倉橋歪莉は暗闇の中で頭を抱えていた。現象学少女なんて呼ばれても、
- 「倉橋さん、
現象学少女として、 記憶しておいてほしいことを説明します」
内山に言われたことはなにひとつ理解できなかったし、
帰りがけにイケメンの水野が心配そうに声をかけてくれたのが、
- 「倉橋さんから目を離せないんだ」
え……それって告ってるの? 社食で? 水野の言葉で歪莉の心は、
- 「見ていると、
放っておけない。時間はかかるかもしれないけど、 きっとよくなるから。治るさ」
とたんに、
どうやら水野は、
- 「私もそう思ってたところなんです」
でも口から出たのは、
歪莉は強引に追憶を断ち切った。
──現象学ってなんのことかなあ
つらくなった時は、
速攻でリプが来たが、
──あたし、
タイムラインに草が生える。なんだか受けたようだ。
──ヱヴァンゲリヲン以降の日本文化のテーマは、
──はあ。難しい……
──簡単だよ。だから、
──エスノメソドロジー的実験って?
──間主観性を共有していない相手との会話。
──はあ?
──リアルの解体には贄となる現象学的少女が必要で、
止めて欲しい。したり顔で解説しているつもりなんだろうけど、
夜が白め始めるまで、
雀のさえずりが聞こえる。外の空気を吸おうと思い、
マンションのエントランスを出たところで、
- 「おはよう」
歪莉は小走りに輪子に近づいた。実在を確認するように、
- 「ああ、
あんたか」
輪子は歪莉の顔を横目で確認すると、
- 「今度、
会社で現象学少女をやることになっちゃって……」
なんで屍屋にこんなことを話しているんだろうと思いながら、
- 「自分語り、
うざい」
ややあって輪子は、
ありえない、
今回登場したキーワード 気になったらネットで調べて報告しよう!
- 『BUNRAKU』
- ミッションインポッシブル
- コアジサシ
- パラダイス銀河
- 屍屋の輪子
2014年9月29日、
お申し込み等、
- サイバーミステリの楽しみ 第一回
- http://
cybermystery01. peatix. com/
日時 | 2014年9月29日 19:00~20:30 |
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場所 | 株式会社技術評論社 |
講師 | 一田和樹、 |
- 和田安里香
(わだありか) - 網界辞典準備室長代行 ネット系不思議ちゃん
年齢26歳、身長162センチ、 体重46キロ。グラマー眼鏡美人。
社長室。頭はきれるし、カンもいいが、 どこかが天然。宮内から好き勝手にやっていいと言われたので、 自分の趣味のプロジェクトを開始した。
- 倉橋歪莉
(くらはしわいり) - 法則担当
広報室。表向き人当たりがよく愛されるキャラクターだが、人から嫌われることを極端に恐れており、 誰かが自分の悪口を言っていないか常に気にしている。だが、 フラストレーションがたまりすぎると、 爆発暴走し呪いの言葉をかくつらねた文書を社内掲示板やブログにアップする。最近では 『裸の王様成田くん繁盛記』 というでっちあげの告発文書を顔見知りの雑誌記者に送りつける問題を起こした。
口癖は「私もそう思ってたところなんです」。
- 水野ヒロ
(みずのひろ) - 網界辞典準備室 寓話担当
年齢28歳、身長178センチ、 体重65キロ。イケメン。
受託開発部のシステムエンジニアだった。子供の頃からあたりさわりのない、優等生人生を送ってきた。だが、 最近自分の人生に疑問を持つようになり、 奇妙な言動が目立つようになってきた。優等生的な回答を話した後に 「そんなことは誰でも思いつきますけどね」 などと口走るようになり、 打ち合わせに出席できなくなった。
- 内山計算
(うちやまけいさん) - 網界辞典準備室 処理系担当
年齢32歳、身長167センチ、 体重73キロ。大福のように白いもち肌が特徴。
ブログ事業部の異端児で、なにかというと新しい言語を開発しようとするので扱いに困っていたのを宮内が連れてきた。
コンピュータ言語オタク。趣味は新しい言語のインタプリタ開発。
- 篠田宰
(しのだつかさ) - 実例担当
年齢44歳、身長165センチ、 体重48キロ。薄い毛髪が悲哀を感じさせる。
社長室。影が非常に薄く、やる気もない。幽霊のよう人物。ただし脅威の記憶力を持っている。温泉とコーヒーに異常な執着がある。
- 古里舞夢
(ふるさとまいむ) - 年齢36歳。身長165センチ、
体重80キロ。
受託開発部のエンジニア。極端な無口で人見知り。
和田のファン。何かというと和田に近づき、パントマイムを始める。どうやら彼なりの好意の表現らしいが、 和田を含め周囲の全員がどんな反応をすべきかわからなくなる。
- 綴喜堕姫縷
(つづきだきる) - 容姿は女性、
性別は男性。身長172センチ、 体重52キロ。
年齢不詳。カナダ、UBC大学卒業。文化人類学専攻。英語とロシア語が堪能。宮内専務の秘書。その前は、 バンクーバー支店長の秘書をしていた。
妖艶な美女。独特の雰囲気で見る者を魅了する。サブカル、特に昔のマンガにくわしい。バンクーバー支店で採用したため、 本社には詳細な人事情報がない。