続・玩式草子 ―戯れせんとや生まれけん―

第37回 HDDトラブルは突然に[その1]

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  • HDDは必ず壊れる

これはPCを使う人間が決して忘れてはならない真理です。しかしながら,昨今のように機器の信頼性が高まってくるとついつい忘れがちになります。

昨年末,それで痛い目にあったことがあり,今回,自戒自省の意味もこめてその顛末を紹介することにしました。

突然の起動不能

11月29日の11時ごろ,突然自宅近辺が停電しました。当初は家のブレーカーが落ちたのかな,と思ったものの,通りに出てみると信号機も消えており,周囲一帯が停電しているようです。

信号機が消えると危険かも,と心配したものの,お昼前で交通量が少ない時間帯だったこともあり,大きなトラブルもなく数分後には送電が回復しました。

天気のいい日中に停電とは珍しいし,そもそも停電自体何年ぶりだろう,と思いつつ部屋に戻り,PC等の状況を確認すると,ファイルサーバ用に24時間運転しているマシンが起動しません。⁠あれれ?」と思って,普段はつないでいないディスプレイを接続し確認したところ,画面には"grub"の文字が表示されているだけです。

どうやら起動用HDDのトラブルのようなので,キーボードもつなぎ,Plamo Linuxのインストーラを入れたUSBメモリから起動したところ,起動用HDDが認識されていません。

「これはちょっと重症かも……」と,サーバールーム(という名の押入れ)からマシンを引っぱり出してケースを開き,HDDの状況を確認したところ,やはり起動用に使っているHDDが,BIOSからもカーネルからも認識されません。接続しているマザーボードのポートをあれこれ替えたり,別マシンで試してみてもダメです。

問題のHDDは容量 320GBのSeagate Barracuda 7200で,SATAの初期,10年以上前の機種です。

図1 認識されなくなったHDD

図1 認識されなくなったHDD

しばらく手の平で暖めてみたり,電源を入れたタイミングでゆすってみたりしたものの,認識される気配はないのに加え,HDDの基盤がやけに熱を持っているようです。⁠どうやらこれは物理的に死んだな」と判断し,障害がこれ以上拡大しないように問題のHDDは取り外して保管し,今後の対応を考えることにしました。

被害状況の把握

問題のマシンは家のファイルサーバ兼メールサーバに加え,Plamo Linux用のパッケージやisoイメージを配布しているplamo.linet.gr.jpをホスティングしていました。

メーリングリストは外部のレンタルサーバに置いていたし,普段使いのマシンは問題なかったので,取り急ぎPlamo Linuxの関係者にトラブルを報告し,しばらくplamo.linet.gr.jpが使えなくなる旨を連絡しました。

メンテナの加藤さんは迅速にバックアップ用のサーバを用意してくれました。

それと共に,このHDDが使えなくなることでどれだけの影響が出るかを検討しました。このマシンはファイルサーバとして運用しており停止すると致命的ですが,この連載の原稿等,筆者が書いてきた文書類や写真,動画の類いはRAIDを組んだ別HDDに保存していたので,起動用HDDを変更しても問題なさそうです。また,plamo.linet.gr.jpで提供していたパッケージ類やメンテナのホームディレクトリも別のHDDに置いていたので影響無いでしょう。

一方,メール&ファイルサーバとして24時間運転していたため,ついつい溜めこんでしまっていたデータもあります。個人宛メールはGmailのアドレスにforwardしていたので何とかなりそうなものの,「らじる★らじる」の録音用スクリプトや録音した多数の番組ファイル,PHPで自作した実家用の請求書発行システムとかは,ここ長いこと,このHDD外にバックアップしていませんでした。また,LXCでホスティングしていたplamo.linet.gr.jpの/etc/passwd等の設定ファイルもこのHDD内にしかありません。

Plamo関係者のパスワード等は初期化して再設定してもらえば何とかなるものの,ここ7~8年のデータを貯めこんでいる請求書発行システムを失なうのはかなり痛いので,専門業者にHDD修理を依頼することにしました。

修理業者への依頼

長くPCをイジっているからファイルシステムやHDDのトラブルには何度も遭遇しています。エラーメッセージが頻出しだしたHDDから何とか読めるファイルを救出したり,/lost+found/に残されたファイルの残骸を探し回ったこともあります。しかし,今回のように,ついさっきまで問題なく動いていたHDDが突然認識不能となり,バックアップする間もなく内部のデータに全く手を出せなくなったのは初めてでした。

こうなると多少PCに詳しい程度の一般ユーザでは対処不可能です。そのため,ネット上で「HDD復旧」を謳(うた)っている業者を調べ,5社ほどにHDDの型番やトラブル状況を伝え,いくらぐらいかかりそうかを問い合わせてみました。

その結果は5万から35万と幅があり,⁠クリーンルーム」を設置し修復技術の高さを誇っているところは高め,⁠専用解析ツール」を用いた「非分解」な修復に留めているところは安めな印象でした。とある技術力が売りの会社の担当者と少し話したところ,⁠問題のHDDを見ないと確実なことは言えないものの,そのHDDなら修理経験もあるので,35万くらいを上限に復旧はできそう。故障によってはもう少し安くあがるかも知れない。ダメだった場合は費用の請求はしない。」ということでした。

それらの情報を元にどこに依頼しようか,としばし考え込みました。当初は高くても確実そうな業者に心惹(ひ)かれたものの,少し頭を冷して考えた結果,現状ではHDDが全く認識されないため,⁠物理障害」なことはわかるものの,その障害がどれくらい深刻なのかはわからない,その状態でクリーンルーム完備な高めの業者に出すよりも,まずは障害レベルを判断するために安めの「非分解」な業者に見てもらい,ダメと言われてから高価な業者に依頼し直してもいいだろう,と判断し,⁠論理障害も物理障害も一律定額39,800円」を謳っているPCエコサービスにお願いしてみることにしました。

ここを選んだのは,⁠定額39,800円(税別⁠⁠」という安さの魅力(苦笑)だけではなく,最初に問い合わせた際,30分くらいで返事が届き,その内容も金額や作業期間,作業の流れ等,ずいぶん詳しく説明されていたため,ここなら任せても大丈夫だろう,と考えた結果でもあります。

図2 最初の問い合わせへの回答

図2 最初の問い合わせへの回答

著者プロフィール

こじまみつひろ

Plamo Linuxとりまとめ役。もともとは人類学的にハッカー文化を研究しようとしていたものの,いつの間にかミイラ取りがミイラになってOSSの世界にどっぷりと漬かってしまいました。最近は田舎に隠棲して半農半自営な生活をしながらソフトウェアと戯れています。

URLhttp://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html