元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第56回「脳ミソなんて単純なほうが幸せだ!」

サンタ苦労する(おやじギャグ)

さて、クリスマスも終わったばかり。ま、個人的にはとくに何があったわけではないのだけれど、イマドキの子供って本当にサンタさんがいるなんて思ってたりするのだろうか?

疑問だ。オイラの子供の頃、小学校低学年くらいの話だけれども、クラスの大半はサンタクロースがいると信じ込んでいた。

そう考えると幸せな時代だったのかもしれない。でも、サンタってどう考えても外人だよなあ……。やたら太ってるし。

子供に人気っておかしな話だ。ふと夜中に目が覚めて枕元にいたら泣き出すコもいるだろう。不審者が侵入してきたとしか思えない。

しかも、家には煙突もないのに……。

オイラがこの世にサンタがいないと知ったのは小学校1年生の頃だった。⁠サンタさん、どこから入ってくるの?」と母ちゃんに聞いた。

少し考えてから、⁠お風呂場の窓からよ」と母ちゃんは言った。

クリスマス・イブの前々日くらいのことだったと思う。押入れの中にプレゼントが隠してあった。某大手デパートの包み紙。その瞬間、ピー⁠ーンときた。

クリスマス・イブの夜、寝たふりをしてサンタさんを待った。すると、父ちゃんがオイラの枕元にそっと押入れの中に隠されていたプレゼントを置いていった。

朝起きて、オイラは「サンタさんが来た~~!」と喜ぶフリをした。その日以来、幻想は崩れ、クリスマスは単なるオモチャがもらえる日となってしまった。

そのことをオイラは友達に誰にも言わなかった。子供ながらに、これはトップ・シークレットだとわかった。

占いもビジネス

今年、あまりにも運勢が急降下していることを感じたため占いへと行った。一緒に行ったのは知り合いの会社・社長Tさん。

オイラはとくに重大で深刻なことを言われたわけではないが、小さな嬉しいことも言ってくれた。そして、それをオイラは素直に信じた。

悪いことも少々言われた気はしたが忘れた。自分にとって不都合なことはインプットしないに限る。気分が滅入るだけだ。

病は気から。

占い料金を支払ってヤなことばかり言われたら最悪だ。ま、あっちも商売だから、そんなにひどいことばかりは言わないけどね。

お互いに、なんとな~く円満な形で占いは終わる。それでいいのだ。

ちなみに、オイラが占い師さんにみてもらったのは人生で3回のみ。1回目は有名な○○の母だった。オイラをみるなり「悪霊がついている。常にポケットに塩を袋に入れて持ち歩きなさい」と言われた。

もちろん、軽くムシした。

「30歳前後で大きな転機が来る」と○○の母。ま、人間なんてみんなそんなもんでしょ。でも、じゃあ、30歳くらいまでは無我夢中で頑張ってみよっか、なんて思った。

実際、オイラが雑誌の編集長になったのは29歳のことだった。

嘘も方便

アダルト・ビデオに⁠ナンパもの⁠というシリーズがある。街角で女のコをナンパして……というストーリー。

20代前半の頃はガチだと信じ込んでいた。でも、さすがに約30年も観続けていると、仕込み、ヤラセがほっとんどであるということに気づく(ちなみに、オイラがSODで監督した作品はリアル・ガチである⁠⁠。

だけど、そこで⁠嘘だ⁠と思って観てしまったらおもしろくも何ともない。人生の大損だ。同じ金額を払うんだったら楽しんだもの勝ち。

あえて騙されるのも悪くない。これはリアルなんだと思って観ないと、ドキドキ感はない。脳ミソなんて単純なほうが幸せだ。

信じられないってブーブー言うよりも、信じ切って笑ってたほうが人生は楽しい。

エンターテインメントなんて基本はギミック。ハッキリ言ってしまえば⁠嘘⁠である。でも、それを嘘と取るかどうかはアナタ次第。

だって、今流行りのご当地ゆるキャラとか、名前は出せないけど世界的な人気者である例のキャラクターだって、中には人間が入ってると考えたら興醒めである。

自分の子供に「あの中にはね、アルバイトの小さいおじさんが入ってるんだよ~⁠⁠、なんて言う親はいない。いたとしたら……尊敬する。立派だ?(笑⁠⁠。

嘘がつけない性格なのねん。

ウソとネタ

でも、矛盾するかもしれないけど嘘はいけない。今年は様々な嘘が横行した1年だった。許せない嘘は犯罪だ。

オイラもウソつきではある。でも、それは人を楽しませるためのウソ。文章、音楽活動……すべてがウソで塗り固められている。

でも、自分を擁護するわけではないけれど、オイラのウソはネタだ。そう、ネタでしかない。その昔、ボキャブラ・ブームが頂点だった頃の話だ。オイラが大好きだった松本ハウスというコンビのハウス加賀谷くんがオイラに言った。

「ボクが○○(下半身の病気)だって言って、笑ってくれるなら、ボクはいくらでも○○になりますよ!」

もちろん、加賀谷くんはそんな病気ではない。でも、演者というのはそういうもんだ。すべてはネタだ。

プロになればなるほど、ウソとネタの境界線が曖昧になる。でも、それでいいのだ。誰も不幸にさせない、自分が犠牲になるウソ。

人間には2通りある。人に楽しませてもらうタイプと人を楽しませるタイプ。後者を選んだのなら貫き通すしかない。

ま、身内はちょっぴりヤな思いをするかもしれないけどね……。

オイラはそれがキッカケで2度も離婚した。申し訳ないとは思うけど、しょうがない。

ネタで毎週、フーゾクに通ってると雑誌の連載コラムで書いてキレられた。やれやれ。

ダイスを転がせ!

世の中、知らないほうが良いこともある。そして、あえて騙されるほうが楽しいことも。

子供の頃、オイラがサンタさんの正体を知り、⁠サンタさんなんかいないじゃないか、サンタさんは父ちゃんじゃないか!」と言ったら両親は悲しんだと思う。

そして、学校でその話をしたらクラスはパニックになったはず。先生も困っただろう。

あのときなんだろうな。オイラがウソつきになったのは。みんながサンタさんを信じているんだったら、それはそれでいいじゃないか、と。7歳のオイラは悟った。

本連載を読んでくれている方はマスコミ関係の人も多いみたいで(ま、オイラのマーケティングなんだけど……⁠⁠、そういう方々にはとくに言いたい。ウソついてナンボ。ネタで転がせ! ロックン・ロールなんてそんなもんだ。人を楽しませるためにはウソも必要だ。

もっともっと、良い意味で騙さないと、この国はやがて笑顔を失う。

今年最後の叫訓。基本、月に2回の更新ではあったけれども書き続けました。何回まで続くかわかりませんが来年も頑張りまっしゅ。

よろしくー。

つーことで2013年最後の叫訓↓

叫訓56

ボクらは……
騙し騙され生きるのさっ

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