Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第16回アイデアを実践してブラッシュアップ

アイデアとプロトタイピング

アイデア流行りの今日この頃です。

ビジネスでも研究でも、アイデアの出し方をどうするか、というのが大きなテーマになっているようです。

筆者の場合、これまでの人生をふりかえってみると、アイデアはいつでもあふれるように出てくるほうなので、アイデアの出し方なんてのには、最近とんと興味がなくなってしまいました。

たとえばソフトウェアのアイデアなんてのは、ほとんど尽きることなく出てくるわけです。いちいちなんかのかたちに入れて展開するようなまどろっこしいことをする必要もないくらいで、もういくらでもだらだらと出てくる。

このところ、自分でもプログラムを作るようになったのですが、だいたい毎日使うものの大半は自作という状況になりつつあります。このあいだ、⁠PilePaperFile』プロジェクトでのソフトウェア一覧をご紹介させていただいたのですが、その後もテキストエディタ/ビューアーを作ったり、テレビ番組ビューアーを作ったりと、だいたい月に10本ペースで新しいソフトを作っている状況です。

ほとんど尽きることなく創作しつづけているわけで、いまさらアイデアなんていうのもおこがましいというかなんというか。研究的なプロトタイピングというのは、こういうことかと実践しているところです。ライフログの実践という点でも、データを蓄積し運用しながら、プロトタイピングしているというのは、なかなかおもしろい。

アイデアを愛でるより行動に移す

アイデアと行動をオーバービューしてみると、次のようになります。

アイデアを中心に行動のループを描いてみました。
アイデアを中心に行動のループを描いてみました。
アイデアの思いつき=メモ(メモの評価)フィージビリティ・スタディ=行動=行動の評価とループするとき、山崎正和のいうように、行動と思いつくのとのあいだには隔たりがあることに気づきます。

思いつき=メモ(メモの評価)フィージビリティ・スタディ=行動=行動の評価とループするとき、山崎正和のいうように、行動と思いつくのとのあいだには隔たりがあることに気づきます。アイデアを出したからといって、行動が変わるとは限らないのです。ひょっとすると、アイデアをメモして満足してしまう可能性もあるわけです。アイデアがあふれ るように出てくる場合には、実現までにタイムラグがありすぎる問題もあります。100年後に実現できても意味がないことはいくらもあります。コンピュータ関係の技術は特に寿命が短いでしょう。

これが、アイデアを出してもそれだけではだめだと考える理由で、アイデアを出すよりも、行動することのほうが重要だと考えるのです。

思いついたら即行動のほうがよいこともあります。たとえば筆者の行っているような研究的なプロトタイピングのプログラミングでは、アイデアは即座に実装して評価するほうが、アイデアを設計に落として評価してからプログラミングするよりは、ずっとアイデアの品質を向上することができる可能性があると考えています。

プロトタイピング用のツールが出ている、ということも、行動を優先する大きな理由のひとつです。

なんにしても、やってみなければ始まらないといってしまうと、なんだか妙な精神論みたいに聞こえてしまうかもしれないのですけれど。⁠できること」を積み重ねていくことで、ふといつのまにか、とても遠くまでやってきていた、ということはあるわけですから。

起床時刻、就寝時刻、睡眠時間

第8回目でも触れましたが、ライフログのロギングで、現在よく使われている技術は、GPSによる位置タグ(Geoタグ)です。機器さえあれば位置を記録することは容易で、機器が小さく安価になったためです。

位置を記録できることはわかるのですが、どちらかといえば筆者は、位置タグをどう使うのかわからないので、いまいちピンと来ていない、といったほうが正しい状況です。

最近、JogNoteというジョギング歴を記録するサイトを知りました。だいたい、ランナーというのは、孤独でまめなものと相場が決まっていますけれど、毎日こんな枠にいちいち手作業で書くのかと思うと、ちょっとぞっとしない話です。ぜんぜん自動化できていないじゃないですか。これはちょっと筆者には続かないよな と思いました。

ジョギング/ランニングを楽しむ『JogNote』のページ。
ジョギング/ランニングを楽しむ『JogNote』のページ。

仲間を見つけて楽しむ楽しみはあると思います。mixiやYahoo!のIDを使えるのも悪くない。 デザインされている魅力もあります。

細かいフォームに入れるのはかなりの手間。
細かいフォームに入れるのはかなりの手間。
毎日走った距離や時間は、フォームに手作業で入れる必要があります。天気なんかは自動で入れてくれてもいいじゃないのと思いますよ。

書式フォームのあるシステムには、生理的に拒否感が先に立つようです。メニューも嫌いだったりします。ダイアログボックスとか。ユーザーを型にはめれば、そりゃあ情報をロギングするのはたやすいでしょうけど、それって本末転倒じゃないでしょうか。ロギングのために人生があるのではなく、人生のためにログを使うのだといいたい。

たとえば、起きた時刻と寝た時刻とかのほうが、ずっと筆者にとっては意味のある情報に思えるのです。人生のためにも役にたつだろうと考えます。

筆者が起きた時刻と寝た時刻を自動的に記録するようになって、かれこれ1年ほどになります。

手動では、1984年からほぼもれなく記録し続けてきたのですが、これを自動にすることで、めんどうな作業がなくなり、とても気楽になってきました。

筆者は記録魔のように思われているのですが、記録するのが好きなわけではないのです。たぶんですけれど。

最近は、寝た時刻と起きた時刻を使って、睡眠時間を取得するようにもしました。睡眠時間が5時間程度だと、どうしても昼寝をしたくなります。寝足りたと感じるのは9時間くらいのようです。1カ月くらい記録し続けたら、睡眠時間と体調の関係をまとめてみるソフトを作りたくなるかもしれませんね。と、またアイデアが出るわけです。

自動記録した起床時刻の一覧
自動記録した起床時刻の一覧
味も素っ気もないテキストファイルなので、見栄えがいまいちですね。そのうち見栄えのいいソフトを作りますか。データを採るのには実時間がかかるけど、ソフトを作るのは作る気になれば一瞬ですからね。

睡眠時間の一覧だけなら、Excelでグラフを書けばすむような気もしますが、そこでソフトを作っちゃうあたりが、なんというか業なのかもしれません。Excelをもっていない、ということもありますけれど。

これも、自動記録だからいいのであって、起きた時刻をフォームに記録するようなソフトだったら、とてもやってられんだろうなと思ったり。

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