「ゆる繋がり」が職場を強くする! 実践Yammer活用術

第2回Yammerを社内に導入しよう

第1回ではYammerというツールの概要と、企業内においての使われ方について紹介しましたが、今回は、Yammerを企業に導入する際のポイントについて弊社ロフトワークの導入事例を踏まえて紹介したいと思います。

ロフトワークは15,000人のクリエイターとのコラボレーションが可能な「クリエイティブのインフラ」として、Web制作、デジタルコンテンツ開発、映像、印刷広告プロモーションなど、幅広いクリエイティブ・ソリューションを提供する制作代理店です。スタッフ45名程度と小規模ですが、オフィスが3フロアに分かれていたり、外部クリエイターとの柔軟な連携のため、これまでにも数多くのコミュニケーションツールを試してきました。

ツール導入はトライ&エラー

実際、企業においての社内ツール選定は難しく、トライ&エラーを繰り返しながらより適切なものを見つけていくしかありません。しかし、あまりにコロコロ変わると否定的な意見も増えていきますし、企業の規模が大きくなればなるほど、順応させていくのに時間が掛かります。また、新しいツールが社内に組み込まれた時に、まず触ってみようという人もいれば、反対になかなか使ってくれない人もいます。ロフトワークにYammerを導入した時もそのような傾向が見られました。TwitterやFacebookを利用している人は早い段階から使い始めましたが、そうでない人はなかなか手が出ません。

また、その使わない人たちの意見を聞いてみると「なにをつぶやけばいいのか分からない」という意見を持つ人が多数いました。実際にアーリーアダプターと呼ばれる普段から多くのWebサービスを触っている人でも、新しいサービスの「作法」については悩むところです。

シンプルなルールを設定しよう

まずは、どういう情報をYammerで共有するのか、簡単なルールを作ってしまうのがよいと思います。ここでのポイントは「社内での行動で起こり得る即時性のある情報」「レスしたくなるような情報」をこのルールの中に入れてしまうことです。また、勤怠報告や電話メモなど、これまでホワイトボードに残したり、メモに書いて残していたことをこれまでの作業は無くさずに、加える形でYammerでの報告をルールとして設定します。二重作業になることがやや面倒に感じたりもしますが、Yammerでの情報チェックが習慣化されていない導入初期は二重運用ぐらいでちょうどよいと思います。このようにシンプルなルールの中でツールを触っていくうちに、スタッフ全体が慣れていき、共有される情報の種類も増えていきます。

ロフトワークでのYammer利用ルール
以下の内容をYammerで共有する
  • 遅刻欠勤等の勤怠報告
  • MTGや電話メモの連絡
  • 差し入れ/お土産の共有
  • 案件受注報告
  • 自社ニュース/業界ニュース共有

弊社でも、最初はシンプルなルールからはじまって、今では経理アナウンスから飲み会の連絡、MTGの連絡から差し入れ情報まで、いろんな情報がこのYammerの中を巡回しています。

図1 差し入れ情報の共有は恒例になった
図1 差し入れ情報の共有は恒例になった
図2 ちょっとした注意喚起にも
図2 ちょっとした注意喚起にも

大事な情報を逃さない方法は?

運用を始めて1ヶ月も経ってくると、すべての情報を追いかけるのではなく、最低限自分に当てた大事な情報をチェックできればよいということに気づきます。Yammerでは「@」「#」を上手く利用することで、自分にとって大切な情報をチェックすることが可能になります。

「@:mention」を活用する

Twitterを利用されている方にはなじみ深いと思いますが、⁠@ユーザー名を含むメッセージをメンションと呼び、Twitterのホーム画面の「@Mention」をクリックすれば、自分宛のTweetのみ確認できるようになっていますが、それと同じように、Yammerでも「@ユーザー名つきでメッセージを流すと、ホームの「Notifications」という欄に自分宛のメッセージの未読数が表示されます。また、⁠@ユーザー名で来た場合にメールで通知するように設定しておけば、誰かが自分に対してメッセージを出した際に逃すことはなくなるでしょう。ただ1つ、Yammer使用についてのルールの中に、特定の誰かに読んでもらいたい時(たとえば、不在時の電話メモなど)は@付きでメッセージを出すというものを加える必要があります。

「#:ハッシュタグ」を活用する

先ほどは自分に宛てたメッセージをキャッチする方法でしたが、こちらは知りたいトピックごとにキャッチする方法です。こちらもTwitterでは広く利用されている「ハッシュタグ」という概念で、投稿の際に「#英字列を入力したタグをつけると発言のグループ化が可能になります。例えば「#abcd」で検索すると「#abcd」というハッシュタグをつけた投稿が一覧できます。過去の情報であってもハッシュタグで検索を掛けることによって、必要な情報をひとまとまりでチェックすることが可能になります。日本語での検索機能がやや弱いとされるYammerにとって、ハッシュタグは有効な手段のひとつです。

では、どんなハッシュタグをつけることができるのでしょうか?

弊社の中では、遅刻や外出NRなど、勤怠関連の報告には「#hr(human resource⁠⁠」のハッシュタグをつけたり、イーモバイルの持ち出しや返却の際には「#em」をつけて管理しています。イーモバイルを借りたい人は、⁠Topics」一覧の中から知りたい内容のタグを選択することで、自分の知りたい情報にたどり着くことができます。私の場合、社内の冷蔵庫に飲み物を残してしまっていたり、危険な置き方をされるのが気になっていたので、⁠#reizouko」というタグで、⁠右の棚にある賞味期限切れの牛乳を捨ててください #reizouko」という風にアナウンスをしていました。

図3 共有機器の管理はカレンダーとYammerの二重管理
図3 共有機器の管理はカレンダーとYammerの二重管理

Yammerはメールとイントラサイトの間を補うもの

多くの企業ではメインの情報共有としてメールを使用すると同時に、社内のオフィシャルの伝達事項やナレッジを集約するイントラサイトを運用していると思います。Yammerを導入すればメールやイントラサイトは必要なくなるのでしょうか? 答えはNoだと思います。社内共有の大部分はメールからYammerのメッセージに置き換えられるとは思いますが、必ず全社内でチェックする必要がある情報は、やはりメールで連絡する必要がありますし、ナレッジ等の蓄積は検索性やアーカイブ性に特化したサービスに残していったほうがよいでしょう。Yammerの効果というのは、より「リアルタイム」「エモーショナル」な情報を発信することで、社内のコミュニケーションやチームメイキングを進めていくための潤滑油的な役割を果たすものと考えます。すべてを補うような万能なツールではありませんが、そのコミュニケーションや情報共有の質を高めるには有能なツールだと思います。

第2回では社内にYammerを導入する過程について紹介しました。次回は導入後、より活用していく方法について紹介したいと思います。

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