ふつう,
本来のキクと区別してのこと。そちらは野ではなく栽培される。それも丹精こめてつくられ,
同じキク科でも,
秋草のいづれはあれど露霜に痩せし野菊の花をあはれむ
(伊藤佐千夫)
歌人左千夫には歌だけで終わらなかった。幼な恋の恋人を野菊にたとえた。つまり
娘の名前は民子。早くに気のそまぬまま嫁にいって死んでしまった。幼いころからノギクが好きだった。伊藤左千夫の小説
「不思議に野菊が繁っている」
弔いの人に踏まれても,
なおスックと茎をのばし, 青々とした葉をひろげている。 「民さんは野菊の中へ葬られたのだ」
多少ともおセンチな小説のせいで,
少しくわしくいうと,
丈は50センチから1メートル。葉は長楕円形で,
ノコンギクはヨメナとそっくりだ。植物学では冠毛の長短で分けるようだが,
ノギクと出くわすたびに注意していると,
風がこなくて日当たりのいいところでは,
その点,