今の30代について
年上の人が苦手というわけではないけれど、若い人たちと仕事をすることが多い。そして、それは自分にとって、刺激的でぶっちゃけ同年代と一緒の仕事よりもウキウキする。
仕事だけでなく、プライベートでも仲良くしているのは10歳くらい下の男のコばかり。まー、今年2013年の11月には47歳になるオイラ。同年代と飲んでも、暗い話しか出てこない。だったら、若いコたちとバカ話をしながら飲んだほうが酒も美味いってなもんだ。
ま、オイラ、ヤングボーイが大好物だからね。女のコよりも好きかもしれない、って、そっち系じゃないッスよ。ウッフン。
でもさ、小学生くらいのころは30歳になったら大人でスーツにネクタイをしめて朝早く会社に行くというイメージが強かったけど、今の30代って未成熟な子供だもんね?
バンドマンでも芸人さんでも30代は若手というくくりになる。バンドマン年齢、芸人さん年齢はまともじゃない。
そして、マスコミ業界で働く男性たちも同様。みんな、狂っている。ま、クレイジーじゃないと斬新なアイデアが出てこないというのもあるのかもしれないけれど。
ちなみに、オイラが『(株)オリコン』で初めて編集長になったのは29歳のとき。今から考えてみれば、よくもまー、任せてくれたもんだ。オイラなんて子供どころか猿だったからね。モキーーーッってなもんだ。
MONEY
つい最近、某アーティストのムック本を作った。仕事をするにあたり、若いフリーの男のコを紹介されたのだが、彼は最初からムックの中身ではなくずっとギャラの話をしていた。
いや、ギャラの話は大切なので、こちらもきちんと誠実に話したつもりではあるのだけれど……仕事内容ではなく、彼はギャランティの話しか興味を持たなかった。
むーーーん。
ま、そりゃそうだ。フリーで動いているならお金の話は大切なこと。オイラもよ~~くわかる。でも、そういった話は雰囲気を読んで、良きところで切り出すものだ。
マスコミ業界というのは曖昧な世界。そういった話をせずに、いつしか仕事もどきがスタートしていることが多い。
いや、今の若いコたちはしっかりしてるなあ、と思った。考えてみれば間に入っているオイラ自身がこの仕事でいくらもらえるかわかっていないのだ。ふう。
だから、ダメなんだな……。はあ。
「予算をハッキリさせてくれないと仕事を受けることができないので、それが決まってから返事をさせてください」と彼は言った。
ハタチになったばかりの男のコ。「メールで構いませんので。」
しっかりしてる。
ノリで来た仕事にはノリで返すというのが信条のオイラは目からウ○コ。カッチョいいとすら思ってしまった。
時給ではない仕事
とにかく、オイラはお金の話ができない。仕事を受けても、お金の話をするのが苦手だ。
これ、自分のいちばんいけないとこね。たとえば、スーパーのアルバイトならきちんと時給が決まっている。
電卓ではじけば、正確な金額が出てくる。何時間働いたからいくらもらえるか、と。
でも、フリーのライターや編集というのはその辺が曖昧だ。時給ではない仕事。出来高であったり、成功報酬みたいなネーミングで誤魔化されてしまうこともある。
もちろん、結果を出せばいいのだけれど、中にはそれが難しかったりするケースも。そうなると、すべてがドボンだ。
売れる商品を作れなかった自分が悪いと思ってしまう傾向にある。約1年かけて作った作品(商品)のセールスが低いとギャラなんてもらえないのが当然だとすら……。
まさに人生ゲーム。売れれば天国、売れなければ地獄。億万長者になるか、貧乏農場に行くか?(『初代・人生ゲーム』CMより)。
最初に具体的な数字を提示してくれるパターンもあるけれど、それもいつ入金があるかは微妙なところだ。そんな世界。
それをわかったうえで仕事をしないといけない。フリーというのはそういったものだ。
業界の常識・非常識について
ふと、思い出したことがある。週刊誌を作っていたころ、ある芸人さんの取材をした。そのとき、そのマネージャーさんが言った。「今回はプロモーションということでロハで構いませんので。」
「ロハ?」
まったく意味がわからなかったオイラは上司に聞いた。すると、ロハとは業界用語でタダという意味らしい。只(タダ)という漢字を上下で分けるとロ・ハとなる。ギャラ0円ということだ。
逆に難しい。年配の業界人が使う言葉で、今ではほとんど使う人はいないみたいだが。
編集部に入ったばかりのころは時間にかかわらず、「おはようございます」という挨拶が苦手でしょうがなかった。
それと、打合せの時間を決めるときに「では、ゴゴイチ」でと言われ、キョトン? としてしまい、これまた上司に聞いた。
上司には、そういう言葉を使う人間は相手にしてはいけないと言われた。ま、午後1時くらい、ということらしいのだが……だったら、13時と言えばいい話だ。
すいません、話が飛んでしまって。でも、思い出しちゃったんで申し訳ない。ごめんなさいついでにもう1つ。
Kさんという1年先輩の編集者がいた。業界のことを右も左もわからない、入社したばかりのオイラにいろんなことを教えてくれた。
その人がある日、上司に怒鳴られていた。どうしたのだろう? と聞き耳をたてていると、どうやらホワイトボードの行き先に“8チャンネル”と書いて外出したらしい。
「この世界で働いているならCXと書くのが当たり前だろーー!」
れれれ? ふうむ。当たり前なのか……。
ま、そんな話があったというだけのことです。Kさん、元気かなあ。
≪話を戻し、本題に入ります≫
“みうらじゅん”さんの格言
“みうらじゅん”さんと四谷で飲んだときのこと。「若いときはさー、タダで仕事をするパワーがないとダメだよね? 俺なんか頼まれてない原稿だったり、漫画だったりを編集部に持っていったもん。」
なるほど、と納得した。
「それがキッカケで連載をもらったんだけどさー、何年もギャラもらってなかったからね」とみうらさんは笑いながら言った。「お金なんてもらえると思ってなかったもん。」
なんか、モーレツに感動してしまった。
オイラも大学生の頃は勝手に好きなアルバムのレビューを書いて、某音楽雑誌の編集部に送り続けていた。リターンはなかったけど。でも、それは苦ではなかった。
そのとき書いていたことが後のライター、編集という仕事につながっていると自分では思っている。
もちろん、お金は大切。でも、それに縛られてしまうと逆に身動き取れなくなってしまう。
そう、だから今回の叫訓はこれ↓
叫訓43
若いときは見返りなど求めちゃいけない
無意味とも思えるロハでの行動力が大事