草花の知恵

第3回 「ホタルブクロの繁栄」

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蛍袋(ほたるぶくろ) 画:外山康雄

蛍袋(ホタルブクロ) 画:外山康雄

花データ

キキョウ科の多年草/花期:6~8月。花は白色か淡紅色の広鐘形。子供が花の中に蛍を入れて遊んだと想像してつけられた名前。

外山康雄「野の花館」だより

山菜採り帰りのHご夫妻が手のひらにのせ,届けてくれた5本の銀竜草(ぎんりょうそう⁠⁠。登山のおりに少し歩いたところでお目にかかる腐生植物です。薄暗い,湿気のあるところに咲いていて,ちょっと気味悪いので「ユウレイダケ」なんて呼ばれています。

図鑑で調べると「白色」となっていますが,目の前にあるのは微妙な透明感のある青灰色の素敵な形をしたモデルです。

丈は5センチほどで,とにかく可愛い。5本ともそれぞれの格好でユーモラスに立っていて,ゴスペルグループを連想させてくれます。各パートもそれぞれ決まっていて,歌声も聞こえてきそうな雰囲気です。ちゃんと目もあり口もあり,耳もあるように見えます。背の高さには少しずつ凹凸もあります。

花びらはなく,花粉も,もちろんなく,スケッチするにはやさしい植物のはずなのに,思うようにいきません。その日はあきらめ,翌朝5時起きで再挑戦。ハミングしながらスケッチしたら,今度は大丈夫。無事,彩色にこぎつけました。

銀竜草には,色々な色があります。単なる白色ではありません。

私はたいてい,バックには色をつけないのですが,清々しい山の空気を表現するため,たっぷりの水で青と赤の絵の具をちょっと混ぜ,塗ってみました。

完成です。出来上がった作品とモデルの銀竜草を一緒にギャラリーに並べました。小さなハガキサイズの作品ですが,私としては「よかったかな」の自己評価です。ここ1週間のうちにご来館いただければ,愛嬌のある銀竜草と作品が一緒にご覧いただけますよ。

野の花館では,このほかにも,作品とモデルの植物を並べて展示しています。季節の花々と絵をお楽しみください。

(7月5日)

著者プロフィール

池内紀(いけうちおさむ)

1940年兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。

主な著書に『ひとり旅は楽し』(中央公論新社)『ぼくのドイツ文学講義』(岩波書店)『町角ものがたり』(白水社)など。『カフカ小説全集(全6巻)』(白水社)など翻訳書も多数。新刊は『森の紳士録』(岩波新書)。


外山康雄(とやまやすお)

1940年東京深川生まれ。新潟県浦佐で育つ。2002年南魚沼郡塩沢町に古民家を再生したギャラリー「野の花館」開設。

画集に『折々の花たち 1~4』(恒文社)『野の花の水彩画』『私の好きな野の花』『野の花 山の花』(日貿出版社)など。

外山康雄の野の花館:

URLhttp://www.toyama-yasuo.jp/