連載の最終回はメモアプリの紹介ではありません。今回は、メモすることについての筆者の考えを説明し、この連載を締めさせていただきたいと思います。
「多メモアプリ派」というあり方
文房具が好きな筆者が共感した書籍に、『文房具を楽しく使う[ノート・手帳編]』(和田哲哉 著、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)という本があります。この中で和田氏は「多ノート派」というあり方を提案しています。
同じ時期に二冊以上のノートを並行して使う人、そういった人たちを私は「多ノート派」と呼称しています。(略)動機づけを明確にしつつ上手にノートを分冊する使いかた、またそういった使いこなしをする人を「多ノート派」と呼んでみました。
『文房具を楽しく使う[ノート・手帳編]』96-97頁
この「多ノート派」と同じように、筆者はAndroidメモアプリにおいて「多メモアプリ派」という考え方をしています。
Androidケータイでは、複数のアプリをインストールすることができ、一つの端末で複数のツールを使うことが簡単です。これはアナログツールにはないデジタルツール、Androidケータイの強みです。この点を活かして「多メモアプリ派」というあり方は十分実用的に成り立つでしょう。
参考までに現在の筆者が利用している、多メモアプリ例を下記に列挙してみましょう。
- Catch Notes:メインメモ、情報のストック
- 2gaibu:補助メモ、データベース、何でも放り込む、迷ったらここへ
- EBt for Android:アイデアメモ
- ジョルテ(Googleカレンダー):スケジュール管理
- ToDoid:ToDo、タスク管理
- twicca:Twitterクライアントアプリ、オープンなメモ
- 瞬間日記:秘密日記
- mNote(Simplenote):クラウド経由でのメモの受け渡し
- トリカゴメモ:Twitter下書き、アイデアメモ
- Evernote:資料メモ
その他にも気になるメモアプリがあれば、どんどん試しています。用途に応じて使い分けをしてもHT-03A一台で済むというのが素晴らしいですね。クラウドにあるメモも含めてAndroidケータイにすべてのメモがあるという意味では「情報の一元化」が十分に達成されていると思います。クラウドが活用できるため、テキスト情報のみであればほとんど容量は気にしなくていいでしょう。さらに、気分に応じてメモアプリを「着替える」という使い分けの楽しみがあってもいいと思います。
メモするポイント ~アナログツールも使います!
この連載を通して、Androidのメモアプリについて話してきました。とはいえ、前回の連載ではアナログツールを取り上げた筆者ですから、今回の連載に当たっても当然アナログツールを使いました。
連載に絡んで最も活用したのは、ロディアNo.11とモレスキン・メモポケッツの組み合わせでした。
連載について思いついたアイデアをロディアにメモして切り取ります。それをモレスキン・メモポケッツの6つのポケットにそれぞれ分類して保管します。それらをカフェなどでレビューして、連載のアウトラインを作成し、原稿を練り上げていきました。アイデアを形にするには、ペンと紙のアナログツールの方が適していると感じました。
一番大事なことは、アナログツールでもデジタルツールでも、思いついたことをとにかくメモすることでしょう。メモしておくことで、後でその思いつきを回収するチャンスが残ります。
次に大事なことは、時々メモのレビューをすることです。先述した連載アイデアメモをカフェで見直したり、モレスキンに書いているユビキタス・キャプチャー(※1)を読み返したり、メモアプリをキーワード検索してメモを確認したりする作業です。この作業を行うことで、メモした思いつきを何かへ活かすことができるようになるはずです。
つまり、次の2点を押さえておけば、ツールが何であれメモライフが充実したものとなるでしょう。
- とにかくメモする
- 時々メモをレビューする
メモタノ! ~楽しいからメモをする
最終的には、筆者にとって「メモタノ!」ということが重要な原則です。楽しいからメモをする、ということです。楽しいから飽きません。飽きずに継続できますよね。
メモを何かに役立てようとは思っていません。何かの役に立つのは副産物のようなものです。楽しくメモを続けた結果、そのメモを読み返すことで何かに機能する、というイメージで筆者はメモする行為を考えています。大げさに言えば、メモすることは生きること、という感覚ですね。
つまり、次の順番が重要なのです。
- 楽しくメモするから継続できる
- 結果、何かの役に立つ
このメモタノ!という姿勢を踏まえて、「好きなAndroidメモアプリをシンプルに使おう」という考える。これは以前のアナログツールについての連載と同じです。どんなツールを使おうが、考え方は一緒だということですね。
これが筆者の「シリアル・ポップなメモライフ」です。このことを本連載のとりあえずの結論としたいと思います。3月11日の東日本大震災以降、被害を受けていない筆者もどこかふわふわしている感覚が続いています。現実はシリアスでヘビーです。それでも志としてシリアル(軽いという意味)でポップなベクトルは失いたくない、と日々感じます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。