ビジネス電話のマナー
最近の話なんだけど、ものすごいヤな気分になった。取材のオファーで初めて電話をした相手の話。
もう、マブで途中で切りたくなった。つーか、電話に相手が出た瞬間にこりゃダメだと思った。「はい、○○です」
瞬殺。
相手が自分の名前を言うのを聞いただけで、ここまでヘコんだのは初めてだ。あきらかに不機嫌で高圧的。
よくもまー、そんな電話対応でアーティストのマネージャーをやっているもんだ。自分の耳を疑った。大したもんだ。
いやあ、ビックリしたなあもう。冷酷で残忍でコミュニケーションをブッたぎる声。
そう、今回の叫訓は声と話し方について叫びたいと思う。特に電話での。
オイラは自分の名前を言った。すると、相手は「何です?」と。何です? 何です、ってかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
そんなのねーだろ。もうちっと、言葉の選び方なかったのかしらん。「何です?」とつっけんどんに言われたら、こっちも「何でもねーよ」と言いたくなる。
タンゴできたらタンゴでジルバできたらジルバでかえす。それが流儀〈(C)くりぃむしちゅー・有田〉。
あと、ノリで来た仕事にはノリで返す、っていうね〈(C)スマイリー原島〉。
リターンはマッハが原則
「すいません、今、ちょっとだけお時間大丈夫ですか?」とオイラは言った。
「移動中でバタバタしてるんで、また後で」
「はい、すいません。それでは、失礼します」とオイラは電話を切って数秒ボケ~っと。魂抜かれた。あんびりーばぼー。
そして、取材をお願いするのをヤメようと決めた。表紙も含めたオファーだったのに。ま、向こうサイドがそれをウェルカムかどうかはわからないけど。
でも、待った。相手から折り返しの電話が来るのを。もちろん、何時間待っても電話はかかってこなかった。
移動中? 海外にでも行ってるのか?
その日はそんな電話待ちのような不毛な1日を過ごした。待っているだけではしょうがないので、それなりの時間が経過した後にこちらから電話もした。
留守電。
こういう人間っている。忙しいのは忙しいのだろうけど、理由はそれだけじゃない。
忙しい人間ほど電話やメールのリターンはマッハだ。仕事ができる人間はちょっとした時間を見つけては返してくる。
面倒臭いのだろう。それほど急を要さない電話などどうでもいいと。自分の脳ミソの中で無意識に。
電話も部屋の掃除も一緒
週刊誌を作っていた頃、オイラも電話は苦手だった。でも、苦手だと放っておいたら最終的にはとんでもないことになる。
留守電50件とかね。
それが自分を追いつめることになるのがわかっているから、すぐにリターンするようにしていた。だって、数分で済むんだもん。
仕事をスムーズに進めるにはそれしかない。とにかく、すぐに対処すること。
部屋の掃除と一緒だ。また今度、あとでいいや、なんて思っていたらゴミ屋敷の完成。
哀川翔が良いこと言ってたなあ。「我が家の家訓はゴミをまたがない」
うん、素晴らしい。それだけで、部屋は常に快適だ。オイラも実践している。ゴミが目についたら必ず掃除をする。
部屋がきれいになれば気持ちも落ち着くし、仕事に集中できる。
ま、そんなこと偉そうに言ってるオイラもゴミ屋敷の住人となっていたことがあるけど。
あんときはひどかった。ハエやゴキブリどころじゃない。ネズミまで部屋の中を走りまわってたからね。パソコンの前をネズミが走り、飼い猫が追いかけてた。畳の部屋だったのだけれど、畳など何年も見たことがなかった。
ある事情で部屋を出て行かなくてはいけなくなり、何でも屋さん的な業者にお願いしたところ10万円かかった。
バタバタ、バタバタ?
って、話がそれました。しみません。電話の話だ。プンプン。
何よりオイラがムカっときたのは「バタバタしてる」という言葉。これ、業界関係者以外も当たり前に使う言葉。
意味わかんない。バタバタしてるって……。いつから広まった言葉か知らないけどね。ま、確かに便利な言葉ではある。
「すいません、この数週間、バタバタしていたので」って言えば相手もそっか、バタバタしてたのね、と曖昧に納得はする。
バタバタ、バタバタ。世の中はバタバタでどうにか成り立っている。パタパタと布団を叩きながら、バタバタとパタパタしてると。
まー、何にでも当てハマる無敵な言葉だ。
オイラも気づかないうちに使っているような気はする。大概使うときは逃げ口上んときだけどね。
よくわかんないけど、バタバタしてないと暇な人間に思われそうだ。
結局、移動中でバタバタの人間からは何日経っても電話がかかってくることなかった。きっと、宇宙旅行にでも行く途中だったのだろう。地球は青かったですか?
担当されているアーティストが不憫だ。
電話の声の作り方
オイラは普段生活しているときの声はかなり低いほうだと思う。でも、電話をするときの声はかなり高い。
なぜなら、低い声で話されると機嫌が悪いのかなとか、怒ってるのかなとか思ってしまうため。なんで、顔が見えない分、電話では明るく高いトーンで話す。
ま、声は生まれ持ったもんでしょうがない部分もあるけれど、ある程度の努力でどうにかなるものではある。森進一だって電話では悩んでるかもしれない。高倉健も自分は暗い人間だと思われているかもしれないと……。
声のトーンっていうのはキーの高さだけではない。声に心は映し出される。だから、いくら低い声だって、相手がけして不快ではないというのは話をしていてわかる。
電話は相手が何をしていて、どこにいるかわからない状況でかけるものだ。だから、難しいところもある。
オイラもあと3秒でバッチリのタイミングでパスタが茹で上がるという瞬間に電話がかかってきたら、正直うんざりもする。
さすがに仕事相手に「今、パスタが茹で上がるんで30分後にかけなおしてもらっていいですか?」とは言えない。
そういうときはどうするか? 出ない。これに限る。食べ終えて、ゆっくりと食後のコーヒーでも飲みながら電話をこちらからすればいい。ムリに出るから面倒なことになる。
バタバタとね。
トイレ中も出ないことを勧める。相手はこっちが便座に座ってることなんてわからないんだから。「すいません、今、バタバタとしているんで」だって(笑)。
顔が見えないからこそ……
仕事の電話なんてたかだか数分のもんだ。それで相手を不快にさせるのなら、よっぽどのことだ。ちょっとした才能と呼んでもいいのかもしれない。
モテる男も女も仕事ができる人間も決まって電話の対応は心地よい。そして端的。電話を切った後に爽快感すら残る。
また話したいな、一緒に仕事がしたいな、なんて思ってしまう。
20年くらい前かな? テレクラなんていうフーゾクが流行ったけど、あれも声のテクニックだった。明るく声の高い女のコと電話がつながり、会う約束をして行ってみると……。
そう、今回、叫訓にて言いたかったことは、以前に話した字もそうだけれども、声も仕事の武器となり弱点にもなるということ。
特に初めて電話で話をするというなら、相手は声でしか判断しない。だったら、良い印象を与えるのに越したことはない。
もし、どうしても暗い声で性格的にハイテンションでは話せないという人は、会話の途中に「アハハハ」と入れてみると良い。
無理矢理でもオッケー。
相手はけして嫌な気はしないはずだ。是非、試してみてください。もちろん、タイミングは大切ですが。
叫訓19
お仕事電話は演技が大切
声高く、テンション高く