充実しているという実感があります。そしてメーカ時代に経験してきたことが無駄になっていないとも感じています。将来的な目標が明確になっていなくても,仕事に充実感を得ることができているのです。
次章では,自分の棚卸しをした上で,その結果をどう活かすかについて考えていきます。