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第9回あらためて楽天kobo Touchを見る(3)

前回koboの動作速度に不満があるとご紹介したので、今回は、動作速度も含め、koboに対する不満をご紹介します。

不満の原因はハードウェアの特性

koboに搭載されているE Inkディスプレイは、その特性からのんびりとした描画速度です。koboを使っている最中は、必ずこれの影響を受けます。操作したあと、ワンテンポ遅れて動作すると書くと大袈裟ですが、サクサクと動作するとはお世辞にも書けないような動作速度です。ただし、本を読んでいる最中は、ページを読み終えるまで描画が発生しないので、イライラが募るようなことはなく、読書に没頭できます。

描画速度以外にも、ディスプレイの残像が気になることがあります。

koboは、これを解消するために、ページ送りをしたときに、設定したページ間隔で画面を白黒反転してリフレッシュして残像を解消する機能があります。筆者は、残像を嫌って3ページに設定していますが、人によっては、チカチカする白黒反転が気になって、読書に集中できないと感じるかもしれません。⁠設定][読書設定]にある「画面のリフレッシュ間隔」で調整できるので、好みに合わせてみると良いでしょう。

画面のリフレッシュ間隔の設定画面
画面のリフレッシュ間隔の設定画面

もうひとつ、内蔵のモリサワフォントは、読みやすく綺麗なのですが、ディスプレイ解像度が低いために、文字がかすれたように見えることがあります。Kindle Paperwhiteのような、高解像度ディスプレイを搭載した端末での読書に慣れてしまうと、kobo Touchはかすんで見えます。

いずれもハードウェアの特性で、致し方ない部分ではありますが、代を重ねる度にE Inkディスプレイは改良はされているので、最新端末のkobo gloでは気にならない可能性はあります。

つくり次第で改善する部分もある

ビューワーのフォントサイズや行間を設定しているときやストアにアクセスしているときは、煩わしいと感じることがあります。

たとえば、設定画面でフォントサイズを変更すると、この画面を閉じることなく読書中の本に反映されます。ただ、変更後しばらくたたないと反映されないので、気に入った設定を見つける為に、試行錯誤している時は煩わしく感じます。たとえば、実際のサイズを確認できるアイコンをいくつか提示して、そのなかから選択させるつくりであれば、このような煩わしさは感じないはずです。

また、ストアにアクセスしている時は、ことあるごとに[キャンセル]ボタンの付いた「読み込み中…」のダイアログが表示されて煩わしく感じます。実際、読み込み中の処理を中止することはないので、これを控えめな表示に変更するだけでも印象が変わるはずです。

ことなる度に表示される「読み込み中…」のダイアログ。煩わしい
ことなる度に表示される「読み込み中…」のダイアログ。煩わしい

わかりやすいつくり

不満ばかりをご紹介して来ましたが、koboには、他の端末と比べてよくできている部分もたくさんあります。

たとえば、Kindleのホーム画面の上部にはツールバーがあり、ここには、前の画面に「戻る」ボタンがあります。このボタンを押すと、前に操作していた画面に戻ることが出来るのですが、画面遷移の状況を理解して使わないと、表示される画面が把握しづらく、ある程度使い込まないと迷子になることがあります。⁠戻る]ボタンは、面白い試みですが、使い手にある程度スキルを求めることにもなっています。

koboのホーム画面は、⁠読書中][ストア]がタブで大きく分けられており、以降は、順に追わないと目的の画面に辿り着けないつくりです。まどろっこしいつくりと考えることもできますが、道筋は一本だけで、迷子にならないので、わかりやすいと考えることもできます。

また、ホームボタンも、わかりやすさに一役買っています。前の画面へ戻る方法がわからなくなれば、ホームボタンを押せば良いだけなので、単純明快です。

Kindleのホーム画面が使いづらいワケではありませんが、用途の決まった端末の場合、適切な制約が設けられた使い勝手のほうが理解しやすいと考えているので、koboは筆者好みと言えます。

わかりやすさのひとつでもあるホームボタン。kobo gloではなくなっているのが惜しい
わかりやすさのひとつでもあるホームボタン。kobo gloではなくなっているのが惜しい

電子ブック入門機としてのkobo Touch

あたりまえですが電子ブックは、楽天から購入します。この点が気にならないのであれば、3,000円台で端末が購入できるショップがあるので、費用をかけずに電子ブックを始めたいと考える方には、最適な端末と言えるかもしれません。たとえば、kobo Touchで電子ブック入門をし、ストアの品ぞろえにも満足でき、自身の利用スタイルとマッチすれば、よりパワフルなハードウェアの「kobo glo」へ移行する買い方も考えられます。

最後になりましたが、kobo Touchを使っていると、昔のMacintoshを思い出します。ポップな印象を受けるユーザインターフェースもそうですが、丁寧につくり込まれているソフトウェアが全体の中で高い比重を持っており、ハードウェアの能力ギリギリか超えてつくり込みが行われている部分などは、よく似ていると感じています。

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