受賞内容
Firefoxの開発に関わり,
プロフィール
1999 年~2003年
1問1答
今回の受賞理由である開発作業というのは私一人では成り立たないもので,
私自身,
ですが,
ユーザに使ってもらえる良いソフトウェアを作るには,
もともとNetscape Navigatorのユーザだったのですが,Netscape社はブラウザ戦争の後,オープンソース化してからも後継バージョンの開発に難航していました。そんな中,2000年にいくつかの開発版を試す機会がありましたので,追いかけてみることにしました。ですが,気になるバグが一向に修正されなかったんです。そこで気になるバグを報告し始めたのが開発に関わりだしたきっかけです。
その当時はブラウザとは全然関係のないシステム開発の会社で働いていて,仕事から帰ってから寝るまで色々とチェックするのが日課でした。この当時はC++のコードを書くことも,ビルドすることもできませんでしたので,もっぱらバグの管理やWeb標準仕様の啓蒙活動を行っていました。
そして会社を辞めて時間ができた時にC++の勉強がてらにMozillaのバグを修正するコードを書き始めました。そんな頃に Mozilla Japan が設立され,より真剣に関わり出すことになり,現在に至っています。
Firefoxはおかげさまで多くのユーザに利用されています。ソフトウェアの性格上,パソコン自体のライトユーザの方も非常に多いようです。
このようにユーザの幅が非常に広くなったためか,オープンにしている開発現場にサポートを期待して来る人がいることに驚きました。「オープン」とか「フリー」といったOSSの売り文句のうち,耳障りの良い単語を都合の良いように解釈しているのではないか,と感じています。『無料だけど,サポートはしてもらえて当然』『開かれているんだから入っていって何をしても良い』等,そのように考えているのではないかと思われるもめ事が後を絶ちません。
また,『自分の困っているバグを優先的に修正してくれて当たり前』『要望を開発者は聞き入れて当たり前』という考えの人もいました。もちろん現実的に考えて,そんなことはできるわけが無いのですが,それほど少数でも無い人たちがこう考えているようで,驚かされます。
今後,OSSがより一般的になっていけば,『モンスター○○』という呼ばれる人の出現が,各プロジェクトで問題になってくるのではないかと心配しています。
よく,コミュニケーション能力が必要と言われます。これはその通りです。特にOSSの場合,コミュニティとの連携が重要ですので,コミュニティの方々とのコミュニケーションは重要です。
次にポジティブな発想と鈍感力が必要です。モノを作るということはそれが評価され,批判されます。オープンソースであれば名前も作業内容も露出してますので,名指しで行動を批判されたりもします。自分の問題点を知る上では有益ですので,ポジティブにとることが必要ですが,あまり真剣にとりすぎると潰されるだけなので,鈍感である必要もあります。
また,ニュアンスは違いますが,生活面も含めて,エンジニアが安心して開発作業や勉強に専念できる環境が必要です。日本のエンジニアは地位が低いと言われますが,実際に日本の多くの企業ではこの部分が軽視されていると思います。自由になる時間や金銭が無いと,勉強して自分を向上させることもままなりません。エンジニア自身はこの点に関してどん欲ではなくてはいけないと思います。そのために,エンジニアはその環境を得ようとする必要があります。非常に難しい話ですが。
ああ,
冗談はさておき,
ソフトウェアのエンジニアになるために勉強しようとすると,
そして,
最後に,
2008年度日本OSS貢献者賞受賞者インタビュー
- 第2章 受賞者インタビュー(1)─石井 達夫氏
- 第3章 受賞者インタビュー(2)─奥地 秀則氏
- 第4章 受賞者インタビュー(3)─中野 雅之氏
- 第5章 受賞者インタビュー(4)─宮原 徹氏
- 第1章 OSSの世界に飛び込もう