寝てない自慢はまるで無意味だ
「いやあ,最近,忙しくって2時間くらいしか寝てないんだよねえ~」って,自慢気に話す男……これ,カッコ悪い。不幸自慢? いやいや,全然っ不幸なんかじゃない。
『悪い奴ほどよく眠る』っていう黒澤明,監督の映画があるが,まさにその通り。仕事ができる人間(悪い奴?)ほどしっかりと眠っているもんだ。
でも,まー,働き盛りの年代はなかなか睡眠が取れないのも確か。
先代のオリコン社長にも言われたことがある。居眠りをしなさい,と。30分くらい仮眠を取ると違うもんね。だから,オリコン編集部には10年以上前の話だけれど,会社が編集部のためにマンションの一室を借りてくれていた(深夜帰宅のタクシー代削減のためだったけど)。
経験上,眠らないと仕事ははかどらない。どんなに忙しくても食事と睡眠は大切だ。週刊誌を作っていると徹夜は当然。でも,隙をみて寝るようにしていた。
1日2時間睡眠が1週間も続いたら人間なんて使い物にならなくなる。「2時間しか寝てないんだよねえ……」よりも,「昨日は12時間も寝ちゃったよ!」のほうがカッコいい。
結局,自分で自分のタイムテーブルを作れないだけ。言い訳,言い訳っ。
〈30分経過……ZZZ〉
てなことを書きながら,今,30分ほど床で寝てしまった。いや,眠くなるとダメだ。思考能力が低下して,ポンコツ状態になる。
睡魔のトンネルの向こうはスッキリー。やっぱり,ちと寝るのって大事ね。つーか,30分でも夢を見るんだなあ。スゲー可愛いコが出てきた。A.N.似。起きてテンション上がった(笑)。
これも睡眠からのプレゼント。ふふふ。
20代は睡眠貯金の時期
現代人の平均睡眠時間は6時間半から7時間半なんてことを聞く。確かに長い人生を考えれば,これを4時間半に抑えれば,時間の得をするのかもしれない。
寝なければ寝ないほど,その時間を他に使うことができる。確かにそういう考え方もある。昔,つきあっていた女のコは言った。「眠るのがもったいない。だって,私が寝ている間におもしろいことが起きてるかもしれないじゃん? そんなの悔しいよ」
確かに。でも,その女のコは下手すると1日に10時間以上も寝続ける眠り姫だった。
1日は24時間で1年は365日。これは平等だ。しかし,睡眠を削れば最終的には何年も人より活動できるということになる。
実はオイラもそんなふうに考えていた時期があった。編集長になったばかりの頃だと思う。29歳と若かったので可能だった。
ほっとんど寝ずにフラフラで仕事をしていた。でも,今からその当時の記事を読み直すとかなり雑で乱暴な仕事をしていたことに気づく。ま,そりゃそうだ。ボケ~~っとしたカラカラの脳ミソで取材してゲンコー書いているんだもの。誤字,脱字も多い。
でも,ゲンコーに勢いはあった。やってやるんだ!というパワーは感じる。文章は上手くないけど,そう……ロックン・ロール! リズムが弾けてる。8ビートで走ってる。
前にも書いたかもしれないが,質より量の時期というのもある。とにかく,仕事の量を増やして,それに対応する時期。
質にこだわるのは30代中盤から40代にかけてで構わない。20代なんて猿なんだから,ガムシャラに働けばいい。
仕事の量をこなすことで経験値が上がる。すると,トラブルが起きても対処する技が身につく。要するに“ずるくなる”ということだ。仕事でのミスはある意味ラッキー。
オリコンに入社してすぐ,オイラは大きな失敗をした。ここでは書けないくらいの大チョンボ。菓子折り持って○○音楽事務所(大手)にゴー! でも,そういうことの積み重ね(?)で社会人は出来上がる,完成する。
失敗は財産。途中から謝ることに慣れてきちゃったからね(笑)。って,これは良くないか? しみません。
40代に突入してからは睡眠の大切さを知った。身体を壊して3度も入院した。20代に貯めた睡眠貯金を使おうと思った。あんだけ働いたんだから,と。
そう考えればラクになる。年齢的にも徹夜はしんどくなるし,思った以上に動けなくなる。20代には20代,30代には30代,40代には40代,それぞれの仕事のやり方がある。
だから,特に今,20代のヤングに言いたい。20代は夢中になって働くべきだと。それが30代,40代になって絶対に活かされる。
逆に言えば20代に怠けていると,その先の人生は……わかるよね?
貯めるべきなのはお金だけじゃない。
仕事上のガス抜きは不可欠
話は戻る。
会社員時代,オイラはとにかくサボりの天才だったかもしれない。時間さえあれば寝ていた(無かったけど)。
階段の踊り場,倉庫,長机の下……5分でも10分でも時間があれば横になって休養を取った。よく屋上で昼寝もした。とはいっても30分くらい。すると,すぐそばで知らない女のコが寝ていて驚いたこともある。
そのコは他の部署の女のコでどうやら徹夜続きだったらしい。いや,あんときは驚いた。クレイジーな世界だ……。
編集部の女性エディターは深夜になると,ミーティングルームのソファーや下手すると床で眠っていた。たくましいなと思いつつも,やはり可哀想だな,と。
だけど,それくらいの根性がなければ週刊誌なんて作れない。それこそ締切間近なんて戦争だ。女コマンドー養成所。
とにかく,自分の身体は自分しかわからないのだから,自分が労わってあげないと。ムリなんてそうそうきくもんじゃない。
タクシーやトラックの運転手さんが昼間,車の中で寝てる姿をよく見かける。あれくらいのモードがベストなんだろう。
だって,居眠り運転なんて最悪だからね。仕事にだって居眠りバッテンはある。それを避けるためにも,ズル賢くならないと。
休憩の取り方。クソ真面目にフルタイム働いていたら心も身体もブッ壊れる。
今回の叫訓でオイラが言いたいのはそのこと。つい先日,マジメで息抜き下手な友人が倒れた。そりゃそうだ。
仕事は大事だけれども,それ以上に大事なのは自分。仕事のために自分があるのではなく,自分のために仕事はある。
それくらいに考えたほうがいい。
余談:忙しくても家には帰りましょう
ちなみに,これは特殊な例でまったく参考にならないかもしれないけれど……オリコン編集長時代,オイラは帰るのが面倒になって,編集部内にダンボールで寝床を作り,そこで生活していた。
月曜日から金曜日まで寝起きするのはダンボールハウス。もちろん,家がなかったわけではない。新婚で都内に一軒家を借りて住んでいた。そう,楽しいはずの新婚生活時代。
朝まで働いて,始発で帰ってもそんなに眠れない。だったら,会社で寝てしまったほうが良いと考えた。玄関開けたら1秒で会社。
奥さんの顔も見たかったけど……。
睡眠時間もたっぷりと取れる。仕事的にはバッチリ。土曜日の朝,家に帰る。そして,月曜日に着替えを大きなカバンに詰めて出社。
そりゃ,カミさんも逃げるってなもんだ。結婚生活は3年で破綻。土日は持ち帰りの仕事もありつつ,ほとんど寝ていた。
そりゃそうだよなあ。離婚は当然。悪いことをした。読者のみなさん,これは絶対に真似しないでください。
ま,あくまでも余談ですが。って,考えてみれば月曜日から土曜日までオイラ,風呂入ってなかったんだ!?
驚き~~~~!
- 叫訓27
- 眠りを制する者は
仕事(人生)も制する!